「ギャル = 渋谷」「オタク = 秋葉原」もはや過去 崩壊を加速させた「TikTok」の特殊機能とは

東京にはさまざまな特徴を持つ街があって、例えば渋谷なら「ギャルの街」、秋葉原なら「オタクの聖地」などと語られてきました。しかし今、こうしたイメージが崩壊しつつあるようです。フリーランスライターの伊藤美咲さんが解説します。


土地とイメージが切り離された現代

 渋谷にはギャルがいて、秋葉原はいわゆるオタクの街だ、というイメージを持っている人は多いと思います。

「渋谷のギャルに人気!」「オタクの聖地、秋葉原」といった表現も、これまでメディアで散々使われてきました。

渋谷にはギャルがいて、秋葉原にはオタクがいる――。そんな従来型のイメージが、すでに崩壊しつつある(画像:(C)Google)



 しかし今、そうしたイメージと実態が少しずつ乖離(かいり)しつつあるようです。一体なぜなのでしょうか。

イメージ崩壊の背景にはTikTok?

 地名にひもづくイメージが薄れていった背景には、SNS、とりわけTikTokの流行がひとつの要因としてあると筆者は考えます。

 TikTokとは、BGM付きのショートムービーを投稿するプラットホーム。

 当初は高校生を中心とした若い世代にはやっているという印象がありましたが、最近では企業の社員がプロモーションのために使用したり、芸能人が参入したりとユーザーの属性や年齢層は拡大し続けています。

 TikTokはBGMに合わせてダンスをする動画がメインですが、中でも「変化」や「ギャップ」のある投稿にはより注目が集まり、多くのコメントが寄せられる傾向があります。

 例えば、ダイエットやメイクのビフォーアフターといった劇的な変化や、見た目はチャラいのに難関大学に通っていたり、いわゆるオタクっぽい外見なのにハイテンションでダンスを披露したりするなどのギャップです。

 これまで「ギャルは勉強が好きではない」、「オタクは根暗が多い」といった潜在的な先入観があったからこそ、想像つかない意外なギャップに驚かされている人が多いのでしょう。

「街」の役割を代行し始めたSNS

 ネット文化やSNSが今ほど発達する以前、若者は自分の嗜好(しこう)に合う街へと出掛けて、買い物を楽しんだり仲間と集まったりしてきました。冒頭に挙げた渋谷や秋葉原は、そうした趣味色の強い街の代表例ともいえるでしょう。

 しかしSNSが日常のコミュニケーションツールとなり、ネット通販などでの買い物も容易になったことによって、リアルな街に集うことのプライオリティーは少しずつ低下してきています。

 ネットを通じて接する情報が増えた分、個々人の趣味も多様化し、ある調査では15~24歳の女性のうち自身を「ヲタ(オタク)」だと自認する割合は67%にも上るといいます(調査は2020年4月24日~5月1日、全国8201人を対象にSHIBUYA109 lab.とCCCマーケティングがウェブ上で実施)。

15~24歳の女性8201人に「自分がヲタと言えるものはあるか」と尋ねたところ、実に67%が「ある」と回答(画像:SHIBUYA109エンタテイメント)



「ギャル」「オタク」といった画一的なイメージに捉われず、「自分の好きなもの」を見つけ出すスタイルは、現代の若者ならではの特徴。それを支えているツールのひとつにSNSがあることは間違いありません。

 それでは、すでに何年も前から定番SNSとなっていたTwitterやInstagramと、比較的新しいTikTokとの間には、どのような違いがあるのでしょうか。

Twitter、インスタと何が違うのか

 TwitterやInstagramなどこれまでのSNSは、知り合いや趣味の合うユーザー同士でつながることが多いツールでした。「#〇〇な人と繋(つな)がりたい」「#〇〇が好きな人と繋がりたい」というハッシュタグも、よく見掛けるのではないでしょうか。

 つまり、いわゆる「同じ界隈(かいわい)」でのつながりに主眼を置いた使い方がされてきたのです。アニメについて語られた投稿を、アニメを全く見ない人が見ても話せることがないので、当然と言えば当然です。

 このように自分がフォローしている趣味の合うユーザーの投稿をメインに見るTwitterやInstagramに対して、TikTokは「おすすめ」で表示される投稿を見るのが主流です。

 もちろんTikTokにも、お気に入りのユーザーの投稿を見逃さないための「フォロー機能」はあるのですが、おすすめ欄を見る時間の方が圧倒的に長いので、自分の趣味に関係なくさまざまな人の投稿を見る機会が多くなります。

ブラウザー版のTikTokトップページ。変わった動画が次々に紹介されていく(画像:TikTok)



 先述した通りTikTokはBGMに合わせたダンスの動画が主なので、自分と趣味や年代などが違う人の投稿でも気楽に楽しめるのが特長。さらに1投稿15秒から1分と短いので、サクサクと飽きずにたくさんの動画を見ることができます。

 リアルな街でも、TwitterやInstagramでも出会いにくかった「年代も属性も趣味も自分と違う人」との出会いをTikTokが創り出したことで、ユーザーたちの興味の範囲はますます広がり、「ギャル」や「オタク」といった区分けの境界がいっそう融解していったのではないでしょうか。

トレンドの主戦場は街からSNSへ

 最近のトレンドニュースは、必ずと言っていいほど「SNS」というワードがセットになっていると思いませんか?

 かわいくて写真映えするスイーツや絶景の観光地、日常生活で使える便利アイテムなどと共に「SNSで話題」というワードを頻繁に目にします。

 対して「渋谷の女子に人気」「新宿で話題」など、地名とひもづけられてトレンドになっているケースは、以前と比べてずいぶん少なくなったように感じます。

 現在20代前半の筆者も実際、何かを買うときにはSNSで口コミを調べたり、バズってタイムラインに流れてきた観光地に行ってみたりと、自然とSNSでトレンドを追っていることに気付きました。

 それこそTikTokから楽曲が流行することもあります。2020年末の「NHK紅白歌合戦」への出場も目される、注目の新人アーティスト瑛人(えいと)さんの歌う「香水」などが分かりやすい例でしょう。

TikTokから人気に火が付いた注目の新人アーティスト瑛人さん(画像:瑛人オフィシャルサイト、SETSUNA INTERNATIONAL.)



 これまでのトレンドといえば東京、さらに言えば若者が集まる街である渋谷や原宿、秋葉原などから発信されることも多かったように思いますが、現代は地方であってもSNSでバズって話題になれば商品がたちまち完売したり、飲食店やホテルに予約が殺到したり、なんてこともざらにあります。

 まさにトレンドの舞台はSNSに移行していると感じますし、この流れはこれからも続いていくのではないでしょうか。


【調査結果】20歳前後の女性7割近くが「オタク」を自認 みんな何にハマっているの?

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