コロナ禍で変化した忘年会事情
現在は忘年会シーズン真っただなかです。しかし2020年からのコロナ禍で、飲食店にとっては2年連続で「繁忙期」と言い難い年末となっています。
多くの企業オフィスがある東京駅の八重洲口近隣では例年、宴会を予約するなら、店側が時間帯(2時間)を指定するケースも珍しくありませんでした。ところがコロナ禍で大手企業を中心にリモートワークが進んだこともあり、飲食業にとってオフィス街は繁華街より厳しい経営環境と言われています。
年末の忘年会のイメージ(画像:写真AC)
一方、新型コロナウイルスの新規感染者数が多かった時期、東京駅の新幹線改札口は閑散としていましたが、最近は目立って回復しているように見えます。このコラムを読んでいる人のなかにも、約2年ぶりの年末年始の帰省を検討している人がいるかもしれません。
さて、リクルート(千代田区丸の内)の外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」では2021年の11月上旬に、
・忘年会の予定
・年末年始の帰省や外食の予定
について調査しました。
本稿ではその結果をご紹介します。なお調査回答者は、東京都在住者以外も含まれます。
忘年会開催「なんらかの制限」は半数
まずは忘年会についてです。所属団体で忘年会の実施予定があるかないかについて聞いたところ、次のような結果になりました。
・実施予定がある:10.4%
・実施予定はない:40.8%
・わからない:19.9%
・所属組織、団体がない:28.8%
忘年会が実際に行われるかどうかは現時点でわかりませんが、少なくとも所属団体以外の、例えば友人・家族と忘年会を行う人は多いことでしょう。
なお、何らかの団体に所属する人に、忘年会の開催に対する制約について所属団体から“お達し”が出ているかどうかの質問を行ったところ、
・なんらかの制限がある:47.0%
・制限はない:50.0%
とほぼ半々でした。
「忘年会の制限についての指示」に関するアンケート結果(画像:リクルート)
「なんらかの制限がある」の内訳としては
・オフィシャルな忘年会は自粛:が16.8%
・制限する指示がなんとなくあるが、内容はあいまい:15.8%
となり、「アンオフィシャルな小規模な忘年会」についてはそれほど厳しく制限されているわけではないことがわかりました。
もちろん感染状況次第ですが、落ち着いた状況が続けば、年末に向けて飲食市場は徐々に回復していくことが期待されます。
年末「帰省する」は36.7%
次にご紹介するのは、年末年始の過ごし方に関するデータです。
まず年末の帰省についてですが、
・帰省する:36.7%
・帰省先があるが帰省しない:20.1%
・帰省先がない:43.1%
となりました。
帰省先がある人のなかでは「帰省する」割合が高く、今年は帰省したいと考える人が多数派であることがわかりました。
「年末年始の帰省や外食」に関するアンケート結果(画像:リクルート)
また年末年始の外食については、
・家族と外食をする
・家族以外と外食をする
・忘新年会・同窓会などの宴会予定がある
・一人で外食する
・旅行で外食する
のいずれかを選択した人を合計したところ、44.8%という結果になりました。
前述のとおり11月上旬に調査したため、今回の数値は変動する可能性がありますが、新規感染者数が落ち着けば、数値は結果以上に増えるでしょう。
「接種証明書」サービス利用希望は51.5%
なお、ワクチン接種証明書や陰性証明書(ワクチンパスポート)の持参者に対して特典のある飲食店の認知と、その利用意向も調査しました。
認知については
・知っている(すでに利用した):2.3%
・知っている(まだ利用してはいないが、今後利用したい):51.5%
という結果になりました。
「ワクチンパスポートと外食」に関するアンケート結果(画像:リクルート)
一方、
・知っている(利用するつもりはない):19.8%
・知らない:26.5%
という結果も明らかに。
特典内容やお店側の証明確認方法などで、利用者数の増加は変わると考えられますが、「ポテンシャル」「期待値」という面で見ると、苦戦の続く飲食店にとって可能性を感じさせるデータとなっています。
●調査概要
調査方法:インターネットによる調査
調査対象:全国47都道府県に住む20~69歳の男女
調査時期:2021年11月5日(金)~11月6日(土)
有効回答数:1034件(男性517件、女性517件)