愛するわが子を「ひきこもり」から防ぐ、シンプルな3つのポイント

内閣府の調査によると、国内でひきこもり状態にある人は100万人規模に上ります。子どもはなぜひきこもりになり、どうすればその深刻化を防ぐことができるのでしょうか。元塾講師で、子どもの教育問題に幅広く携わってきたライターの中山まち子さんが提言します。


ひきこもり状態の人は約100万人

 川崎市多摩区の殺傷事件や、元農水事務次官による長男刺殺事件を受け、「ひきこもり」への関心や不安が高まっています。自治体や自立支援をしているNPO法人には、ひきこもりの子どもを持つ家族からの問い合わせが相次いでいます。

ひきこもりは誰にでも起こりうる問題(画像:写真AC)



 2019年3月に公表された内閣府の「平成30年度生活状況に関する調査」で、半年以上ひきこもり状態が続いている40歳から64歳は61万人と推計され、多くのメディアで取り上げられました。この数は、15歳から39歳の若年層の54.1万人を上回っています。若年層と中高年層を合わせると、約100万人にもなるのです。

 筆者自身の親戚を見渡しても、ひきこもり傾向の縁者はいます。「ひきこもりがちな人は親戚や友人知人にひとりくらいいる」という状況は珍しくなく、誰にでも起こりうる問題になっているのです。

なぜひきこもりになるのか?

 ひきこもり問題でクローズアップされているのは、就職氷河期の世代です。正社員になれず、非正規労働者として働き始めたものの、会社の業績ですぐに契約を切られる不安定さに嫌気をさし、ひきこもるというケースが多くあります。

 一方、若年層では10代の不登校からそのままひきこもることが多いです。東京都教育庁が2018年10月に発表した「平成29年度における児童・生徒の問題行動・不登校等の実態について」によると、東京都の不登校児童・生徒数は小学校3226人、中学校8762人でした。

 前年度より小学校で282人、中学校で320人増加する一方で、学校復帰率は小学校25.6%、中学校20.1%にとどまっていることも明らかになりました。「まだ若いから自分から立ち直るだろう」と親が判断し、対策を講じないと、子どものひきこもりは長期化する恐れがあります。

 筆者が塾で仕事をしていた時に出会ったひきこもりがちな生徒や、ひきこもり傾向の縁者を見ていると、ある共通点がありました。それは、夫婦仲が悪い、あるいは、片方の兄弟姉妹ばかり可愛がっている親だということです。

 一見すると、「こんな家庭環境で育っていれば、早く家を出たがるのでは?」と思いますよね。しかし実際は、夫婦仲が悪いことで子どもが「自分がふたりの間に入らなくては」と無意識のうちに考え、家から出られなくなるのです。そして、親のあからさまな差別を受けた子どもも、ひきこもっていれば親から愛情をもらえると思い、ずっと家にいる状態になります。

子どものひきこもりを深刻化させないために

 それでは、どのようにしたら子どもの引きこもりの深刻化を防ぐことができるのでしょうか。ポイントは3つあります。

同じ悩みを抱えた人との交流も必要(画像:写真AC)



●ポイント1:親の考えを押し付けない

「早く自立してほしい!」と急かしたり、環境を何の前触れもなく変えたりしないようにしましょう。親がよかれと思ってする行動で、子供の態度が硬化する恐れもあります。「仕事をしないと一人前になれない」など、親の考えを押し付けることはNGです。

 その一方で、あまりにも子どもの意見を尊重しすぎると自立のチャンスを逃してしまうので、子どもの言いなりにはならないように気を付けてください。

●ポイント2:自治体やNPOに相談して第三者を介入する

 子どもが引きこもるのには理由があるはずです。しかし、親子同士だとお互いの意見が衝突するだけで状況を悪化させます。ひきこもり問題は社会問題になっており、行政やNPOの数も増えてきています。こういった専門機関に助けを求めてみましょう。

 ひきこもりの度合いや社会復帰に向けた対策など、専門家の視点の意見はとても大切です。ひとつ目の機関で解決させようとせず、複数の専門機関に相談し、子どもの自立支援を模索していきましょう。

●ポイント3:外に出るきっかけを作る

 同じようにひきこもりの状態になっている人たちの集まりに参加してみて、「自分と同じ悩みを抱えた人がいる」と安心感を持たせましょう。ひきこもりの人は、家族以外との交流がなく、孤独感を感じています。自分から足を運べそうなイベントや場所に出向く回数を増やし、ひきこもりからの脱出を目指していきましょう。

ひきこもりは特殊なことではない

 ちょっとしたきっかけで、子どもは不登校やひきこもりになってしまいます。冒頭で述べたように、内閣府の調査結果によると半年以上の引きこもりは15歳から65歳までの推計を合わせて100万人以上となっています。ひきこもり問題は特殊なものではなく、子どもを持つ親にとっては、いつ自分の身に起きてもおかしくないのです。

「様子を見ていよう」「本人に任せよう」では状況が変わることはありません。解決には時間がかかると腹をくくり、子どもと向き合って自立に向けて積極的に動くことが大切です。


【写真】2019年2月に発売された「ひきこもり部屋の写真集」

画像ギャラリー

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