日本古来の学問に特化 神主も、アスリートも輩出する「国学院大学」とはどのような大学なのか
国学と神職養成機関の伝統を引き継ぐ 1920(大正9)年、私立大学として初めて大学に昇格した早稲田大学(新宿区戸塚)と慶応義塾大学(港区三田)。それらに次いで認可された六つの私立大学のひとつに、国学院大学(渋谷区東)があります。 国学院大学の渋谷キャンパス(画像:(C)Google) 国学院大学は近年、スポーツの強豪校としてその知名度を誇っていますが、国学(日本固有の思想・精神を究めようとする学問)の流れを受け継ぐ文学部や神職(神社の祭儀や事務に従事する職。神官。神主)の養成機関としても名高く、関連本を中心とした大学の蔵書数は約160万冊に上ります。 キャンパスは、東京メトロ日比谷線の恵比寿駅から徒歩15分の渋谷キャンパス、野球場や球技場の施設も備えたたまプラーザキャンパス(横浜市)のふたつです。 また、学部・学科は ●文学部 ・日本文学科 ・中国文学科 ・外国語文化学科 ・史学科 ・哲学科 ●経済学部 ・経済学科 ・経済ネットワーキング学科(2020年度から募集停止) ・経営学科 ●法学部 ・法律学科 ●神道文化学部 ・神道文化学科 ●人間開発学部 ・初等教育学科 ・健康体育学科 ・子ども支援学科 で、学部生は9830人となっています(2020年5月1日現在)。 起源は明治期の皇典講究所起源は明治期の皇典講究所 国学院大学の起源は、明治政府が1882(明治15)年に設置した皇典講究所(こうてんこうきゅうじょ)という研究機関です。 明治維新で日本が欧米諸国を手本に近代化していく一方で、日本古来の神道(日本固有の民族信仰)や江戸時代に確立した国学が廃れないよう、この分野に精通した人材育成を目指していました。 初代総裁には五箇条の御誓文の原文を揮毫(きごう)し、書家として名高い有栖川宮幟仁(たかひと)親王が就くなど組織として大きなものだったことが分かります。 横浜市にあるたまプラーザキャンパス(画像:(C)Google) 現在の国学院大学の名は、1890(明治23)年に皇典講究所を母体に開校した「国学院」に由来します。 国文学、国史や国法を学ぶ教育機関としての役割は脈々と受け継がれ、旧制大学以来からある文学部は別格視される存在です。 戦後、皇典講究所は解散し、財団法人国学院大学として歩み始め、昭和から平成にかけて大学進学者数の増加に合わせるように学部の新設や改編を行い、現在に至っています。 半数近くが神職に就く神道文化学部 文学部と同様に、歴史ある神道文化学部は日本で唯一となる神道の学部を有し、国内の大学では2か所しかない神職資格所得課程があります。 2019年度は卒業生のうち、120人が神職資格を取得。この数字の通り、就職に関しても他学部とは傾向が異なります。 約200社の神社から求人申し込みがあり、2020年3月に神道文化学部を卒業した学生の48%が神職に就いています。 東京都内にある鳥居のイメージ(画像:写真AC) また、神社の後継者だけではなく一般家庭出身の学生が在籍しているのも特徴のひとつです。 敷居が高そうな神社への就職も、在学中に雅楽や和歌、御幣の作り方など神職には欠かせないスキルを学べる課外活動が行われ、学生のサポート体制が整っています。 神道ということもあり、日本の歴史や宗教観を中心に勉強すると受け止められがちですが、世界の宗教も同時に学び、さまざまな角度から物を見る教育を行っています。 新型コロナウイルスの感染拡大によって外国人観光客は激減していますが、日本文化への関心は高まっているため、彼らの宗教観を知り接することは、もはや神職として必要なスキルとなっています。 このような時代背景も踏まえ、神道文化学部の存在感も増してきていると言えるでしょう。 スポーツ強豪校の一面もスポーツ強豪校の一面も 日本古来の学問に特化しているイメージのある国学院大学ですが、スポーツ強豪校としても有名です。 硬式野球部が所属する東都大学野球連盟では結果を残し、東都大学野球選手権の2010年秋季1部リーグで見事優勝を果たしています。 発足が1920(大正9)年と、大学の認可と同年から存在する硬式野球部は日本プロ野球選手会も務めた嶋基宏(楽天 → ヤクルト)など、数多くのプロ野球選手を輩出しています。 また、ここ数年では陸上競技部も大きな実績を上げています。 2019年の出雲全日本大学選抜駅伝競走で初優勝を飾ると、2020年の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)で過去最高となる総合3位という成績をおさめました。 駅伝のイメージ(画像:写真AC) 過去の箱根駅伝では、出場しても思うような走りができず低迷することもありましたが、着実に力をつけており2021年以降の飛躍が大いに期待されています。 伝統と新しさを兼ね備えた大学 国学院大学はその起源が他大学と異なり、特別な教育機関として始まりました。 国学院大学のウェブサイト(画像:写真AC) 一方、2021年度から観光学部の新設に向けて動き出し、時代に合わせた大学運営を行っています。 伝統と新しさを兼ね備えた国学院大学の挑戦はこれからも続き、多種多様な志を持つ学生が集う大学と言えるでしょう。
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