昭和時代「国鉄2万km全線走破」のほとばしる情熱と旅情 GoTo見直しの今こそ考える
2020年11月28日
ライフ「GoToキャンペーン」の一時停止でさらに遠のいた旅行。しかしそんなときこそ、旅行について東京から思いをはせたいものです。今回のキーワードは鉄道の乗りつぶし。フリーライターの真砂町金助さんが解説します。
コロナ禍で減少する鉄道本数
首都圏では新型コロナウイルス感染拡大の第3波が押し寄せ、再び混乱が起こっています。11月の三連休には各地に旅行に出掛ける人で羽田空港(大田区羽田空港)が大混雑していることが話題になりました。
今回と上半期の違いは、個人の立場や地域などによって危機と考えるかどうかの温度差があることで、「これが正解」とは一概に言えない状況です。ただ、政府が「GoToキャンペーン」の一時停止を決めたことで、自由な旅行は当分先のことになってしまったように思います。
さて、旅行の有力な手段として今も昔も変わらない鉄道ですが、そこにも変化が起きています。運転本数は削減され、混雑期に実施される臨時列車の増発も激減しました。
さらに深夜に品川駅を出発し、明け方に大垣駅(岐阜県)に到着する「貧乏旅行の定番」だったムーンライトながらも2020年は運行が取りやめに。東京からの帰省にこの列車を使った思い出のある人も多いでしょう。

とりわけ「大垣夜行」として毎日運転されていた時代には、乗り合わせた客同士で交流を深めるなど、旅情を感じながら移動できるまたとない列車でした。
「完乗」を目指した若者たち
とりわけ混雑するのは、1日乗り放題の「青春18きっぷ」の時期です(1982年に発売開始)。日時の変わる最初の停車駅までは切符を買って大垣夜行に乗るという技術は、ネットのない時代から伝承をされていたものです。
そんな青春18きっぷで全国を旅行する若者たちの憧れが全線の「完乗(かんじょう)」、すなわち全路線をすべて乗りつぶすことでした。
日本交通公社時刻表編集部に所属していた石野哲さんが手掛けた『時刻表名探偵』(日本交通公社、1979年)によると、最初に完乗を成し遂げたのは慶応大学の学生だった後藤宗隆さんで、1959(昭和34)年だったといいます。なお石野さん自身も完乗を達成したひとりでした。

日本各地ではこの頃鉄道建設が盛んでしたが、後藤さんは紀勢本線が全通してから8か月間は新路線の開業がないことを確認し、同年7月に完乗を成し遂げました。
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