東京「16%」重視、大阪「14.7%」
人生の一大イベントである結婚。その相手にあなたは何を求めますか。やっぱり年収? 学歴? それとも性格? そんななか近年、東京の未婚女性の間で、ある価値観が急上昇しています。
全国で結婚相談所を展開するパートナーエージェント(品川区大崎)が東京と大阪に住む25歳から44歳までの未婚女性350人を対象に行ったアンケート調査で、東京の女性が理想の結婚相手に対して「笑いのツボ」を重視し始めていることが分かりました。
2013年時点で「笑いのツボ」を重視する東京の女性は10%でしたが、わずか4年後の2017年には16%まで増加。「笑いの聖地」に生まれた大阪の女性(14.7%〈2017年〉、14.5%〈2014年〉)を上回るまでになりました。いったいなぜでしょうか、パートナーエージェントに聞きました。
「芸能人のおしどり夫婦の影響も」
――東京の増加の背景を教えてください。
2011(平成23)年の東日本大震災をきっかけに、独身でいることの不安や家族の大切さに気づき、結婚を意識する女性が増えました。今後もいつ、何が起きるか分かりません。そうしたこともあり、(年収や学歴といった)条件よりも、人柄や「笑いのツボ」を大切にする人が増えているのです。
また、藤本敏史さんと木下優樹菜さんのような、芸能人のおしどり夫婦の影響もあります。
多様化する結婚の価値観
――そのような女性はこれから増えるのでしょうか。
増えるかどうかは現時点で分かりません。しかし、当社でも、結婚相談所に入会当初は条件を重視されていたお客さまが、お相手を見つけて退会するとき、その人柄に惹かれて――といったケースは多々あります。
生涯を共にする相手と笑いあうことは、いつの時代も大切です。相手は自分にとって居場所のひとつであり、会社など外の世界で辛いことがあったとき、心のよりどころになるからです。
また、籍を入れない「事実婚」や「同性婚」など、結婚の形は多様化しており、(特に東京は)さまざまな価値観が受け入れられやすくなったということも関係しています。
――東京の女性に比べ、大阪の女性はさほど数値の変化がありません。
大阪には笑いの文化がもともと根強いからではないでしょうか。よって、家庭に笑いがあるのが当たり前で、あえて回答していないとも考えられます。
婚活イベント企業に聞いてみた
結婚相談所以外の婚活サービスについても、同じ傾向があるのでしょうか。婚活イベントのポータルサイト「machicon JAPAN」を運営するリンクバル(中央区入船)に聞きました。
――街コンでも「笑いのツボ」を重視する人は増えているのでしょうか。
「machicon JAPAN」では、お笑い芸人が司会を行うイベントや、お笑い鑑賞イベントなどが200件近く掲載されています。以前、「machicon JAPAN」の会員に行ったアンケート調査では、7割近くの人が結婚相手に「価値観の一致」を求めると回答しています。「笑い」も価値観のひとつですから、そのようなものを重視している人がいるのでしょう。
――そのような女性は今後さらに増えるでしょうか。
現在、婚活イベントで人気が高いものは、趣味を語り合ったり体験したりできるイベントです。「笑いのツボ」を通して、価値観が一致する相手と出会えるイベントが増えれば、そのような女性は増えるでしょう。
マッチングアプリ企業にも聞いてみた
最後に、20代前半の若い世代をターゲットに展開するマッチングアプリ「タップル誕生」を運営するマッチングエージェント(渋谷区円山町)にも聞きました。
――マッチングアプリユーザーにも同様のことはいえますか。
「タップル誕生」はもともと、年収や家族構成などの条件で結婚相手を探すというより、「自分の感性に近い人と恋をしたい」というモチベーションを持つ人に利用されています。サービスをきっかけに結ばれたカップルからは「笑いのツボが同じ」「二人でいると笑ってばかり」という声をいただくので、同様の傾向がありますね。
――そのような女性は今後増えるでしょうか。
「タップル誕生」は、プロフィール項目から「趣味」や「好きな音楽」などの共通点を見つけることができるため、自然と感覚の近い人に出会えます。そのため、「笑いのツボが合う」というカップルは今後も増えていくでしょう。
ちなみに、「笑いのツボ」が同じというカップルのエピソードを分析すると、「くだらないことでも笑っている」「二人共ふざけるのが好き 」「周りから『仲がいいね』と言われる」「好きなテレビが共通している」という傾向があるんですよ。
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結婚に対する価値観が多岐にわたる現在だからこそ、「笑いのツボ」で相手を選んでみるのも良いかもしれません。