自宅で手軽に「ご当地グルメ」 外出自粛でも作れる簡単レシピ10選 ~全国編~

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自宅で手軽に「ご当地グルメ」 外出自粛でも作れる簡単レシピ10選 ~全国編~

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カベルナリア吉田

紀行ライター、ビジネスホテル朝食評論家

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新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の要請が続く東京。「もういよいよ限界、思いきり遠くへ出掛けたい」と、我慢しきれなくなりそうな旅行好きも数多くいることでしょう。そんな人に向けて、料理教室通い5年になる紀行ライターのカベルナリア吉田さんが、自宅でささやかな旅行気分を味わえるようにと、とっておきのレシピを10品ご紹介します。

舌とおなかで「旅行欲」を満たそう

 日に日に暖かくなっていきますね。お出掛け日和が続き、旅行に行きたい人も多いでしょう。

 緊急事態宣言も39県が解除になり、東京のコロナ感染者数も減少傾向ですが(2020年5月22日現在)、油断は禁物、もうひと息の辛抱です。特に東京から県境を越えて、他県と気軽に行き来できるまでは、まだ時間がかかりそうです。

自宅で作れる「ご当地グルメ」、この機会に挑戦してみませんか?(画像:カベルナリア吉田)



 旅に堂々と出掛けられる日が来るまでの間は、自宅でご当地料理を作り、旅気分を味わってみませんか? 簡単にできる10品を紹介します。

名古屋の「小倉トースト」

 まず普段は全く料理をしない人でも、手軽に作れる3品から。1品めは名古屋名物「小倉トースト」です。

名古屋の「小倉トースト」(画像:カベルナリア吉田)

 発祥は古く、大正時代だといわれています(諸説あり)。当時、名古屋のある喫茶店がバタートーストを出したところ、ぜんざいに浸して食べる客がいて、メニューに加えるようになったとか。以来、名古屋の喫茶店の味として、長く愛され続けています。

 作り方は至って簡単。トーストを焼いてバターを塗った上に、缶詰の小豆を好きなだけ塗れば完成です。いわゆる「あんこ」よりも、小豆の粒々を味わえる小豆缶のほうが、名古屋らしさを楽しめると思います。

沖縄の「ポーク玉子」

 続いて沖縄名物「ポーク玉子」。

 沖縄ではスパム缶などポークランチョンミート缶を「ポーク」と呼びます。戦後の米軍統治時代に、配給食糧として入ってきたのが浸透し、今ではすっかり県民食になりました。

 カレーやみそ汁の具にしたり、天ぷらにしたり、沖縄の食卓でポークは大活躍。中でも一番ポピュラーなのが、オムレツと一緒に盛り合わせる「ポーク玉子」です。食堂メニューの定番で、最近は「ポーク玉子おにぎり」が人気だから、知っている人も多いでしょうね。

沖縄の「ポーク玉子」(画像:カベルナリア吉田)



 作り方はこれまた簡単。スライスしたポークを両面こんがり焼いて、別に焼いたオムレツを添えるだけ。

 手間いらずの料理なので、ポークは切り方をひと工夫して、ハート型にしてみました。すでに塩味がついているので、味つけはコショウを振るだけでオッケーです。

 またオムレツはなぜか、フンワリさせず平たく焼き、二つ折りにするのが定番。沖縄は生卵や半熟卵を食べる習慣が薄く、卵はしっかり火を通すことが多いんです。高温多湿な場所だから、食中毒を防ぐためかもしれません。サラダとみそ汁を添えれば、朝ごはんにもピッタリですね。

札幌の「餃子カレー」

 札幌の裏名物「餃子(ギョーザ)カレー」も作ってみました。札幌グルメはラーメンやジンギスカンが定番ですが、隠れ名物として長年愛され続けているのが「餃子カレー」。札幌市民なら誰でも知っているソウルフードです。

 もちろん本物は本場で食べてほしいのですが、自宅で再現する場合、料理を全くしない人なら「ご飯に買ってきた餃子を乗せ、レトルトカレーをかける」だけでもOK。あくまでも「札幌気分を味わう」ってことで、道民の方はご容赦ください。

札幌の「餃子カレー」(画像:カベルナリア吉田)

