まだまだ終わらない タピオカブームの次にやって来る「ネクスト台湾グルメ」とは?

  • ライフ
まだまだ終わらない タピオカブームの次にやって来る「ネクスト台湾グルメ」とは?

\ この記事を書いた人 /

有木真理のプロフィール画像

有木真理

ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員

ライターページへ

タピオカミルクティーを始めとするタピオカ商品だった2019年。そんなタピオカブームを「台湾ブームの一部」と定義するホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の有木真理さんが、台湾グルメの深層に迫ります。

台湾ブームは続く その背景と歴史を探る

 2019年「ユーキャン 新語・流行語大賞」トップテンに選出された「タピる」を皆さんはご存じでしょうか? そう、言わずもがなのタピオカです。

 8月に「進化か絶滅か? 空前のタピオカブーム――歴史を振り返り、今後を大胆予想する」の寄稿時にも書きましたが、そもそもブームの大きな要因は、台湾ブームです。筆者はタピオカブームを「台湾ブームの一部」として捉えていますが、タピオカブームは現在、少しだけ沈静化し、定着フェーズに入りつつあるとも言えます。では、次に来るブームは? “ネクスト台湾”グルメは? 気になる今後の傾向について記述したいと思います。

人気の台湾料理「魯肉飯」(画像:写真AC)



 そもそも、なぜ台湾がブームなのでしょうか? 現在のタピオカブームは第2次台湾ブームの一部と位置付けていますが、第1次はバブル崩壊後の1995(平成7)年ごろといえます。

 食の多様化が進むなか、安くておいしい屋台系の小皿料理を提供する台湾料理屋が全国に増えました。それまで中華系の料理と言えば、高級料理か、または街の中華料理屋さんでラーメンやチャーハン、定食を食べるスタイルが主流でしたが、台湾料理のように多種多様な料理をリーズナブルに楽しめる小皿料理が大ブームとなり、日本に定着したのです。

人気の渡航先と食のトレンドは一致する

 第2次台湾ブームは、2015年頃からスイーツを中心にブームとなりました。台湾で人気のかき氷店やタピオカミルクティーのお店が次々と日本に進出し、現在はドリンクのバラエティーが広がり、チーズティー、タロイモミルクなどに注目が集まっています。

 人気の渡航先と食のトレンドは一致すると言われていますが、リクルートライフスタイル(千代田区丸の内)が発表した「エイビーロード海外旅行調査」によると、5年連続で台湾が海外の旅行先として1位を獲得しています。

 この背景には、台湾観光局やエアライン、旅行会社が積極的にグルメをウリにした台湾のプロモーションがあり、積極的に若い女性を誘致していると言えます。格安航空会社(LCC)の販路が増えたことも大きな要因です。その旅先で手にしたタピオカドリンクに火が付き、日本でも大ブームとなったのです。渡航先としての台湾ブームはこれからもまだまだ続くとみられ、現在、“ネクスト台湾”に注目が集まっています。

タピオカを超える“ネクスト台湾”とは?

 この1年、筆者のところへ来た取材依頼で最も多かったテーマはタピオカです。そして決まって聞かれるのが「タピオカの次にくるブームは?」。その都度「“ネクスト台湾”がくる!」とお答えしているのですが、それについて具体的に解説していきます。

 前述の「ホットペッパーグルメ外食総研」のアンケートで「海外グルメに求めることは?」と尋ねたところ、第1位は「本場の味が楽しめること」、つまり「本場感」が求められていることがわかります。

 そして、「食べてみたい台湾グルメは?(スイーツ除く)」との問いには、第1位「魯肉飯(ルーローファン)」、第2位「牛肉麺(ニョウロウミェン)」、第3位「排骨(パイグゥ)」、第4位「肉圓(バーワン)」、第5位「沙茶火鍋(サーチャーフォーグォ)」など、実際に台湾に訪れたり、台湾に興味関心がないと何だかさっぱりわからないメニューが並びます。

食べてみたい/また食べたい台湾グルメ(画像:リクルートライフスタイル)



 こちらのアンケート結果を見ても、現地に行かなければ食べられない本格的な台湾グルメに人気が集まっていることがわかります。“ネクスト台湾”のテーマは本場感です。そしてこの本場感は現在、台湾現地でリアルタイムにブームになっていることであると考えていて、それはメニューだけではなく、台湾のライフスタイルや食習慣に注目が集まると予測します。

本場台湾を感じる 今、注目のスタイルとは?

 台湾ブームはまだまだ続き、これからは第3次台湾ブームに突入すると考えます。これからは前述した通り、メニューだけではなく、台湾本場の食文化やライフスタイルに注目です。つまり第3次ブームのキーワードは「台湾スタイル(トウジャン)」。筆者はそのうちふたつのスタイルに注目をしており、それを代表するお店とともに紹介したいと思います。

 まずひとつめは、「朝食文化」です。台湾はおかゆや甘い豆乳に揚げパンを浸して食べる「豆花(トウファ)」、しょうゆ味の豆乳「豆漿」など朝食を外食で食べる習慣が根強いです。そのスタイルが日本に徐々に進出しています。

 2019年8月に中目黒にオープンした「明天好好(ミンテンハオハオ)」(目黒区青葉台)は、まだ早朝営業を行っていませんが、まさに台湾で食べる朝食メニューが楽しめ、行列を作っています。店内の雰囲気も、本場感が溢れ、毎日女性でいっぱいです。人々のライフスタイルの変化とともに広がる朝外食ともに、この台湾スタイルの朝食がブームになると予測します。

目黒区の朝ごはんも楽しめる台湾スイーツカフェ「明天好好」のメニュー(画像:リクルートライフスタイル)



 そしてふたつめは、ヨーロッパのスタイルを取り入れた「ネオ台湾料理」です。そもそも食文化のレベルの高い台湾に欧米のエッセンスが入って洗練された料理を、スタイリッシュな空間で楽しむお店が、今、台湾で増えています。その人気店が日本にも進出しています。

「富錦樹(フージンツリー)」は、台湾料理をシャンパンとのペアリングで楽しむことができるお店として、台湾に2014年にオープン。そして2019年に日本橋室町に進出し、人気となっています。もともと料理とお酒を一緒に楽しむ文化が少なかった台湾で現在、お酒とともに料理を楽しむペアリング。もともと食のレベルの高い台湾でお酒をともに楽しめるのだから、そのマリアージュは最高であるに違いありません。

 繰り返すようですが、旅先の人気とグルメブームの親和性は高いのです。日本から近く気軽に行ける台湾。食文化のレベルが高い台湾。まだまだおいしいメニュー、そして新しいスタイルが生まれるであろう台湾。これからも、台湾人気は高まり、日本における台湾のグルメブームはこれからが本番、と考えています。

関連記事