埼玉県民と同じくらい、都民が「埼玉知事選」に関心を持つべきだった理由

8月25日に投開票された埼玉県知事選挙は、野党4党が支援する元参議院議員の新人・大野元裕候補が当選しました。東京都民にとって埼玉県は隣県で、その知事選挙に関心を寄せる人はそう多くないでしょう。しかしフリーランスライターの小川裕夫さんは都民こそ関心を持つべきとうったえます。いったいなぜでしょうか。


投票率前回より上昇も、わずか32.31%

 2019年8月25日(日)に投開票された埼玉県知事選挙は、元参議院議員の大野元裕(もとひろ)候補が当選を果たしました。

県知事選挙の投票イメージ(画像:写真AC)



 今回の知事選は、4期務めた上田清司知事が退任。16年ぶりに新人候補による争いとなりました。

 前3回の埼玉県知事選は投票率が20%台と低かったためか、選挙管理委員会は漫画家・魔夜峰央さんの人気作品で、実写映画化された「翔んで埼玉」のキャラクターを啓発ポスターに採用。「埼玉県民には…!投票に行かせておけ!!」とのフレーズで投票を呼び掛けました。

 そうした啓発の効果や、新人候補による争いといった要素もあって、投票率は前回より向上して32.31%まで上昇。それでも3人にひとりしか投票に行っておらず、いまだ低投票率であることは否めません。

 埼玉県知事は、県民733万人の生命・財産を預かる重要な職責を担います。その選挙に対して、関心が高まらない理由はどこにあるのでしょうか?

背景に「埼玉都民」の存在アリ

 その一因には、「埼玉都民」と呼ばれる人たちの存在があります。埼玉都民とは、昼は東京で働き、夜は埼玉へ寝るためだけに帰る埼玉県民のことを指し、その数は多いのです。

 約130万人の人口を擁するさいたま市は、東京都心部まで電車で約1時間。人口が約60万人の川口市は、電車で約30分。東京から近く、家賃も比較的に安い埼玉は東京のベッドタウンとして人口を増やしました。

 埼玉県には、そのほかにも川越市・和光市・朝霞市・志木市・新座市・所沢市・草加市・蕨市・戸田市など、東京への通勤者が多く住む自治体がたくさんあります。これらの自治体に住むすべての住民が埼玉都民ではありませんが、それでも埼玉都民の数は想像以上に多いといえるでしょう。

非常時対応のため、東京との連携が密な埼玉県

 埼玉都民は、埼玉県政をときに動かすこともありました。1992(平成4)年から2003(平成15)年まで埼玉県知事を務めた故・土屋義彦知事は、埼玉都民の利便性を向上させるために新宿駅西口に住民票やパスポートを取得できる出先窓口を開設しています。

埼玉県知事選挙に当選した、大野元裕さん(画像:小川裕夫)



 都心回帰・東京一極集中が加速する昨今、埼玉都民は増加傾向にあります。平日昼は東京で働き、週末も東京で買い物や娯楽に興じる。埼玉都民は、生活時間の大半を東京で過ごしています。

 こうしたライフスタイルでは、埼玉県に住所を持っていても興味を示すことはできません。まして、小難しい県政に関心を寄せにくいのが現状です。自分の生命・財産を預ける県知事選の投票に行かないのは、自然な成り行きといえるでしょう。

 一方東京都民にとって、埼玉県知事選はまったくの他人事で済ませるわけにはいきません。なぜなら、埼玉県政と東京都政は地続きになっていて、埼玉県政が東京都政に影響を与えることが多々あるからです。

 3.11の東日本大震災で、首都圏は大きなダメージを受けました。こうした非常時において、都道府県や市区町村といった地方自治体の枠組みを超えて互いに協力する体制が構築されています。

 具体的には、東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県の一都三県および横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市の政令指定都市5市で構成される九都県市は、災害時に避難場所の確保や救援物資の支援などで協力しています。これらの自治体は、常日頃から災害対策などでも情報交換するなど連携を密にしています。

都民、投票権はなくても関心を持つことはできる

 また、2020年に開催される東京五輪も、九都県市の協力なしでの成功はあり得ません。非常時以外にも、東京都と埼玉県は密接な関係にあります。

埼玉県知事選挙に落選した、元プロ野球選手の青島健太さん(画像:小川裕夫)



 今回の埼玉知事選でも、埼玉高速鉄道や日暮里・舎人ライナーの延伸を公約に掲げる候補者がいました。埼玉高速鉄道は、浦和美園駅(さいたま市)~赤羽岩淵駅(北区赤羽)間を走る鉄道路線ですが、東京メトロ南北線とも相互乗り入れをしています。

 現在、埼玉高速鉄道は浦和美園駅が終点になっており、国際試合が頻繁に開催される埼玉スタジアムは、浦和美園駅から徒歩15分かかります。

 仮に埼玉高速鉄道が延伸すると、もっとスタジアムに近い駅が開設される可能性もあり、その場合は都民がサッカー観戦に行きやすくなるメリットが生まれます。日暮里・舎人ライナーの延伸にも同じような効果が見込まれています。道路の整備や上下水道とインフラ整備も埼玉県単独で実施するのではなく、隣県との連携が欠かせないのです。

 そんな埼玉県政の影響を受ける東京都民は、県知事選の投票権がありません。それは仕方のないことですが、投票権はなくても関心を持つことはできます。

 ましてや、一票を有する埼玉県民がその権利を行使しないのは非常にもったいないことではないでしょうか。


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