 もちろん手料理派は、カレーも餃子も手作りしましょう。

 僕は今回、カレーをルーから手作りしたら力尽きて、餃子は市販の冷凍食品を使いました。実は僕(カベルナリア吉田。紀行ライター)は札幌出身で、大好きなんです餃子カレー。早く札幌に行って、本場の餃子カレーを食べたいですね。

秋田の「横手焼きそば」

 続いてランチ向きのご当地料理、まず焼きそばから。ご当地焼きそばは数多くありますが、今回は秋田県の横手焼きそばを作りました。

秋田の「横手焼きそば」(画像:カベルナリア吉田)



 日本三大焼きそばのひとつと呼ばれ、発祥から60年以上の歴史があるそうです。具材にひき肉を使い、味つけするソースに和風のダシを加え、仕上げに目玉焼きを乗せるのが横手流。また紅ショウガの代わりに、福神漬けを添えます。

 適当に切ったキャベツとひき肉を炒めたら、太めの焼きそば麺をくわえて炒め、僕は中濃ソースにオイスターソース、水と顆粒(かりゅう)だしの素を加えたソースをからめました。

 トッピングした目玉焼きの黄身を崩して、麺にからめながら食べれば、横手に行った気分に浸れますよ。

新潟の「イタリアン」

 焼きそばでもう1品、新潟の「イタリアン」も作りました。

 ソース焼きそばにミートソースをかけた「これがなぜイタリアン?」な一品ですが、もう全国的に有名ですね。

 普通に焼きそばを作って、市販のミートソースをかければ気分は新潟――なんですが、一応僕は料理教室に通っているので、ミートソースを作りました。それは大変そう、という人は、できているミートソースで試してください。

新潟の「イタリアン」(画像:カベルナリア吉田)

 ちなみに手作りミートソースは、まずはベーコンとタマネギ、セロリとニンニクのみじん切りを強火で茶色くなるまで炒めます。続いて牛ひき肉を加え、水分がなくなり焦げる寸前まで炒めたら、トマトジュースとトマトピューレとトマトペースト、スープとローリエと塩、隠し味でウスターソースと砂糖も加え煮込むこと30分。仕上げに塩コショウとトマトケチャップを加えれば完成です。

 手作りミートソース、本当においしいんです。「イタリアン」のイタリア感も増すんじゃないでしょうか。あと仕上げにコーンを乗せてください。

帯広の「豚丼」

 お昼はやっぱりご飯がいい人には、この3品がおすすめ。まずは北海道、帯広の豚丼から。

帯広の「豚丼」(画像:カベルナリア吉田)



 戦前から帯広で食べ継がれてきた豚丼は、豚肉とご飯だけをひたすら楽しむ一品です。今では市内に、豚丼を出す店が200軒以上あるそうですよ。

 これも作り方は簡単。焼き肉用の豚バラ肉を軽く焼き、いったん取り出します。続いてしょうゆと砂糖、みりんと酒に水を合わせたタレをフライパンで煮詰め、焼いた豚肉をからめ、ご飯に乗せれば出来上がりです。

 みりんを使うことで、表面においしそうな照りが出ます。好みでコショウかさんしょうを振って、いただきましょう。

佐賀の「シシリアンライス」

 肉とご飯のコラボをもう1品。全国にいくつかある「○○ライス」から、今回は佐賀県の「シシリアンライス」を作ってみました。

 由来は諸説あるようですが、福岡の飲食店のまかないから生まれたという説が有力なようです。トマトの赤、ゆで卵の白、レタスの緑がイタリアの国旗の色を思わせ、映画『ゴッドファーザー』の舞台・シチリア(シシリー)島にちなんで「シシリアン」の名が付いたともいわれています。

佐賀の「シシリアンライス」(画像:カベルナリア吉田)

 これまた作り方は簡単。しょうゆ、みりん、砂糖、にんにくを合わせたタレに牛薄切り肉を漬け込み、薄くスライスしたタマネギと一緒に炒め、ご飯に乗せます。ここにレタスとトマト、ゆで卵をトッピングし、マヨネーズを格子状に絞れば完成です。

 甘辛いタレとマヨの相性が抜群で「洋風牛丼」とも呼びたい一品ですね。

愛媛の「宇和島鯛めし」

 魚を使ったご飯もの「宇和島鯛(たい)めし」も紹介しましょう。昔の水軍が食べたといわれる漁師めしで、舟の上で酒盛りのあとに食べたそうです。

愛媛の「宇和島鯛めし」(画像:カベルナリア吉田)



