プロによる家事代行、首都圏で人気上昇中 「整理整頓」や「作り置き」に高いニーズ

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プロによる家事代行、首都圏で人気上昇中 「整理整頓」や「作り置き」に高いニーズ

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女性の社会進出や共働き世帯の増加にともない、注目を集める家事代行サービス。しかし近年、そのニーズが変わってきているといいます。いったいなぜでしょうか。

うまくいかないと感じる家事、1位は「掃除」

 近年、共働き世帯が増えています。総務省統計局の調査によると、2007年時点では全国の女性の69.3%が何らかの仕事をしているのに対し、2017年では78.5%と、その比率は年々高まっています。

仕事と育児の両方をこなす女性のイメージ(画像:写真AC)



 育児をしている東京都の女性の場合でも、2017年時点で6割以上の人が仕事をしているといいます。
 
 背景には、幼稚園をはじめとする育児基盤や企業の育休制度などが整備されたことに加え、女性の就業意識の変化があるといわれています。

全国の女性の労働力人口比率の推移(画像:総務省統計局の労働力調査年報を元に、ULM編集部で作成)
全国と東京の育児をしている女性の有業率(画像:総務省統計局の就業構造基本調査を元に、ULM編集部で作成)

 一方、大日本印刷の生活者トレンド予測「消費のきっかけ2018」によると、既婚女性の約7割が家事について「思うようにいかない」と考えていることが明らかに。

 なかでも特に「掃除」が課題に挙げられています。同社はこの理由について、「毎日積み重ねる作業は『他に誰もやらない』『自分の役目だと思っている』などの意識」が背景にあると分析しています。

全国の既婚女性が改善したいと感じていること(画像:大日本印刷「消費のきっかけ2018」をもとに、ULM編集部作成)

 そんななか、掃除などの家事を手助けしてくれる「時短」家電へのニーズが高まっています。2016年10月末には、日本におけるロボット掃除機「ルンバ」の累計販売台数が200万台を突破しました。

アイロボット社が販売するロボット掃除機「ルンバ」(上)と床拭きロボット「ブラーバ」(画像:アイロボットジャパン)

 同製品を販売するアイロボット社の日本法人・アイロボットジャパン(新宿区)も、アンケート調査を2018年8月に発表。全国の既婚女性が「一番嫌い」と考えている家事が「食事の支度」と「掃除」であることが分かりました。

全国の既婚女性が一番嫌いと考えている家事(画像:アイロボットジャパンの「日常の家事に関する意識調査」をもとに、ULM編集部作成)

 これらのことから、現在ではより多くの女性が「掃除」と「料理」について改善を求めていることが浮かび上がってきます。

ドラマ『逃げ恥』、代行サービス利用を後押し?

家事代行サービスにはさまざまなニーズが寄せられている(画像:写真AC)



 そのようなニーズに応えて急成長しているのが家事代行サービスです。会員数4万人、登録ハウスキーパー数1300人を抱える家事代行マッチングサービス「タスカジ」(東京都港区)代表の和田幸子さんは、家事代行サービスの変遷について次のように話します。

「『タスカジ』を2014年7月に始めた時は、お金を払って家事代行を頼むことが『はばかられる』雰囲気がまだありました。かつては利用料金も高く、『お金持ちの人がわざわざ頼む』というイメージが強かったのです。しかし現在では、サービスを使って、その感想をSNSにアップする方がいるほどです。

 その背景には、主人公が家事代行のスタッフを演じたテレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、2016年10月放送開始)の存在も大きいですね。放送をきっかけに、サービスへの心理的なハードルが低くなりました」(和田さん)

 現在、「タスカジ」の会員は8割が関東圏在住で、そのなかの8割が30~40代の共働き世帯だといいます。依頼内容は掃除から料理、チャイルドケアまでさまざまです。
 
 掃除に関しては、キッチンや風呂、トイレといった水回りに関する依頼が多く、近年は整理収納に関するニーズも増えているといいます。同社では2015年4月から、専門のアドバイザーによる整理収納サービスを展開しており、依頼件数は約2倍に伸びているとのこと。

「タスカジ」のハウスキーパーが提供する掃除サービス(画像:タスカジ)

 整理収納の依頼が増えるのにも理由があると和田さんはいいます。

「ひとつは東京の住宅事情が関係しています。近年では自宅に対して『快適さ』『効率性』を求める流れにあり、自宅に置くものは『大切なものに絞る』といった考えが主流です。そのためには整理収納が必要になります。

 加えて、正しい整理収納には専門的な能力が求められるため、一般の人たちではなかなか取り組めないという現実があります。専門のハウスキーパーが利用者からヒアリングを行い、整理収納のルールやプロセスを作成し、それに沿って利用者が整理収納を行う…という流れで、これらをしっかり決めれば半年から1年程度は整理された状態を維持できるようになっています」(和田さん)

安心安全の「作り置きサービス」、細かいニーズにも対応

 家事代行に負けない伸びを見せるのが、2015年4月から開始した「料理の作り置きサービス」です。料理のプロであるハウスキーパーが依頼者の自宅を訪ね、3時間かけて4~7日分の料理を作るという内容で、現在は依頼の4割以上を占めるといいます。

「掃除と違って、料理は毎日やらなければならないこと。かつ最低1時間はかかり拘束時間が長く、負担も多いのです。スーパーマーケットでお総菜などを買ったり、外食に行ったりという手段もありますが、小さい子どもがいる家庭では、外食は心理的なハードルが高く、お総菜は食品添加物が気になるのです。

 作り置きサービスは、自宅にある調味料で作った、安心できるものを食べたい、家族の好みにあったものを食べたい、ダイエット中だから味を薄くしてほしい…といった細かい要求に応えられるため、ニーズが伸びているのです」(和田さん)

「タスカジ」のハウスキーパーが提供する作り置きサービスの調理例(画像:タスカジ)

今後は「家事のプロ」に社会が注目?

 家事代行サービスはこれからどのように進化していくのでしょうか。和田さんは、それを「拡大家族」と定義しています。

「女性が社会進出するようなったことで、家族と近所のコミュニティが担ってきた関係を、インターネットが結びなおすのです。これまでは何かあれば近所の人を頼っていましたが、インターネットを使うことで、離れた場所に住む能力の高い人と家族のように出会うことができるのです。これが『拡大家族』です」(和田さん)

 また、ハウスキーパーが専門能力を使うことで、今後、家事が「クリエイティブなもの」に変わると指摘する和田さん。「これまでの『家政婦』というイメージを払拭すれば、ハウスキーパーになりたいという人も増えるでしょう」と話します。

 女性活躍社会の実現に向けて、進化する家事代行サービス。これからもその「あり方」や「価値」は日々アップデートされていくでしょう。

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