シーズン8突入で人気続行も ドラマ版『孤独のグルメ』が古参ファンから支持されにくい本当の理由
2020年10月31日
ライフテレビ東京系の『孤独のグルメ』は漫画を原作とした、2012年1月放送開始のテレビドラマシリーズです。そんな同作と原作の違いについて、ルポライターの昼間たかしさんが解説します。
主演の松重さんから飛び出た意外な発言
テレビドラマの人気シリーズ『孤独のグルメ』(テレビ東京系)。その主演を務める松重豊さんが10月4日(日)放送のインターネットテレビ番組『7.2 新しい別の窓 #31』(ABEMA)で語った内容が、ちょっとした話題を呼びました。

『孤独のグルメ』は人気の高いドラマですが、松重さんはなぜかピンと来ておらず、
「ただ、俺がひとりで食っているだけで、誰が見るの? どこが面白いの? お客さんが楽しめるはずないって思って。何年かたって、お前こんな番組やってたねって笑い話になると思っていた」
と言うのです。
さらに、
「食べているだけで面白いって言われるのはいまだに心外です。どこを面白いって言っていただけているのか、自分では分かってないんです」
とも語っています。
現在『孤独のグルメ』が代表作とされている松重さんですが、実は三谷幸喜さんが主宰する劇団「東京サンシャインボーイズ」や、蜷川幸雄さんの「蜷川スタジオ」などを経て芸を磨いた人です。演技に対してストイックだからこそ、このような言葉が出るのでしょう。
テレビから消えた「ハードボイルドな哀愁」
ただ、原作漫画『孤独のグルメ』に長らく親しんできた読者は、ドラマに対してやはり疑問を感じているでしょう。なぜなら、原作に描かれているような「ハードボイルドな哀愁」がテレビでは排除されているからです。

率直に言うと、実在する店舗でロケを行っているためか、ネガティブなことが描かれていないのです。作品の「名物」として知られるアームロックは放送されましたが、それ以上はありませんでした。
例えば原作の第14話「東京都中央区銀座のハヤシライス(の消滅)とビーフステーキ」では、6年ぶりに訪れようとしたハヤシライスの店が無くなってしまい、悩んだ末に高級そうなステーキレストランに入るも、まったくおいしくなさそうな描写で終わります。
第18話「東京都渋谷区渋谷百軒店の大盛り焼きそばと餃子」では、訪れた店がライスを提供していなかったために、渇望する悲しさが描かれています。
要は「叙情的に満足感を描くことが多い」ドラマに対して、原作の井の頭五郎(主人公)はハードボイルドにおいしいものを食べようとしては、失敗しているのです。

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