主婦の子育て問題、解決のカギは「現状肯定」「体験共有」かもしれない
ママの「自分時間」捻出は、パパの理解力次第? 平成の31年間で、日本のママたちを取り巻く環境は大きく変わりました。核家族化が進み、夫婦のみで育児を抱え込むことが増えるなか、共働き家庭も増加。その分、ママの負担が増えてしまい、疲弊する様子も散見されます。 核家族化が進み、祖父母に子どもの面倒を見てもらう機会が減りつつある(画像:写真AC)「ママの『自分時間』は必要だと、周囲の人に理解されていますか?」 ウェブメディア「ウーマンエキサイト」が、平成の時代を生きたママたち1199名に調査を行った結果、上記の質問への回答は「理解を得られていない」が最も多く、55%でした。一方、「理解されている」と答えたのは31%。理解を周りから得られていないと感じているママが半数以上に上りました。 なお、「理解されている」と回答した人へ「誰に理解されてると感じますか?」と質問したところ、1位は「パパ」で87%。逆に「理解を得られてない」と答えた人に「誰に理解されていないと感じますか?」と質問したところ、こちらも1位は「パパ」で76%でした。 また、「平成で終わりにしたいこと」「変えていきたいこと」「これからの時代に期待すること」を聞いたところ、1番多かったのは「家事育児は女性負担が多いのが当たり前という価値観を終わらせたい」という意見(55%、複数回答可)。 次いで「男性も女性も勤務時間が長い『働き方』を終わらせたい」が49%、「子どもの虐待やいじめ問題などを減らしたい」42%、「待機児童問題(保育士さんの待遇)を解決してほしい」が39%でした。 誰かが先頭を切ることで、「私も!」を言いやすい環境へ誰かが先頭を切ることで、「私も!」を言いやすい環境へ 上記の結果を受け、ウーマンエキサイトは、令和の時代に向け、「OPEN子育て」を提案しています。「ママがひとりでがんばるのではなく、ママが個人としても人生を楽しみ、家族みんなが笑顔でいられる社会になってほしい」といいます。 ママ自身が人生を楽しむことで、家族が笑顔に(画像:写真AC) 具体的には、「ダメな自分も、さらけ出しちゃえ」「どう思われるかより、どう思うかを優先」「夫には頼りすぎるくらいでちょうどいい」「家族からSNSの向こうまで、仲間は世界中にいる」「会社や社会の制度は、ありがたく使い倒す」「家事も育児も、アウトソースはもちろんOK」「人も、自分も、否定しない」「人生の楽しみ方も、伝えられるママへ」「ちゃんとママな自分より、ちゃんと自分なママに」と言語化し、示唆しています。 ですが、生真面目だったり、周囲に気を使いがちだったり、口下手だったり、抱え込みがちだったりする人の場合、その思考にいきなりシフトするのは難しいように思います。ウーマンエキサイト編集部に話を聞きました。 「確かに、自分がどう思っているか、声を出すことが得意じゃない人も多いと思います。ですが、誰かが先頭をきって思いを口にしていくことで、『私も!』と言いやすくなることがあると思います。 なので、メディアとして、例えば、言いたいことを声にできなかった人の立場の体験談などを発信していくことで、内側に押し込めている気持ちを、さらけ出すきっかけをつくれたら。『私も!』を言いやすくなる環境づくりができたら、と考えています。 それによって『私だけかも?』と悩んでた人が『私だけじゃなかったんだ!』と声を出すキッカケになり、対話がしやすくなることを目指しています。体験談の記事には、そういった共感の声がたくさん届いています」 「配偶者とのズレは生じるのがデフォルト」「配偶者とのズレは生じるのがデフォルト」 一方、パパとの関係性については「出産を機に配偶者とのズレは生じるのがデフォルトと考えておくほうが良いかもしれません」と話してくれました。それは決してネガティブなものではなく、子育てという、大きな共同プロジェクトに取り組んでいくため、重要といいます。 「全ての夫婦に当てはまるとは限りませんが、母親のほうが、一足先に『親』としての自覚を高めることが多いです。そこに、パパが追いつけずにいると、亀裂が生じてしまいがちです。ですが、もともと、そういうものであると考えていれば、どう対応していけば良いかを、考えやすくなるのではないでしょうか」 ポジティブな思いを「可視化」する取り組みも実施 なお、ウーマンエキサイトは、このほかにも、子育てをしやすい社会を形成するための取り組み「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を行っています。 「WEラブ赤ちゃん -泣いてもいいよ!-」ステッカー(画像:ウーマンエキサイト) 同プロジェクトは、「赤ちゃんが泣いてしまい、周囲に迷惑をかけてしまうのでは」と不安に思うパパやママへ、周囲の人が「大丈夫だよ」「泣いてもいいよ!」と伝えるためのもので、エッセイスト紫原明子さんの呼びかけから、2016年に始まりました。 賛同企業の店舗や、14の都道府県で、「泣いてもいいよ!」と書かれたステッカーの配布(詳細は公式サイトをご確認ください)が行われるほか、サイト内には、幅広い世代からの賛同コメントが寄せられています。 「メディアとして、課題にまつわる事柄を発信するだけでなく、リアルな世界の中でどのように解決していくか。そこに目を向けたいと考えています」(ウーマンエキサイト編集部) 助けを求めたい時にはSOSを。「私だけ……?」と悩んでいることを、発してみる勇気を。今より半歩でも進んで、互いの思いを共有し、周囲と対話を繰り返すことで、「令和」が、呼吸しやすい時代になっていくのかもしれません。
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