なぜ若者は「恋愛リアリティー番組」にハマるのか? きっかけはテレ東「伝説の子ども番組」

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なぜ若者は「恋愛リアリティー番組」にハマるのか? きっかけはテレ東「伝説の子ども番組」

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今、若者向け「恋愛リアリティー番組」が次々と登場し大ヒットを飛ばしています。なぜ彼らは「恋リア」にハマるのか? きっかけは、小学生時代に見たテレビ東京系の“伝説の”子ども向けバラエティー番組だったといいます。

女子中高生の3人にひとりが視聴

「女子中高生の3人にひとりが見ている」というデータもあるほど、今10代~20代前半の女性たちを夢中にさせている番組があります。

 それは、インターネットテレビAbemaTVで定期的に配信されている「恋愛リアリティーショー」。

 中でも『オオカミくんには騙されない』シリーズは、視聴者と同世代の「ガチ(本気)で恋愛したい」女性陣と男性陣、計10人ほどが出演し(男女同数)、彼らが個別にデートを重ね、恋に落ちるまでの様子を追いかける内容。

 東京タワーをはじめ、南青山、豊洲、目黒など東京都内でのおしゃれなデートは全国の視聴者にあこがれを抱かせ、2017年2月から2020年10月現在まで、すでに計8シリーズが制作・配信されています。

『テラスハウス』だけではない

 恋愛リアリティーショーというと、さまざまな社会的議論を読んだ『テラスハウス(テラハ)』や、婚活サバイバル系の『バチェラー』『バチェロレッテ』など、20代以上の成人男女が登場し、視聴者も同世代というパターンが多いイメージ。

 しかし近年ティーンズ向けの番組も数多く制作されていて、若い世代は見事にそれらにハマっているのだとか。

 なぜ若者は「恋愛リアリティーショー」にハマるのか? そしてとりわけ前述の「オオカミくん」が人気の理由は――?

 女子大生らでつくる若者トレンドのコンサルティングチーム、ネオレア(渋谷区恵比寿)が配信するネットラジオ放送「若者ラジオ」を基に、ヒットの背景を分析します。

無料で見られるAbemaTVが人気

「大人が知らない若者の話」というコンセプトの「若者ラジオ」。出演しているのはネオレアのメンバーで共に現役女子大生の、朝比奈ひかりさんと赤峰さえさん。

 ふたりいわく、若者向けの恋愛リアリティーショー(恋リア)は「オオカミくん」のほか『今日好きになりました』や『恋する週末ホームステイ』など、動画コンテンツにおいて今や大人気ジャンルのひとつ。

 上記3番組の共通点のひとつは、いずれもAbemaTVで配信されていること。

10代~20代前半の若い女性たちに「恋愛リアリティーショー」が大人気。その理由ときっかけは?(画像:写真AC)



 赤峰さんいわく、

「『テラハ』や『バチェラー』は有料会員にならないと見られないサブスク(定額サービス)配信だし、その分、番組内容もターゲット層の年齢層が高め。有料コンテンツは高校生にはハードルが高くなってしまう」。

「アベマは無料で見られるし、配信から1週間以内なら見逃がし配信もある。高校生が見やすい配信スタイルだから周りの友達も皆見ていて、話題にしやすい。私も女子高時代には友達と皆で集まって見てました」

 彼女たちにとって恋リア視聴の醍醐味は、周りと一緒に盛り上がること。リアルの友達と話題にするのはもちろん、配信サイト上に視聴者がリアルタイムで書き込めるコメント欄やTwitterの投稿内容を追いながら視聴するドライブ感が、恋リアのドキドキ感をさらに加速させるのだそう。

小学生時代に培われた恋リア好き

 彼女たちはなぜ恋愛リアリティー番組にハマるのか。もうひとつの理由として朝比奈さんは、「私たちが『恋リア・ネーティブ世代』であること」を挙げます。

 1998(平成10)年生まれの朝比奈さん世代にとって、物心つく頃にはすでに、現在の恋リア人気へとつながる元祖ヒット番組『あいのり』(フジテレビ系、1999年~)の放送が始まっていて、同番組に熱中する父母の横で幼い頃から眺めていたのだとか。

 さらに、彼女たち世代の記憶に今も深く刻まれているテレビ東京系の番組があります。その名は『ピラメキーノ』。

今の大学生が、小学生時代に見ていたというテレビ東京系の人気子ども向けバラエティー『ピラメキーノ』(画像:テレビ東京ホールディングス)



