“You”たちが愛した東京コンテンツとは?
新型コロナウイルスの感染拡大で、国をまたぐ移動は大幅に制限されました。そんななか、バラエティー番組「Youは何しに日本へ」(テレビ東京系)でも、訪日外国人を新たに取り上げることは難しくなっています。
人気番組だっただけに残念ですが、現在は過去に登場した“You”たちを改めて放送しているので、かつての“You”たちについて振り返るいい機会です。
印象に残る過去の“You”たちを見ていると、ゲームや漫画など、かつて日本で流行したコンテンツが好きな人が多いことに気づきます。
ある“You”は新橋でミニ四駆を探し、また別の“You”は憧れの作家目当てに神保町の有名出版社を訪問するなど、おのおのの目的を東京で果たそうとします。東京はさまざまな文化の中心ですので、世界から見ても訪れたい場所が多いのでしょう。
そこで本記事では「“You”たちが愛した懐かしの東京コンテンツ」と題して、番組内に登場したものを紹介します。
1.ミニ四駆
オーストラリア人の“You”が来日し、ミニ四駆を「爆買い」する内容で、タミヤプラモデルファクトリー(港区新橋)が紹介されました。
もともと他店と値段を比較してから買うという堅実な1面を見せていた“You”でしたが、欲望に勝てず、タミヤプラモデルファクトリーで一気に爆買いをスタート。40代の男性“You”が、子どものように買い物を楽しむ姿にほっこりとした視聴者も多いでしょう。
ミニ四駆は筆者もドンピシャの世代で、小学生時代には『爆走兄弟 レッツ&ゴー!!』というアニメを必死で見ていた記憶があります。
爆走兄弟は「烈」「豪」のふたり合わせて「レッツ&ゴー」という、まさにアニメといった設定の主人公たちでした。アニメ内で紹介されるマシンが欲しくて、近所のプラモデル屋に通った人も少なくないでしょう。
主人公たちが使用する「ソニック」「マグナム」をはじめ、ミニ四駆には数多くのマシンがありますが、そのほとんどはカスタムが可能です。モーターやタイヤなど自由な組み合わせでオリジナルのマシンが作れます。
2.『北斗の拳』
『北斗の拳』は日本を代表する格闘漫画ですが、そのファン層は海外にも広がっています。本作がきっかけで結婚したという“夫婦You”が来日し、作者の原哲夫さんに会いたいがために、アポなしで神保町にある集英社(千代田区一ツ橋)に向かいます。
当然断られてしまいますが、その後インターネットで検索し、原哲夫さんの著作管理を行うノース・スターズ・ピクチャーズ(現・株式会社コアミックス、武蔵野市吉祥寺南町)を見つけます。
早速訪問するのですが、ここでうれしいハプニングが発生します。原さんに会えなかった“You”たちですが、なんと「ノース・スターズ・ピクチャーズ」の担当者が原さんに連絡を取ってくれることに。
すると原さんから、“You”たちには会えないが発売前の英訳された北斗の拳をプレゼントすると連絡が……。当然ながら“You”たちは大喜びといった幕引きです。
北斗の拳ですが、なんといってもその魅力は強烈なキャラクターたちです。ご存じの人も多いでしょうが、ケンシロウという主人公は北斗神拳の伝承者です。しかし伝承者を決める際、ほかのの候補者たちも存在しました。ラオウ、トキ、ジャギです。
結果的にケンシロウが伝承者となるのですが、いろいろと遺恨があり、ストーリーに大きく影響してきます。
ケンシロウの使う北斗神拳とは、秘孔と呼ばれる人体のツボのようなものを突いて、相手を攻撃する拳法です。有名なセリフ「お前はもう死んでいる」も、ケンシロウが秘孔を突いて、死亡フラグの立っている相手に対していうもの。一定年齢以上の人は、冗談で使った経験のある人も多いでしょう。
3.レトロゲーム
この回は幻のレトロゲーム「ギミック!」を探す“You”が登場します。コロナ以前の秋葉原では多くの外国人を見かけましたが、そのなかにはレトロゲームを探す人もいたことでしょう。
司会のバナナマンも「ギミック!」を知らなかったようで、首をかしげていました。
ゲームの内容を簡単に説明しましょう。主人公の「ゆめたろー」はぬいぐるみと間違われ、誕生日プレゼントとしてある女の子のもとにやってきます。女の子はゆめたろーを気に入るのですが、すでに女の子のもとにあった、他のおもちゃたちが焼きもちを焼いて、女の子を別次元へ誘拐してしまいます。
別次元に連れ去られた女の子を救うべくゆめたろーは立ち上がり、ミッションをクリアしていく……そんなストーリーです。
ギミックとは「仕掛け」を意味し、ゲーム内ではプレーヤーの心理を読んださまざまな仕掛けが施されています。
そんな同作ですが、現在はプレミアがついており、驚くような価格で取引されています。番組内では6万9800円の商品が紹介されていましたが、筆者がヤフオクで調べたときは、15万円で販売されているものもありました。
保存状態にもよるのでしょうが、よほど好きでないとなかなか手が出せない価格です。生産数が少ないことが関係しているようですが、難易度やクセの強さの影響もあるでしょう。
オタクの聖地・秋葉原でも、もしかしたら見つかるかもしれません。興味のある人は“You”のように探しに行ってみても面白いかもしれません。
4.鉄拳
この回は、格闘ゲーム『鉄拳』の大会で優勝して、賞金300万円をゲットしたいという“You”が登場します。
ちょうど放送のあった2016年は「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016」が開催されており、その構成大会は「OSAKA ROUND.」「TOKYO ROUND.」「GRAND FINAL」となっています。
東京のみならず、大阪でも開催されていることから、それなりの規模であることが伺えます。
昔からゲームセンターにあった『鉄拳』ですが、今もアップデートされているとは知りませんでした。懐かしのコンテンツからは少し外れてしまうかもしれませんが、あえて紹介しておきます。
オンラインゲーム全盛の今ですが、筆者にとっての『鉄拳』はゲームセンターで対戦するゲームです。『鉄拳』は親子間の確執を発端にしたストーリーで、財閥のトップである三島平八は、5歳の息子、一八を崖から突き落とします。
というのも平八の教育スタイルは超スパルタで、「獅子はわが子を谷底へ突き落とす」をリアルに実行。突き落とされた一八は胸に一生き残る傷を負い、復讐(ふくしゅう)を誓います。まあ父にそれほどのことをされたら、やり返そうと考えるのも無理はないでしょう。
そんな「鉄拳」ですが、海外から大会に出るほどのプレーヤーもいるんですね。筆者と同じように、かつて東京のゲームセンターでプレイした経験のある人は、懐かしいと感じていただけるのではないでしょうか。
番組放送で興味が再燃する人もいる?
今回紹介したものは、東京が世界に誇るコンテンツです。
懐かしい思いから、興味の炎が再燃する人もいれば、自分が生まれる前の作品だけど、何かがきっかけでハマってしまう人もいるでしょう。
世代を超えて楽しめるコンテンツは長く生き残り、人々に大きな影響を与えます。私たちもそんなコンテンツの作者に感謝しつつ、後世に伝えていきたいものです。