百害あって一利なし? 子どもの教育に、父親が中途半端に首を突っ込んではいけないワケ

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百害あって一利なし? 子どもの教育に、父親が中途半端に首を突っ込んではいけないワケ

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中山まち子

教育ジャーナリスト

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近年、子どもの教育に「口出しする父親」が増えているそうです。元塾講師でライターの中山まち子さんその背景と功罪を解説します。

ビジネス雑誌で教育特集が組まれる時代

 子どもの教育に口出しするのは、一般的に母親というイメージが強いかもしれません。しかし近年、口出しする「父親」が増えているのです。無関心より数段良いように思えますが、実は「百害あって一利なし」。その理由をご紹介します。

子どもの勉強に口出しする父親は「百害あって一利なし」?(画像:写真AC)



 経済誌「東洋経済」は近年、子どもの教育に関する特集を年に1回以上組んでいます。同じく経済誌の「プレジデント」も姉妹誌「プレジデントファミリー」で、中学受験や教育情報を大きく扱っています。一昔前では考えられなかったことですが、読者の関心が高く、反響も大きいためだと考えられます。

 筆者の周りでは幼稚園選びに父親が積極的に関わり、最終決断を下したという人がいます。子どもにより良い環境を与えようと情報を集め、評判の良い学区に引っ越す一家もいるくらいです。なぜ、教育に関心を持つ父親が増えてきたのでしょうか。理由は大きく分けて、ふたつあります。

 ひとつめは、親世代の大学進学率がすでに高いため、わが子にも同じように大学進学させたいから。

 ふたつめは、少子化で大学全入時代となった結果、就職に役立つ有名大学に進学させたいからです。

 またそれらに関連し、有名私立大学の定員厳格化や2020年度から本格始動する教育改革など、教育を取り巻く環境は変化のときを迎えています。それらの情報をキャッチするため、父親も必死なのです。

成果主義に走る父親

 父親が教育に関心を持つと、子ども自身は「父親は自分に関心がある」と安心します。しかし、あまりにもヒートアップすると話は別。教育熱心な母親は子どもを感情的に叱りがちですが、それに比べ父親は、子どもの教育に対して成果主義的な「仕事目線」になりがちなのです。

偏差値の高低でほぼすべてが判断されてしまう受験(画像:写真AC)



 テストを受けると、結果は偏差値として数値化されます。その値が低いほど、父親はこれまで費やしてきた時間や費用に対して文句を言い出すことがあります。

 特に妻が専業主婦の場合、「塾の月謝にどれだけ支払っているか、お前は分かっているのか」と子どもに怒りをぶつけるケースもあります。また、子どもが第一志望とする学校の偏差値が低いとわかった途端、子どもや妻に突然怒り出し、「自分が管理する」と言い出し始める父親もいるのです。

スケジュールを管理をし、子どもに無理をさせる理由とは?

 筆者が塾で講師をしているとき、「自分が管理する」と宣言したある生徒の父親は受験直前期になって別の塾にも通わせ始め、その生徒はほぼ毎日塾に通う羽目になりました。

 生徒が塾から帰宅したら、父親は生徒の横に座り、日付が変わるまで勉強させました。生徒の集中力は、以前にも増して途切れがちに。

 また本人の意思を無視して塾を併用したことで、宿題が増えすぎ、受験での重要単元の復習に時間を割くことができなくなりました。筆者は「悪影響でしかない」と肌で感じたものです。

 受験のラストスパート時期、その生徒と一番仲の良い先生が話を聞いたところ、驚くような言葉が返ってきました。

「父親は自分の受験結果を、職場で自慢したいだけなんだろうね」

 父親がヒートアップしている理由を、この生徒はしっかり見抜いていたのです。結局、受験に失敗。しかし本人は呪縛から解き放たれたような明るい表情で、母親と塾に挨拶にやってきました。

子どもの逃げ場を失い心身ともに疲れさせてはいけない

 子どもに良い教育の場を与えようと、親が熱心になること自体は悪くありません。子どもの気持ちを考えず、ヒートアップすることが問題なのです。

父親は子どもを優しく受け止めよう(画像:写真AC)



 繰り返しになりますが、父親は「仕事感覚」で子どもの成果を出そうと必死になりがちです。しかしそれは、子どもが幼少期や小学校低学年のころから、勉強を話題にできる関係があってこそ。

 それまで関心がなかったにもかかわらず、ある日突然口を出しても、子どもは「寝耳に水」状態。「そんな姿勢だから、成績が悪いままなんだよ」と怒っても、子どもは心を開きません。

 そのような中途半端なことをするなら、これまで通り「母親任せ」を貫き、ヒートアップする母親に叱られて落ち込んでいる子どもを優しく受け止める役に徹した方が、子どもとの関係も安定するのです。

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