 だしとしょうゆ、みりんと酒を煮詰めて冷ましたタレを準備し、刺し身用の鯛を薄くそぎ切りにして10分漬けます。ここに卵黄を加え、食べる直前につぶして刺し身と混ぜ、ご飯に乗せます。

 好みでミョウガ、シソ、白ごま、のり、ワサビなどの薬味を添えて食べます。手軽なのに上品で、料亭気分に浸れる一品です。

愛媛の「今治焼き鳥」

 最後にご飯のおかずにも、酒のツマミにもいい2品を紹介しましょう。

 まずは「今治焼き鳥」。串に刺さない焼き鳥で、細かく切った肉を鉄板に並べたら、上に専用の重しを乗せて焼くのが今治流。今治の人はせっかちだから、こんな焼き方が生まれたと現地で聞きました。

愛媛の「今治焼き鳥」(画像:カベルナリア吉田)

 鶏もも肉は皮をはいで、ひと口大に切り、皮も食べやすい大きさに切り、塩コショウしてフライパンで焼きます。このときフライ返しなどで押さえながら焼くといいでしょう。ちなみに僕は、今治で買った専用の重しを使いました。

 肉が焼けたらしょうゆ、砂糖、みりんを合わせたタレをからめて、ザク切りのキャベツを添えれば完成。これからの季節は、ビールと一緒に食べたいですね。

沖縄の「チャップステーキ」

 もう1品は沖縄の隠れ名物「チャップステーキ」。

 沖縄は飲んだあと「シメのステーキ」を食べる人が多いと、最近テレビで紹介され有名になりました。でもこの「角切りビーフと野菜の鉄板焼き」チャップステーキは、まだ意外に知られていません。実は沖縄の昔ながらのレストランにほぼ必ずある、隠れ県民メニューなんです。

「チャップ」はケチャップを使うから、あるいはひと口大にカット(Chopped)した肉のステーキだから、と由来は諸説あります。最近はソースにケチャップよりも、沖縄のステーキソースといえばこれ、イギリス生まれの「A1ソース」を使う店が多いようです。

沖縄の「チャップステーキ」(画像:カベルナリア吉田)



 では早速A1ソースを用意して……と言いたいのですが、自粛ムードの中で輸入食材を売る店も休業が相次いでいます。なので今回は自宅で「A1ソース風ソース」を作るところから始めましょう。

 ケチャップとソースに酢少々を混ぜ、小鍋でひと煮立ちさせればソースは完成。

 続いて大きめに切ったタマネギとピーマン、そして冷凍フライドポテトを炒めます。沖縄のレストランは、チャップステーキに冷凍ポテトを使う店が多いんです。このちょっとジャンキーな感じがまた、アメリカ風の沖縄の味を生むんですね。

 野菜に軽く火が通ったら、角切りにした牛ステーキ肉を加えて焼きます。これも繊細な和牛肉より、分厚いアメリカンビーフがオススメ。そもそも沖縄でこの料理を、和牛で作る店を見たことがありません。もともと沖縄のステーキは、安い肉をガッツリ食べたい米兵向けの料理です。ぜひ輸入肉で試してください。

 ただしそのまま切って焼くとさすがに固いので、肉たたきで軽くたたき、油にスライス玉ねぎを入れたものに漬けてマリネしておくと、食べやすくなります。

 というわけで角切り肉を加えてコンガリ焼いたら、手作りA1ソース風ソースをからめれば出来上がり。お好みで、おろしニンニクをたっぷり乗せていただきましょう。ビールと一緒に食べれば、沖縄気分を楽しめるはずですよ。

朝昼晩と、自宅で全国グルメざんまいを

 以上10品を紹介しました。

 この原稿を書いている時点(2000年5月20日)で、東京はまだ「緊急事態宣言」発令中。そして宣言が解けてもしばらくは、遠くへ気ままに旅行することは難しいかもしれません。

 また都内にも、ご当地料理を味わえるグルメ所はありますが、そのためにわざわざ出掛けるのも厳しい状況が続きそうです。

 旅行も東京散歩も、気ままに楽しめるまでには、まだ我慢が必要です。それまでの間は家でご当地料理を作り、旅気分を楽しんではいかがでしょうか。

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