大注目の「女子ソロキャンプ」、実はインドア派向けだった? 国内初の「女王決定戦」でその魅力を探ってみた

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大注目の「女子ソロキャンプ」、実はインドア派向けだった? 国内初の「女王決定戦」でその魅力を探ってみた

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アーバンライフメトロ編集部

今、「女子ソロキャンプ」がブームが来ているそうです。インスタグラムやYouTubeでその存在を知った女性たちが次々と挑戦しているらしく、有名インフルエンサーが現れるほど。東京・豊洲では2019年10月10日、国内初となる「ソロキャンプ女王決定戦」が開催されました。何がそれほど、彼女たちをキャンプへと駆り立てるのでしょうか。

いまやすっかり女子趣味のひとつに

 家族や友人を伴わず、たったひとりでキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」。インスタグラムで「#ソロキャンプ」と検索すると、18万6000件以上の投稿画像がヒットします。

 男性キャンパーたちのものと思われる投稿に混じって、20~30代ぐらいの女性たちの画像がいくつも。YouTubeには「女子ソロキャンプ」の実践法を指南する動画が多数アップされていて、100万回近く再生されている動画もある人気ぶりです。

 日本オートキャンプ協会(新宿区四谷三栄町)の調べによると、2018年のオートキャンプ参加人口は6年連続となる対前年増を記録。なかでもソロキャンプの伸長は顕著で、ひとり用の用品販売が好調だといいます。アウトドア用品メーカーの間では「バブル期以来の第2次キャンプブーム」と称される現在の女子ソロキャンプ人気ですが、いったい何がそれほど彼女たちをキャンプへと駆り立てるのでしょう。2019年10月10日(木)に東京・豊洲で開かれた国内初の「ソロキャンプ女王決定戦」を取材して、その魅力を探ってみました。

女子でも設営簡単なテントいろいろ

 イベントに出場したのは、ソロキャンプ・インフルエンサーとして活躍している5人の女性。natsu campさん、森風美さん、かほさん、桜花さん、あらなみさんです。

 制限時間60分の間に、

1.普段使っているひとり用テント
2.主菜・副菜・デザートの料理3品(事前の仕込みもOK)

を作ります。その手際よさや正確さ、料理のオリジナリティーなどを4人の審査員が評価し、1位の「女王」を決めるというルールです。

お気に入りの真っ赤なテントを張って、お手製の料理をつくるnatsu campさん(2019年10月10日、遠藤綾乃撮影)



 競技開始の合図とともに、5人がいっせいにテントの設営を始めます。活況のソロキャンプ市場では「ワンタッチテント」など女性にも手軽に組み立てられるテントが何種類も展開されていて、出場者たちも10分前後でマイテントを完成させていました。

テントにもデコレーション。これが女子力というものか

 キャンプ用テントなんて寝転がれるスペースがあれば十分の武骨なもの……そう思っているのなら大間違いです。森さんはテントの設営が終わったと思いきや、おもむろにカボチャのフラッグや置物を周囲に飾りつけ始めました。「もうすぐハロウィーンですからね。季節に合わせた空間にした方が気分が上がるんです」。もはやキャンプというより、おしゃれカフェを訪れたかのような空間演出に、会場のギャラリーからも思わず驚きの声が漏れていました。

ハロウィーンを意識したオブジェでテントを飾り立てた森さん(2019年10月10日、遠藤綾乃撮影)

 続く料理は、主菜・副菜・デザートの3品をいかにスムーズに作り上げられるかが勝負のカギを握ります。

彼女がデザートから調理し始めた理由

 かほさんが最初に取り掛かったのは、デニッシュパンにマシュマロとバナナを挟んでホットサンドメーカーで焼き上げたデザートサンド。てっきり主菜から順に作るのかと思っていたのですが、「メインを作るのは最後です。メインは温かい状態でおいしく食べたいですもん」。

 ちなみに主菜で使ったパスタは、乾麺の状態で水に2時間ほど浸けるという下準備をしておくと、現地で調理するときの茹で時間を短縮できるのだそう。こうした自分なりのひと工夫が、ソロキャンプをより楽しくエキサイティングなものにしているようでした。

デニッシュパンにマシュマロとバナナを挟んたデザートサンドを作った、かほさん(2019年10月10日、遠藤綾乃撮影)



 キャンプで作る料理は、なるべく簡単で、かつおいしいものがベスト。桜花さんが提案したのは、カルビーのポテトスナック『じゃがりこ』をお湯でペースト状に伸ばしてフライパンで焼き上げた、こんがりマッシュポテト風。あらなみさんは、自宅で手作りしたベーコンにアボカドとトマトを添えたサラダを披露しました。決して手間はかかっていないのに、レストランの前菜として出てきてもおかしくないような上品な1品が出来上がりました。

女子ソロキャンプの定番食材は?

