ローソン「バスチー」、爆発的ヒットの裏にあった「商品化スピード」

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ローソン「バスチー」、爆発的ヒットの裏にあった「商品化スピード」

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笹木理恵

フードライター

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2018~2019年にかけてブームが来ているといわれる「チーズケーキ」。ローソンの新感覚チーズケーキや、入手困難といわれるオンライン限定のチーズケーキなど、さまざまなタイプのチーズケーキが話題を呼んでいます。

「バスチー」、看板スイーツを超える快挙

 2019年3月26日(火)にローソンから発売され、ヒットを飛ばしているスイーツが「バスチー」(税込215円)です。発売前に群馬県でテスト販売を行い、絶好調だったという「バスチー」は、発売から3日間で販売数が100万個を突破。ローソンの看板スイーツ「プレミアムロールケーキ」が発売当初に打ち立てた、「5日間で100万個突破」の記録を塗り替える売れ行きを見せています。

コンビニスイーツとして、異例のスピードで売れ続けるローソンの「バスチー」(画像:ローソン)



「バスチー」の原型は、いま大人気のスイーツ「バスクチーズケーキ」。これは、スペインとフランスにまたがるバスク地方が発祥といわれる伝統菓子で、表面が焦げるまで焼いた見た目のインパクトと、とろけるような食感が魅力のスイーツです。

 日本では2018年から専門店が登場して注目を集めており、ローソンでもその流行の兆しをとらえたうえで、現地にも足を運んで本場の味を確認。「これは売れる!」と確信を得たそうです。

 実際に、「バスチー」の購入客の約7割は女性が占めており、10~70代女性と、10~60代男性の間では、全デザート中1位の売上を記録しています。

ブームの兆しは2014年ころ、「持ち運びやすさ」がカギ

 今年は「バスクチーズケーキ」だけでなく、チーズケーキ全般がトレンドの兆しを見せています。行列を作るチーズタルト専門店「BAKE チーズタルト」(本店は目黒区自由が丘。1号店は新宿)が2014年に登場したころから、チーズスイーツのお店が増えるとともに、パティスリーでもチーズケーキのギフトに注力するお店が増加。さらに、ネット通販のみで展開するチーズケーキ専門店「Mr.CheeseCake」が入手困難と話題になるなど、さまざまなタイプのチーズケーキが注目を集めています。

 そもそもチーズケーキは、性別や年齢を問わず、幅広い層に人気の高いスイーツ。好きなスイーツランキングでは必ず上位に挙げられ、パティスリーでもチーズケーキが売上の上位を占めていることは珍しくありません。

 チーズケーキがブームになった理由は、もともとターゲットが広く多くの人に購入されやすいことに加え、他のケーキに比べて持ち運びや流通がしやすいため、ギフト向きの商品である、という特徴も見逃せません。スイーツを購入する目的は、自分用だけでなく、誕生日や手土産、お礼の品など、誰かに贈るギフトとしての利用も多いからです。

トレンドから読み解く、コンビニスイーツの変遷

 このように、トレンドをいち早く取り入れた商品開発も、コンビニのスイーツが人気を集める大きな理由となっており、そのスピード感はこの数年で加速化しているように感じます。

 コンビニスイーツという言葉が普及するきっかけとなったローソンの「プレミアムロールケーキ」は2009(平成21)年に発売されましたが、一般的にロールケーキがブームになったのは2006(平成18)年頃からといわれており、そこには約3年という年月の開きがあります。

 今回の「バスチー」が、2018年に登場したバスクチーズケーキ専門店の人気をとらえて商品化に至った流れと比較すると、トレンドを反映させるスピードがこの10年でずいぶん速くなったことがうかがえます。

 また「プレミアムロールケーキ」の累計販売個数が1億個を突破した2011(平成23)年5月の時点では、オリジナルスイーツの購買層に占める女性比率は47%で、現在の60%に比べるとまだまだ女性比率が低かったことも分かります。

「コンビニスイーツ」という言葉が誕生し、大きく発展を遂げた平成の時代。成熟期を迎えた令和の時代には、どんなスイーツが登場するのでしょうか。

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