チーズを極めて四半世紀、日本橋の輸入卸代表が語る「僕の好きなチーズ」と「2019年最新トレンド」

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チーズを極めて四半世紀、日本橋の輸入卸代表が語る「僕の好きなチーズ」と「2019年最新トレンド」

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目新しいチーズがさまざまに輸入される昨今。1967(昭和42)年の創業時より、輸入チーズを取り扱う日本マイセラの2代目社長、前田修央さんにチーズのトレンドなどについて教えてもらいました。

チーズ好きの行き着く先は「熟成系」?

 さまざまな国から、目新しいチーズが輸入される昨今。百貨店やスーパーのチーズ売り場で、それらを眺めているだけでも楽しいという人も少なくないでしょう。しかし、輸入チーズは高価なため、いざ購入するとなるとなかなかチャレンジできず、結局食べなれたものを買うという人も多いのでは。

最近のトレンドのひとつ「ブリー・トリュフ」(画像:日本マイセラ)



 そこで、1967(昭和42)年の創業時より、輸入チーズを取り扱う日本マイセラ(中央区日本橋浜町)の2代目社長・前田修央(のぶてる)さんに、お気に入りのチーズと最近のトレンドを聞きました。

 日本マイセラは輸入チーズの卸業の他に、ナチュラルチーズの専門店「チーズ・オン ザ テーブル(Cheese on the table)」を全国展開しています。本社の1階に同店本店があり、ゆったりとチーズを選ぶことができる空間となっています。社名の「マイセラ」は、初代社長が最初に輸入したデンマーク産チーズ「ミセラ」のスペル「mycella」が由来だそうです。

「僕のチーズデビューはかなり早かったですよ」と話す前田社長の父親は、同社の初代社長。そのため子どもの頃よりチーズを頻繁に食べていたそうで、「よく、きゅうりに味噌やもろみをつけて食べますが、私の家ではブルーチーズをつけて食べていました」と笑います。

 思い出に残る「おふくろの味」は、プレーンのクリームチーズにフルーツ缶詰のシロップを混ぜてペースト状にし、それをパンに塗って食べるものだったとのこと。

「昭和40年代に、デンマーク産のクリームチーズをこんな風にして食べていた子どもは、恐らく私だけだったのでは」と前田社長。それは間違いないでしょう。昭和にして、かなり洒落たお袋の味です。

「チーズ星」で育ったような前田社長に、お気に入りのチーズを3つ挙げてもらいました。

 ひとつ目は、イタリアの「パルミジャーノ」。日本でもおなじみのチーズです。熟成期間が長いためアミノ酸の塊のような状態で、うま味成分がたっぷり。ポロポロと柔らかく崩れる食感、粒感も好きな点のひとつだそうです。

最近の3つのチーズトレンド

 お気に入りのチーズふたつ目は、フランスの「コンテ」。同国で最も人気の高いチーズのひとつです。ハードタイプの山のチーズで、原産地はフランシュ・コンテ地方。熟成期間は最低でも4か月、長いものになると2年近いものもあります。

フランス産「コンテ」(画像:日本マイセラ)



 3つめは、フランスの「ボーフォール」。こちらも「コンテ」同様、山のチーズで熟成期間は最低でも4か月。新鮮なミルクから作られ、しっとりとした食感ながら濃厚な味わい。その美味しさは、「チーズ界のプリンス」と称されるほどだそうです。

 好みは3つとも熟成タイプ。「人間の身体の構造的なものなのか、頻繁にチーズを食べている人ほど、熟成系のチーズを好むようになるみたいです」と前田社長はいいます。

 次に、最近のチーズトレンドを教えてもらいました。

 近年需要が高まっているのが、ブルーチーズだそうです。「テレビで医師が、血管の若返りに効くと話したことが一因にあるようです」とのこと。ブルーチーズは種類豊富ですが、前田社長のオススメは値段も手頃なデンマーク産の「ミセラ」。トロリとした食感で、スティック野菜のディップにもいい「ブルーチーズ ドルチェ」もオススメ。ブルーチーズの中でもマイルドで食べやすいと話します。

 バッフォロー系のカマンベール、モッツァレラ(ブラータ)、ブルーチーズも人気アイテム。カマンベールのバッファロー系は、白カビ部分がさらに白く、乳脂肪分が高い分、コクがあります。ブラータは、モッツァレラの生地にクリームを包みこんだフレッシュチーズで、口どけの良い食感がたまりません。

 トリュフ系チーズも需要増の傾向にあるといいます。特に人気高いのがブリー・トリュフ。白カビ熟成タイプのブリーを半分にカットし、黒トリュフを刻んで練り込んだクリーミーなペーストを中央にはさんだものです。

 トリュフ系チーズで、同店での売れ筋商品が「パルミジャーノ クリーム トリュフ」。パルミジャーノに生クリームを合わせた濃厚なチーズクリームに、トリュフがたっぷりと入った香り高い一品です。

 ブルーチーズ、バッファロー系、トリュフ系。この3つが2019年現在のトレンドだそうです。

前田社長が指南する、チーズ選びのコツ

 同店にある目新しい商品で、今後人気が高まりそうなチーズを聞くと、「オールド アムステルダム」と「ホワイトスティルトン マンゴー&ジンジャー」を挙げました。

 オールド アムステルダムは、オランダでかなりメジャーなチーズだそうです。ある宇宙飛行士が、これをまるごとひとつ、スペースシャトルに持ち込んだという逸話があるほど。試食させてもらうと、熟成期間が1〜2年と長いことから濃厚な旨みが感じられ、ほんのりとした甘みや粒の食感も楽しめるおいしいチーズでした。「ワインだけではなく、ビールや日本酒にも合います」と前田社長。

 ホワイトスティルトン マンゴー&ジンジャーは、デザート感覚で楽しめるチーズ。ホワイトスティルトンとは、青カビの入ってないスティルトン(イギリスのチーズ)のことで、これにドライマンゴーとジンジャーを加えたものです。マンゴーの甘みとジンジャーのさわやかさ、モロッとした食感がクセになりそうなチーズでした。

イギリス産「ホワイトスティルトン マンゴー&ジンジャー」(画像:日本マイセラ)



 最後にチーズ選びのコツについて聞くと、前田社長は次のように語りました。

「チーズは人によって好みが大きくわかれるものなので、色々食べてトライアンドエラーを繰り返しながら、自分の好みのものを見つける。それが一番いい方法というのが、私が四半世紀以上この商売をやってきて思うことです」

 数年前、ある国際的なチーズコンテストに前田社長が審査員として参加した時のこと。チーズの業界で誰もがその名を知るような識者も大勢集まり、実際に食べてチーズの点数をつける評価方式でした。

「そうしたら、ひとつのチーズに対して審査員がつけた点数に、びっくりするほど開きがあるものがいくつかあって。意見がこんなにバラバラに分かれるものに対して順位をつけるのは、審査員としてというより、人として、これどうなんだろう? と思いましたね」

 チーズはそれだけ、奥深く、そして幅広いものということなのでしょう。自分好みのタイプを知るのがチーズ選びの一番のコツというのも頷けます。

 輸入チーズも、トライアンドエラーが繰り返せるように、価格がもう少し下がってくれると嬉しいところです。さしあたっては、今回紹介したチーズをぜひトライしてみてください。

●チーズ・オン ザ テーブル 本店 概要
・住所: 東京都中央区日本橋浜町3-1-1日本マイセラビル1階
・営業時間:11:00~19:00(土17:00)
・定休日:日祝
・アクセス:半蔵門線「水天宮駅」から徒歩約3分

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