 5人が作った料理で登場頻度が高かった食材はアボカドです。硬い皮に覆われているから持ち運びがしやすくて、栄養も満点。おまけに料理の色どりを鮮やかにしてくれるから、女子ソロキャンプには持ってこいの食材のようです。

桜花さんが完成させたオリジナルメニュー3品。お皿の下に敷いたバンダナの配色もおしゃれ(2019年10月10日、遠藤綾乃撮影)

 彼女たちが今回会場に持ち込んだキャンプ道具は、テント、寝袋、調理台、調理器具、椅子、それにインテリア風の飾り棚などなど。これだけの荷物を器用にキャリーバッグやリュックサックひとつに詰めていました。「荷物はなるべくコンパクトに。でも遊び心のあるお気に入りの小物は、ぜひバッグの片隅に忍ばせて」。5人が口をそろえて語った、女子ソロキャンプを楽しむための心得です。

 もうひとつ欠かせないのは「防犯の意識」だそうで、森さんはテントの入り口前に置く男性用サンダルを1足用意していました。「女性がひとりで来ていると知られると、怖いことがあるかもしれません。男性グッズを置くことで、多少は危険回避に役立つかなと思ってやっています」

果たして、初代女王に選ばれたのは?

 アウトドアに詳しい4人の審査員が、出場者たちのテント設営や料理の試食を通して、それぞれの「ソロキャンプ力」を評価しました。

あらなみさん(右端)の自作料理を食べて「おいしい!」と沸き立つ審査員たち(2019年10月10日、遠藤綾乃撮影)



 審査の結果、「初代女王」に選ばれたのはnatsu campさん。5人のなかで一番早く全課題をクリアした手際のよさなどが高く評価されたとのことです。

 缶ビール片手に作ったnastu campさんの料理は、ちくわにチーズと明太子と大葉を挟んだおつまみ風の副菜に、飯盒で炊いたご飯に鮭とイクラを載せたはらこ飯など。明らかに呑兵衛が好みそうな取り合わせですが、「作り手それぞれのこだわりや世界観、個性が表れていて、それを見せてもらえたのが楽しかった」(審査員)と、自分の趣味を全開にした料理の出来栄えも決め手となったようです。

実はインドア派こそソロキャンプ向き?

 natsu campさんに聞きました。女性がひとりで臨む「女子ソロキャンプ」の魅力って何ですか――?

「全部が自分の自由、自分のペースや責任ですべて決められるところですかね。誰かに気を使わなくてもいいし、眠くなれば思う存分寝ればいい。もともと家でアニメやゲームをしているのが好きな私ですが、自然の中で過ごすひとりの時間はまったく違った魅力にあふれています。ソロキャンプって、実はインドア派の人にこそ向いているんじゃないかなって思っています」

 今回のイベントを主催したスポーツ用品販売・ヴィクトリア(千代田区神田錦町)の店舗営業部門副部門長の藤田洋右(ようすけ)さんは、「誰もが子どものころ一度は経験したことのあるキャンプは、もともと潜在的な人気を秘めたコンテンツでした。そこに、昨今のレジャーの特長である安・近・短やソロ活動の要素が組み合わさって、今の人気につながっていったのではないでしょうか」と分析。

「かつてのキャンプといえば料理はカレーかBBQというイメージでしたが、今の女性キャンパーたちが作るのはペスカトーレや玄米リゾット、ホットサンド。多彩でおしゃれなメニューに広がっています。SNS映えもキーワードのひとつですから、女子ソロキャンプの多様化はますます進んでいくと期待しています」

 さらに藤田さんは、野外での調理経験などが災害時に役立つサバイバルスキルの向上にも役立つのではないかと指摘します。

 都会の喧騒に疲れてたまにはひとりになりたい人、ひとりのおこもり時間を愛するインドア派の人、はたまた災害時に使える知識と技術を身に着けたい人も、この秋は女子ソロキャンプにチャレンジしてみませんか?

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