「はちみつ黒酢」から20年 「飲む酢」新製品続々、フルーツとあわせた飲み方提案も

1996年に「はちみつ黒酢ダイエット」が大ヒットして以降、定着した「飲む酢」。現在はその栄養機能をうったえる商品だけでなく、さまざまな「消費シーン」が各メーカーから提案されています。最新事情を調べました。


機能性表示などが追い風に

 2016年頃から「飲む酢」の人気が再燃しています。「飲む酢」には、水や炭酸などで割って飲む希釈タイプの製品と、そのまま飲むストレートタイプの製品があり、両タイプともに2016年から2年連続で前年比2~4%の売り上げの伸びを見せています(富士経済調べ)。2016年には黒酢、2017年はリンゴ酢が特に注目されました。

さまざまな健康効果がある酢(画像:写真AC)



 1996(平成8)年の「はちみつ黒酢ダイエット」の大ヒットで、「飲む酢」ブームの火付け役となったタマノイ酢(大阪府堺市)と調味料大手のミツカン(愛知県半田市)はそれぞれ、背景について次のように話します。

「酢の健康効果が報道で広まり、調理シーンで酢を使うよりも、手軽に取り入れられる『飲む酢』を購入する消費者が増えたためです」(タマノイ酢)

「ストレートタイプのペットボトル製品が登場し、これまでよりも使い勝手が良くなったことと、機能性が表示されるようになったことで、継続的な消費者のニーズが増えたのです」(ミツカン)

タマノイ酢が展開する「飲む酢」製品。「はちみつマイルドセンナ」は便秘に悩む女性をサポートする成分が入った新商品(画像:タマノイ酢)

 そのような追い風を受けて、近年では乳酸菌入りの製品やカロリーゼロの製品、便秘に悩む女性をサポートする成分の入った製品など、新しい価値を付加した製品が次々と登場しています。

疲労回復をサポートする効果も

「『飲む酢』を摂ると、疲労回復や内臓脂肪の減少などが期待できます」

 愛知みずほ大学(名古屋市瑞穂区)学長で、医学博士の佐藤祐造さんは「飲む酢」の効能についてこう話します。

「人間の体を動かすエネルギーの元は『グリコーゲン』という物質で、ふだんは銀行貯金のように肝臓や筋肉のなかに蓄えられています。酢と糖分を一緒に摂ると、このグリコーゲンの溜まり方を早めることができるため、疲労回復が期待できるのです。『飲む酢』は糖分を含んでいるので効果があるというわけです。

 また、酢を構成する酢酸には、脂肪の合成を押さえつつ、脂肪の分解も促す効果があるため、内臓脂肪の減少、ひいてはダイエットにつながります」(佐藤さん)

佐藤さんによる食酢の定義(画像:佐藤さんのデータを元にULM編集部で作成)

 そのほかにも血圧を下げる効果や、食後の血糖値の上昇を抑える効果、抗菌効果もあると佐藤さんはいいます。

「1日あたり大さじ1杯(15ml)の酢を摂りましょう。『飲む酢』を買うときにも、この数値を参考にしてください」(佐藤さん)

変化する消費シーン、デザート感覚の楽しみ方も

 このような機能面や新製品のほかにも、「飲む酢」を取り巻く環境は変わりつつあります。それは「消費シーン」です。

「飲む酢エキスプレ・ス・東京」の外観(画像:オークスハート)



 東京駅構内で酢を使ったメニューを提供するスタンドカフェ「飲む酢エキスプレ・ス・東京」では、常時20種類の「飲む酢」を用意。加えて、同店を訪れた人たちに新たな飲み方を提案しています。来店客の約8割が女性です。

「当店では、さまざまなフルーツ果汁と酢の組み合わせにこだわり、それらを『デザートビネガー』として商品展開しています。ビジネスパーソンが仕事終わりにふらっと立ち寄って飲むシーン、東京駅に来た訪日外国人が気軽に立ち寄るシーンなどを想定しています。

 これまでのように酢の機能だけをPRするのではなく、さまざまな人たちの消費シーンの一部に、『飲む酢』をデザート感覚で取り入れてもらえればと思っています」(運営元のオークスハート)

 そのような考えから、同店では季節の酢を練り込んだソフトクリームも展開しています。

オークスハートの提案する「飲む酢」の新たな提案(画像:オークスハート)

 先述のメーカー2社も同様の提案を行っています。

「疲れを感じたときに、(糖分を含んだ)おやつや食事と一緒に『飲む酢』をお勧めしています。また、『飲む酢』のなかでも黒酢は、特にアミノ酸やクエン酸が豊富なため、通勤やトレーニングジムといった、体を動かす前後に黒酢を使った『飲む酢』を飲んでいただき、効率的なダイエットを促すこともPRしています。

 酢の抗菌効果で腸内の悪玉菌が減ることに加えて、酢に含まれているグルコン酸が善玉菌を増やすため、デスクワークで腸が固まり便秘がちな人に対して、『飲む酢』の活用をお勧めしています」(タマノイ酢)

ミツカンがウェブサイトで公開しているフルーツビネガーウォーターのレシピ(画像:ミツカン)

「『飲む酢』は『朝、起きたとき』『家でくつろぎながら』『風呂上り』に飲まれることが多いため、このようなシーンと合わせて、朝食メニューとしてグリーンスムージーや野菜ジュースに『飲む酢』を加えることを提案しています。

 また、フルーツビネガーウォーターは見た目も華やかできれいなため、女性に試してほしいです」(ミツカン)

 20年前のブーム後も、その姿を変えつつ、現在でも多くの人に愛されている「飲む酢」。タマノイ酢、ミツカンは今後さらに「飲みやすいフレーバー商品」「新たな顧客層を狙った商品」の開発を進めていくとのことです。


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