私だって「ほんのり酔いたい」夜がある……浅草の「日本酒アイス」が女性に人気を博すワケ
アルコール度数4%の「ほんのり酔える」日本酒アイスが今、人気です。ヒットの理由は、アルコール離れが指摘される若い女性をターゲットにした商品開発にあったようです。ビールだけがアルコール需要ではない アルコール度数3%のサントリー「ほろよい」をはじめ、低アルコール飲料が堅調な人気を見せています。 お酒といえば以前なら、ジョッキのビールに代表されるような「タフでマッチョ」なジャンルというイメージ。しかし今や「デザートのように甘くおいしく、ほろよい気分を味わえる」ものとしての需要も女性を中心に高まって、アルコール市場の一角を担うまでになりました。 ほんの少しだけ酔いたい夜がある、そんな女性が増えている?(画像:写真AC) この「デザートのよう」でいて「ほんのり酔える」というニーズをそのまま体現しヒットした商品があります。日本酒を練り込んだアイスクリーム「SAKEICE(酒アイス)」です。 度数4%の「日本酒アイス」好調の背景 日本初という「高アルコール濃度アイスクリーム」SAKEICEはアルコール度数が4%。お酒がそこまで強くないという人であれば、1個で十分「ほろ酔い気分」を味わえる一品です。2020年3月、台東区浅草に実店舗がオープンしました。 人気上昇中の「SAKEICE」(画像:えだまめ) 開店直後から大勢の客を集めたものの、新型コロナウイルスの影響で営業時間が短縮に。そこで通信販売事業の立ち上げを掲げてインターネット上のクラウドファンディングで支援金を募ったところ、目標設定金額(30万円)の実に9.3倍に当たる280万円超が寄せられる反響を集めました。 この商品がこれほど受けた理由は何なのか、企画・販売している株式会社えだまめ(渋谷区恵比寿南)広報担当の丹波(たんば)由布子さんにお話を聞きました。 アルコール離れの若者ターゲットアルコール離れの若者ターゲット そもそも同社がSAKEICEの開発に乗り出したのは、SNS上で若い女性たちの「アイスにお酒をかけて食べるとおいしい」という投稿を目にしたのがきっかけ。 アイスもお酒も好きという同社開発メンバーたちが「お酒を練り込んだらもっとおいしいのでは?」と発想し、試作に着手したといいます。 「開発の際に直面した課題は、アルコール度数を高めるとアイスが固まりにくくなるという点です。アルコールは氷結温度が低いので、通常のアイスの製造工程ではなかなか凍りません。また日本酒を加え過ぎるとアイスクリーム状にならない……。何度も検証を繰り返すことで、ようやく現在のレシピと製造方法にたどり着きました」(丹波さん) 看板商品のフレーバーは、その名も「日本酒」。生クリームなどたっぷりの乳成分を含んでいるのに、日本酒らしいすっきりとしたキレを感じられて、最後のひと口まで飽きの来ない端麗な味わいです。 浅草にある実店舗(画像:えだまめ) これまでのところ客層は女性が全体の7割、年代では20~30代が8割なのだとか。 「アルコールアイス」というジャンルの新しさ、またアルコール分そのものは決して強過ぎず、アイスとしての味も秀逸――といった特長が組み合わさり、「若者のアルコール離れ」を指摘される層の支持を集めたことが、ヒットの背景にあると言えそうです。 全国の酒蔵とのコラボ商品も拡大中 2020年5月現在、展開中のフレーバーはアルコール入り・無しを合わせて計13種類。日本酒市場の活性化にも尽力したいとの思いから、北海道旭川市の「男山」や兵庫県西宮市の「日本盛」など、全国の酒蔵とのコラボ商品も展開しています。 有名酒蔵とのコラボ商品も展開中(画像:えだまめ)「普段は日本酒になじみがないという人にも、SAKEICEを通じてその味わいを知ってもらえたら」と丹波さん。新たなコラボ先の酒蔵を探しているほか、6月以降は浅草の実店舗だけでなくレストランなど飲食店との提携も検討しているとのこと。 アイスは1個500円(税抜き)。浅草店の営業時間は、5月22日(金)現在、12時~17時です。東京都に対する「緊急事態宣言」の解除や都の方針決定を見極めながら、通常営業(10~18時)の再開を決める予定です。
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