老後2000万円不足時代の到来、子育て世代が明日からできる「ゆる貯金術」とは

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老後2000万円不足時代の到来、子育て世代が明日からできる「ゆる貯金術」とは

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宮野茉莉子

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「老後資金に2000万必要」という金融庁の報告が話題を呼んでいます。「そんなに貯められない」と不安を訴える人も少なくありません。子育て世代の貯蓄方法について、元金融機関勤務で3児の母でもあるライターの宮野茉莉子さんが紹介します。

金融庁「老後資金に2000万必要」

 金融庁は6月3日(月)、「老後資金に2000万必要」と発表しました。

 この試算報告については、その後、金融庁が「世間に著しい誤解や不安を与えた」と謝罪するなど議論が続いていますが、あらためて「2000万」という額が提示されたことで、「そんなに必要なの?」と不安を覚えた人は少なくないはず。

老後の資金まで考える余裕のない子育て世代は多い(画像:写真AC)



 子どもの教育費、住宅ローン、車の買い替えなど大金のかかる子育て世代にとっては、痛いところもあるでしょう。「今はとても老後のことまで考えられない」という方が大半ではないでしょうか。3児を抱える筆者も同じ状況です。

子育て世代は2000万円以上必要なケースも

 そもそも「老後2000万」とは、2018年までの家計調査や全国消費実態調査などを元に計算。無職の夫婦の支出平均額が26万3718円に対して、年金が大半を占める収入は20万9198円。その差約5万円で30年間と計算すると、2000万円不足するという話です。

 現在主な子育て世代である30~40代の老後は、今よりも年金をもらえる年齢が引き上げられることや、受給額が減ることが考えられます。2000万円というのはあくまで平均値ですが、子育て世代は「2000万円以上必要な場合もある」と考えておくべきでしょう。

 教育費や住宅ローンに加え、老後の資金も用意する。子育て世代にとっては厳しいのが現状です。

 共働きが増えたとはいえ、男女の賃金格差が大きい日本。子どもが小さい間は風邪で休むことも多いため、急に休んでも理解してくれる仕事を選んだり、パートで働いたりする人も多いでしょう。ママが「フルタイムで働きキャリアやスキルアップができる」社会になるまでには、まだ時間がかかります。

 では今後日本の給与水準が急激に上がるかというと、そうとも言えません。家計のために働く人が増えていますが、男女の賃金格差はあるし、子供が小さいと思う存分働けないというのが正直なところ。30~40代で気になるのは、転職なども厳しくなる年齢に入る点です。

ひとつで備える時代は終わり。いくつもの手立てを用意

 今回の発表で明らかになったのは、「老後資金をひとつのみで備える時代は終わり」ということでしょう。今後は老後資金に備える術を、2つも3つももっておくことが重要です。

老後資金を用意する方法は?(画像:写真AC)



 老後資金を用意する方法は「増やす」「節約」「貯める」。それぞれご紹介しましょう。

【増やす】長く続けられる仕事や副業探し

 段々と転職が難しくなるとはいえ、まだ30~40代。今後を考え、長く続けられそうな仕事を選んだり、資格を取ったりする方法もあります。

 おすすめなのが副業です。「クラウドソーシング、ベビーシッター、ハンドメイド商品の販売、在宅コールセンター」など、現代は副業の種類が多様化しています。自分にできること、興味のあることから考えてみましょう。

 最初は収入が少なくても段々と収入が上がったり、スキルや経験が付いたり、いずれ本業になったり、定年後も続けられる可能性もあります。収入を得る手段を複数用意することは、今後重要といえるでしょう。

【節約】無理しない節約策をとる

 老後資金を減らすために、支出を減らすのは手です。今回の発表を機に、節約について考えてみましょう。とはいえ節約がストレスになってもいけないので、無理のない方法を考えてみましょう。

 生活を見直すのもひとつです。たとえば昔は一汁三菜が求められていましたが、一汁を具沢山にすれば栄養がとれ、三菜も用意せずに済みます。料理を1品減らすだけで、コストも手間も減らせます。

 お得な情報に敏感になることも大切。話題のキャッシュレス決済を利用すれば、クーポンの利用で安くなったり、ポイントが貯まるキャンペーンなども利用することができます。仕事に、育児に、家事に……となると不要なストレスは避けたいですから、負担にならないものから考えてみてください。

【貯める】イデコや積み立てNISAで老後資金準備

 年金以外に老後資金を貯めて準備することは必須でしょう。貯金だと手を付けてしまう可能性もありますし、イデコ(個人型確定拠出年金)や積み立てNISA(少額投資非課税制度)の利用をおすすめします。

 たとえ少額でも、今から10年、20年と継続すればある程度まとまった金額になります。2000万も一気に貯めようとせず、コツコツ用意しましょう。

時代に合わせ、価値観を変えることも大切

 同時に重要なのが、時代に合わせて自身の価値観を変えることです。家や車を持ち、お酒やタバコは当たり前という親を見てきたため、「一軒家が当たり前」「良い車に乗って当たり前」という価値観が強く、親のようにできない自分ではいけないと思う人もいるでしょう。

 しかし時代は確実に移り変わります。世の中に確実なものはありませんが、「時代に合わせること」は生きる上での重要なポイントともいえます。

 当たり前だと思っていたものも、「よく考えてみれば不要なもの」「自分には合わない考え」ということは少なくありません。今一度生活を見直し、「ほんとうに自分に必要なもの」を取捨選択してみましょう。

 30~40代だと、こういった発表がなければ具体的に老後まで考える機会もなかなかないもの。老後までの人生を見据え、今の生活を見直してみましょう。

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