 2009(平成21)~2015年まで放送されていた子ども向けバラエティーで、「当時は皆が見ていた」と力説するほど、彼女たちにとって小学生時代から慣れ親しんでいた伝説の人気番組。中でも「子役恋物語」というコーナーは忘れられないといいます。

 小学5~6年の子役たち数名が出演し、1日限定の恋愛を経験。

「大人になったら『ちゃんとした恋愛ができる人』になりたい。だから、今のうちにちょっとだけ男女のかけひきを学んでおきたい……」がコンセプトの、まさに子ども版恋愛リアリティーショー。

 テレビの中で展開される恋愛模様に、一喜一憂したり幼いながらに自分の気持ちを重ね合わせたり……。そんな楽しみ方を子どもの頃から知っているからこそ、二十歳前後になった現在も恋リア好きが同世代に多い、というのが、彼女たちが考える同世代のバックボーンです。

リアルタイムで楽しむ一体感

 朝比奈さん・赤峰さんいわく、昨今の恋リアがティーンから30代以上まで幅広い層のファンを獲得しているのは、それぞれの年代に合わせてハマれる多彩な番組が制作されているから。

「ファッション雑誌なんかと一緒。中学時代は『ニコ☆プチ』、高校生になったら『Popteen』や『Seventeen』、大学では『ViVi』を読むみたいに、そのときどきに感情移入しやすい恋リア番組がある。まさに“リアリティー”ショーの名前の通り」(赤峰さん)

 そして中でも「オオカミくん」が若者に支持される理由は、一般的な恋リア番組とは違った“もうひとつの要素”が加えられているからだといいます。

 先に紹介した通り、同番組に出演するのは、本気で恋したい女性陣と男性陣。しかし男性陣の中には、恋愛する気はさらさらないウソつきな「オオカミくん」がひとり以上は潜んでいるという、駆け引き・騙し合いの要素もあって、番組内容をより複雑で多層的なものにしているのです(シリーズによっては男女の役割が逆)。

 一体誰が「オオカミくん」なのか――? 視聴者は、恋愛の行く末だけでなくこの“犯人捜し”も同時に楽しむというのが同作の定番。コメント欄やTwitterでは視聴者による推理合戦がリアルタイムで展開されて、

「配信直後は展開考察や感想の書き込みがあふれるから、特に最終回はリアルタイムで見ないと(ネタバレが怖くて)SNSを開けなくなってしまう」(朝比奈さん)ほどなのだとか。

 このように「考察」とは、SNS全盛の現代においてテレビドラマなどでも欠かせないものとなった人気要素のひとつ。「オオカミくん」に関しても、ただの恋愛ものなら興味ないといった層をも取り込む勝因になっているようです。

 かつて90年代頃まで、人気テレビ番組の放送開始時刻には家族みんなでワクワクしながらブラウン管の前に集合した時代がありました。

 そうした視聴形態はすでに昔のものになった感がありますが、このように「皆で一緒に盛り上がる楽しさ」をSNSというプラットフォーム上に再現することで、リアルタイムで視聴する楽しみを現代でも成立させているのです。

推しメンを見つける楽しさも

 朝比奈さん・赤峰さんによると、恋リアの出演者が番組をきっかけに若者世代での知名度を一気に高め、人気者になっていくというのも特徴のひとつ。

 以前から雑誌の専属モデルをしていたり、バンドのメンバーとして活動していたりするものの、出演をへて顔が売れ、番組の中で素に近い表情をさらけ出し、それを見た視聴者らの手堅いファンを獲得して在京キー局のバラエティー番組やテレビCMへと進出していく――というステップを踏んでいった歴代メンバーも少なくないのだとか。

 今や恋リアは、若者世代における新しい人気タレントを生み出す登竜門となっているよう。

「若者ラジオ」の番組終盤には、2020年10月現在配信中の「オオカミくん」の好きな男性メンバーについて熱く語り合った朝比奈さんと赤峰さん。

 かつて視聴率20%を超える超人気テレビドラマが次々と現れ、放送翌日には教室で同級生と熱心に感想を語り合った平成・昭和世代の大人たちと同じような楽しみ方を、今の若者も十分に満喫しているようです。

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