東京でシェアハウス生活、メリデメどっちが多い? コロナ禍で感じる「誰かがいる」安心感

  • ライフ
東京でシェアハウス生活、メリデメどっちが多い? コロナ禍で感じる「誰かがいる」安心感

\ この記事を書いた人 /

松本あるこのプロフィール画像

松本あるこ

司書、ライター

ライターページへ

家賃を安く抑えられて、都心暮らしもかなう東京のシェアハウス。実際のところ、メリットとデメリットどちらが多いのでしょうか。

シェアハウス、多いのは独身女性

 バリバリ仕事をこなして、プライベートも充実させて、楽しい東京ライフを過ごす! そう意気込んで上京したけれど、現実はそう甘くはない……。そう感じている東京在住者は少なくないのではないでしょうか。

 東京でのひとり暮らしは、金銭面でも精神面でもなかなか厳しいもの。住居面を充実させ過ぎると生活費が苦しくなってしまい、せっかくの東京ライフも楽しめません。特に20~30代の若者世代は収入が少ないため、生活するだけでやっとな状況。

 そんな若者に注目を集めているのがシェアハウスです。シェアハウスとは、ひとつ屋根の下に複数人で暮らし、個々の居室はあるもののキッチンやトイレ、風呂、リビングなどは共有スペースとして使う賃貸住宅のこと。

シェアハウスのイメージ(画像:写真AC)



 なかでも入居率が高いのが20~30代の独身女性です。

 国土交通省が過去にシェアハウス運営事業者を対象に行った調査では、入居者の男女比で「女性が圧倒的に / やや多い」の合計が66.2%。また入居者のうち最も多い年齢層は「20~24歳」「25~29歳」「30~34歳」が計90.2%を締めました。

 女性のひとり暮らしには、何かと危険がつきものです。事件や事故に巻き込まれる恐れを頭に入れながら生活するのがベターです。そんな女性たちにとって、一緒に住んでいる人がいるシェアハウスは安心できる住居環境。

 家族でも友人でも恋人でもないけれど、同じ家に住んでいる人がいるだけで、なぜか安心できてしまうのです。

コロナ禍に再注目の漫画『たのくみ。』

 2015~2018年まで小学館の漫画配信サイトに連載されていた、火野遥人(ひの はると)さんによる漫画『たくのみ。』。

 女性専用シェアハウスで暮らす、年齢も職業も異なる4人の女性たちの日常生活を描いた作品です。

『たくのみ。』単行本1巻表紙(画像:松本あるこ)



 主人公は、地元岡山から東京のベンチャー企業へ転職した天月みちる。憧れの東京ライフを夢見て、「ステラハウス春野」での生活を始めます。

 そこには、ウェディングプランナーの緑川香枝、アパレル店員の桐山直、直の妹で大学生の桐山真の3人が暮らしていました。

 初めての東京生活、知らない人たちとの生活に不安を抱いていたみちる。しかし、さっそく歓迎会をしてもらい、すぐに彼女たちと打ち解けていきます。

 そんな彼女たちの一番の癒やしは、皆で飲むお酒とおつまみ! 日頃の疲れを分かち合い励まし合って、明日への活力へと変えていきます。

 作中に登場する数々のお酒とおつまみももちろんですが、それ以上にシェアハウスの仲間たちとの心からのやりとりに元気をもらえます。

シェアハウス、メリットとデメリット

 仕事を終えてクタクタになって帰ってきたとき、出迎えてくれる人がいるだけでホッとできます。ここでは、シェアハウスを検討している人に向けて、メリットとデメリットを簡単に紹介しましょう。

・初期費用が抑えられる(敷金、礼金、仲介手数料が不要な場合も)
・連帯保証人が不要な場合がある
・家賃が比較的安く抑えられる
・家具や家電が設置されている物件もある

 初期費用が抑えられてすぐに入居ができるシェアハウスは、収入が低い若者などから少なからぬ需要があります。

シェアハウスのイメージ(画像:写真AC)



 一方で、シェアハウスのデメリットはこちら。

・騒音トラブル
・人間関係トラブル(生活リズムの違い、人の気配が気になる)
・風呂やトイレがかぶりやすい
・人を呼べない
・プライバシーが確保されにくい

 やはり、赤の他人との同居生活なので、相手の存在は気になります。しかし、いざ生活を始めてみると、意外と気にならないという意見もあるようです。

誰かがいる、という最大の安心感

 前述した通りシェアハウス生活における最大の魅力は、誰かがいるという安心感。もちろんセキュリティー面での安心感もありますが、それ以上に精神面の安心感が大きいと言えるでしょう。

 慣れない場所での生活で体力的にも精神的にも辛くなってしまったとき、支えになるのは話を聞いてくれる存在です。家族でも恋人でもない、“友だち以上家族未満”の干渉し過ぎない関係性はきっと心地良く感じられるはずです。

 何かうまくいかなかったとき、仕事でうれしいことがあったとき。一緒に気持ちを共有してくれる存在は、かなり心強いです。

『たくのみ。』でも、そのようなシーンがたびたび描かれました。

 例えば、誕生日に仕事でミスが重なり落ち込んでいたみちる。マイナス思考が止まらないまま帰宅すると、シェアハウスの仲間たちが笑顔で迎え、一緒にお酒を飲んで励ましてくれます。

「ただいま」と言えば「おかえり」が返ってくるシェアハウスは、新型コロナ禍で薄れかけていた人とのつながりの大切さを、もう一度教えてくれるのかもしれません。

 血縁は無くても、一緒に暮らしているからこそ気づける人とのつながり。そんな環境がシェアハウスにはあるようです。

関連記事