無料で読み放題!東京にいるなら一度は体験したい。漫画までそろっている国会図書館で本に明け暮れる
「国立国会図書館」というと、近づきがたいイメージがありませんか?実は、国際子ども図書館があったり、日本国内で出版された漫画を所蔵している、本好きにはたまらない図書館なんです。エデュケーショナルライターの日野京子さんが解説します。 全国津々浦々、たくさんの図書館があります。小学校にも必ず「図書室」があり、教室内でも担任教員によっては「学級文庫」を設置してミニ図書館のようなコーナーがあったという思い出を持つ方もいることでしょう。 また、委員会活動では図書委員があったりと学校生活での身近な施設の一つです。 国立国会図書館(画像:photoAC) そして公共施設の中でもとくに幅広い世代に利用されている図書館ですが、実は東京都内には公立図書館が約390館あり、蔵書数は約5000万冊と全国最多を誇ります。 小さい頃から慣れ親しんでいる図書館や図書室の中でも別格の存在で、身近な存在とは言い難いのが政治の中心、千代田区永田町にある「国立国会図書館」です。 国内で唯一、日本で出版された全ての本を納本、収集する図書館で蔵書数は約4500万冊(令和元年度)になります。 赤坂迎賓館が図書館だった時代もある 図書館の歴史は明治時代までさかのぼります。 1872(明治5)年設立され文部省に属していた日本初の国立図書館としての機能を持つ帝国図書館、そして1890年(明治23)年に大日本帝国憲法により開設された帝国議会に属していた貴族院と衆議院の図書館を源流に持ちます。 戦後1947(昭和22)年に国会が初召集されましたが、国会法130条「議員の調査研究に資するため、別に定める法律により、国会に国立国会図書館を置く」に基づいて翌1948年に現在の国立国会図書館が設立されました。 赤坂迎賓館(画像:photoAC) 設立したばかりの頃は現在の赤坂迎賓館、当時の赤坂離宮を仮庁舎としていました。そのため、利用者は絢爛(けんらん)豪華なシャンデリアの下で書籍を閲覧できるという、今では考えられないような非日常的な雰囲気の中で利用できたといううらやましい時代もありました。 蔵書数が増え、現在は「国立国会図書館」には3つの施設があります。 千代田区永田町の「東京本館」、京都府相楽郡精華町精華台に2002(平成14)年に開館した「国立国会図書館関西館」と台東区上野公園にあるかつての帝国図書館の建物を利用している「国際子ども図書館」です。 今では自治体の図書館にも漫画の蔵書は珍しくありませんが、国会図書館では設立当初から収集しています。そのため日本国内で出版された本は漫画も含めて蔵書リストに入っており、本が好きな人だけでなく漫画を堪能することもできる図書館です。 国際子ども図書館(画像:photoAC)デジタル化が進む国立国会図書館の蔵書 三つの基本的な役割を持ち、図書館の名前が示す通り主に国会活動のサポートを行っています。豊富な蔵書をもとに国会議員への資料や情報提供や調査報告書の作成をしており、一般的な図書館とは異なる役割を果たしています。 この他に、資料・情報の収集と保存情報資源の利用提供が役割の柱になっています。 また、普通の図書館では年齢制限なく何歳からでも利用できますが、国立国会図書館は満18歳以上でなければ利用することができません(国際子ども図書館を除く)。 館外への持ち出しも認められておらず、「図書館」というよりは博物館的な要素も兼ね備えています。 7月21日以降は新型コロナウイルスの感染拡大予防策として、抽選予約制で一日の利用者を制限する措置が続いていましたが現在は、土曜日を除く開館日では予約制が撤廃されました。 しかし、在館人数が千人に達した時点で入館制限が実施されているため、やはり近隣の自治体の図書館のように気軽に通う図書館とは違います。 このように、多少なりとも通いづらいイメージがありますが、現在では貴重な蔵書のデジタル化に力を注いでいます。 著作権保護期間が満了または承諾した蔵書を始め、今年2月からは絶版などで入手困難な書籍約153万点をインターネット経由で閲覧することも可能になりました。 入手困難な書籍もネットで見られるようになった(イメージ画像:photoAC) インターネットが発達する以前は、国立国会図書館に足を運び閲覧するしかなかった貴重な書籍を会員登録することで家にいながら目にすることができるようになったのです。 利用者登録もオンラインから可能 現在では、利用者登録もオンラインからできるようになっています。住所・氏名の他に本人を証明する運転免許証など必要な画像を添付し、スマートフォンやパソコンから登録申し込みが完了できます。 館外への持ち出しができず、あくまで館内での閲覧や複写サービスと自治体の図書館と役割が違いますが、本愛好家にとってはまさに天国のような場所です。 しかし、全国の本好きからすれば、足を運びたくても遠すぎる図書館で、「高根の花」のような存在。 インターネットのおかげで国立国会図書館との心理的な距離は近づきましたが、やはり本を実際に手にとってみる魅力は、何物にも代えがたいものがあるのではないでしょうか。 永田町周辺(画像:photoAC) まだまだ残暑厳しい時期が続きますが、やがてくる読書の秋に向けて永田町にある国立国会図書館に出かけて読書ざんまいを堪能してみてはいかがでしょうか。 ※新型コロナウイルス感染状況により入館制限の条件が変わることがあります。必ず公式ホームページで確認してください。 ■国立国会図書館東京本館 住所:東京都千代田区永田町1-10-1 TEL:03-3581-2331 アクセス:東京メトロ有楽町線・半蔵門線・南北線 永田町駅より徒歩5分
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