サバの水揚げ日本一、茨城県発のサバ専用酒とは?「ほかの料理とは合いません」

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サバの水揚げ日本一、茨城県発のサバ専用酒とは?「ほかの料理とは合いません」

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空前のサバブームのなか、日本一のサバの漁獲高を誇る茨城県でふたつの酒造がサバ専用酒を開発。昨年(2018)発売されたのが「SABA de SHU(サバデシュ)」、今年3月に「SABA de CHU(サバデチュウ)」が新発売されました。それぞれ、どんなお酒なのでしょうか。

サバ水揚げ量日本一の茨城で、ブームに目をつけた老舗酒造

 世は空前のサバブーム。日本一のサバの漁獲高を誇る茨城県で、その約半数程度を水揚げするはさき漁業協同組合(神栖市)によると、2018年の暮れはサバの漁獲量が通年とほぼ変わらずも、価格は1.5〜2倍であったとのこと。「サバブームの威力を実感しました」と話します。

 サバの漁が盛んな茨城県で、このブームに目をつけたふたつの老舗酒造がありました。

茨城県水戸市のふたつの酒造がサバ専用酒を作っている。写真は明利酒類の「SABA de CHU」(画像:明利酒類)



 水戸市にある1790(寛政2)年創業の老舗酒造、吉久保酒造は2018年3月8日(サバの日)にサバ専用日本酒「SABA de SHU」を発売しました。代表取締役の吉久保博之さんにその経緯を聞くと、突如巻き起こったサバ人気に驚き、自身もサバが大好きだったことから、より美味しくサバを楽しめる日本酒を作ってみてはどうかと考えたと話します。

 サバには旨み成分のイノシン酸が多く含まれ、日本酒に含まれるアミノ酸との相乗効果によって双方の旨みが増すため、SABA de SHUはアミノ酸量を多くしているのがポイントだそうです。

 吉久保さんに日本酒らしからぬ名の由来を聞くと、「製薬会社の商品が、『のどぬーるスプレー』とか、名前を聞いただけでどこに効く薬なのかわかるものが多くて、それを真似てみたら面白いかと思って」と一笑。
 
 合うのは「サバ料理全般」といいますが、なかでも味付けの濃いものが合うとのこと。吉久保さんはサバの味噌煮と合わせるのが一番好きといいます。サバ以外の青魚との相性を聞くと、「サバ以外の料理とは合いませんね、だからサバ専用酒なんです」ときっぱり。

 実際に飲んでみると、単体では、ツンとした尖った味わいに感じました。しかし、サバの塩焼やシメサバと合わせてみると、スッキリとした深みある辛口となり、サバの香りの余韻を残しつつ脂分をさっぱりとした後口にしてくれました。確かに、相乗効果を感じるお酒でした。現在、東京での取扱店も多く、全国から注文を受けているそうです。

 SABA de SHUの発売から1年後の3月8日。同じ水戸市にある、安政年間創業(前身)の明利酒類がサバ専用のリキュールを発売しました。その名も「SABA de CHU(サバデチュウ)」。名前が似ていることについて、吉久保さんはどう感じたのかを聞いてみました。

「目的は茨城の地方創世」、ひたすらサバと合わせて味を追究

 吉久保さん曰く、「焼酎でもサバ専用酒を作り、日本酒の『SABA de SHU』に対して『SABA de CHU』と名付けたら面白いかと思っていたところ、明利酒類さんが焼酎を使ってサバ専用酒を開発していると知り、この名前を使ってもらいました」とのこと。

明利酒類の前身となる「加藤酒造店」は安政年間に創業。写真は同酒造の歴史がわかる「別春館」の内部(画像:明利酒類)



 明利酒類の加藤木さんに、サバ専用のリキュール(焼酎ベース)を作ろうと思った理由を尋ねると、「茨城の地方創生のために」との答えが返ってきました。

「茨城県は残念なことに、『都道府県の魅力度ランキング』で最下位が6年も続いています。なんとか県のイメージをアップさせることができないかと思ってきたなかで、2018年の『今年のひと皿』にサバが選ばれました。茨城はサバの漁獲高が日本一ということもあまり知られていないので、そんな県の魅力をサバ専用酒を通してアピールできたらと思ったことからです」(加藤木さん)

 その酒造りは一筋縄ではいきませんでした。「半年間、ひたすら原料の配合を変えてサバとの相性を試し、居酒屋のサバ料理と合わせてみたり、社員やその家族に感想を聞いてみたりしました。その意見がバラバラで、配合がなかなか決まりませんでした」。

 食中酒、かつサバ専門のリキュールとなると、原料の選択肢は広くもそのストライクゾーンは狭い。とにかく、「サバとの味わいの相性」で原料や配分を決め、結果、使われたのは、焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)に、蜂蜜、水飴、レモンエキス。

 原料から、甘酸っぱい味わいを想像しましたが、飲んでみると甘みはほぼ感じられず、レモンエキスが効いている印象を受けました。それでいてレモン特有の苦味や酸味はマイルド。サバの旨みを引き立てる食中酒らしい味に仕上がっていました。

 アルコール度数が16度あるので、ロックにしてレモンを搾って飲むと、さらにスッキリとした味わいになります。加藤木さん一押しは、煮込みや焼きサバ、炙りサバだそうです。

 ボトルのラベルは、2匹のゴマザバがキスをするイメージがモチーフとなっていて、SABA de CHUの「チュウ」にかけています。「カップルにも楽しんでもらいたい」との想いもあるそうです。

 SABA de CHUは、都内ではABS卸売センター足立店で2019年4月半ばより販売予定のほか、明利酒類のHPから購入できます。サバ漁が盛んな茨城県発のSABA de SHUとSABA de CHU。飲み比べてみるのも一興です。

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