「10年前は売り手市場だったのに」 25歳と35歳、2度の婚活を経験した女性会社員のリアルな教訓

結婚願望が強くない若者が増えていると言われる昨今。しかし20代と30代では、その後の人生設計などにも大きな違いが生じます。25歳と35歳、10年のブランクをへて2度の婚活を経験した東京在住の女性の話を紹介します。


「結婚したい」新成人、過去最低に

 結婚は、してもしなくてもいい。そう考える若者は増えているようです。

 結婚相手紹介サービスを展開するオーネット(中央区晴海)が1996(平成8)年から毎年行っている新成人への「恋愛・結婚に関する意識調査」では、2021年、「結婚したい」と回答した新成人の割合が調査開始以来最も低い73.8%になりました。

 それでも7割強が結婚願望を持っているのであれば決して少なくない、と捉えることもできますが、最多時には89.5%(1997年)だったことを踏まえると、やはり減少トレンドは否めません。

 ただ……、

「20代半ばくらいまではそうした考えでも良いかもしれません。でも“本番”は30代前半を過ぎてからですよ。圧倒的に選択肢が少なくなっていくことに気づいて愕然(がくぜん)としますから。『結婚しなくてもいいや』と考えている人って、まだ若くて、しかもこれまで交際相手探しに苦労したことのない人が案外多いのではないでしょうか」。

 そう話すのは、東京都内に在住・在勤する会社員のD子さん(36歳)です。

東京の女性が語る、20代と30代の違い

 これまで、10年のブランクをはさんで2回の婚活を経験していると言います。1度目は25歳のとき、そして2度目は35歳のときです。

人生なかなか思うようにいかない。25歳と35歳で2度の婚活を経験した女性の話(画像:写真AC)



「言わずもがなと笑われてしまうかもしれませんけど、25歳と35歳では相手探しの難易度が全然違います。20代の頃の自分……というか若い女性は、それだけで“恵まれている”のだということを、もっと自覚しておくべきでした」

 25歳と35歳、それぞれの年齢時の婚活体験や気付きについて、今回、話を聞かせてもらいました。

25歳、新宿の婚活パーティーへ

 D子さんは、自身が24歳最後の日をどう過ごしたのか、今もよく覚えていると言います。

「1年半くらい交際した1歳年上の男性の浮気が発覚して、大揉めした末に別れた直後でした。浮気というか、私の方が2番手だったのかもしれないのですが」

「25歳の誕生日前日は、仲の良かった男友達が誘ってくれて駅チカの居酒屋チェーンで飲みました。でもその間じゅう全然楽しくなくて、『もう25歳になるのに私こんなところで何やってるんだろう』ってずっと上の空でした」

初めての婚活パーティーへ。会場はJR新宿駅からほど近い雑居ビルだった(画像:写真AC)



 もう25歳。10年余り前はまだ、こうした感覚を抱く女性は決して少なくありませんでした。

 今でこそ、20代はバリバリ働いて結婚や出産については30代で考えたい、と志向する女性も多くなりましたが、それは時代とともに価値観の多様化が進んだから。男性と同じ総合職で働くD子さんも、仕事は好きだけど結婚のタイミングも逃したくないという考えの持ち主でした。

 25歳になってほどなく、D子さんは婚活を決意します。

 ちょうどその1、2年前に出版された『「婚活」時代 』(ディスカヴァー携書)の影響もあって、世間は婚活ブームに沸いていました。各所で婚活パーティーが開催され、「お料理教室婚活」など趣味と婚活を融合させたイベントも次々と誕生していました。

 ただし、2021年現在は定番となった婚活アプリのサービスは、当時まだ出回っていません。

 D子さんが選んだのは、男女10人ほどずつが向かい合って座り、3分程度1対1で会話しながらひとつずつ席を移動していくタイプの対面型パーティー。梅雨が明けたばかりの蒸し暑い夜、JR新宿駅から徒歩2分のところにある雑居ビルの4階で、その会は催されました。

「記憶があいまいですが、参加費は男性が3000円くらい、女性は500円だったと思います。ワンフロアに1室しかないような狭いビルで、窓もなくて室内の装飾がゴテゴテしていたので、本当に安全な会なのかと最初はちょっと不安でした」

 参加者全員が到着して周囲を見渡したとき、D子さんはあることに気が付きます。

若さゆえ? 「楽勝」だった初参加

「私以外の女性が皆、軒並み30代かそれ以上だったんです。ものすごくキレイにお化粧をして、品のいいワンピースを着て、皆しっとりしたオトナの雰囲気という感じでした」

 女性は若い方が有利、という“一般論”は当時D子さんにも認識がありました。そうこうするうちパーティーがスタート。「初めまして」「趣味は何ですか?」「映画鑑賞がお好きなんですね」「どんなお仕事をされているんですか?」――

 自己紹介と簡単な会話をするだけであっという間に3分が経過し、自分の前の席を目まぐるしく男性たちが入れ替わっていきます。営業職で初対面の人との会話にも慣れていたD子さんは、仕事のときの所作に徹して、聞き役に回ったり気持ちの良い相づちを打ったりに努めました。

 自分が声を上げて笑うと、相手の男性の表情がパッと明るくなるのが分かりました。

 ようやく場が一巡して全ての対面が終了したとき、ふと、自分のことを冷めた目で眺めている年上の女性の視線に気が付きました。

 大きな笑い声や身振り手振りで無邪気にやり取りしていた女性は、どうやら自分だけだったようでした。D子さんにとって初めての婚活パーティー。つい舞い上がって悪目立ちしてしまったことを知り、バツの悪い心地になりました。

 しかし、会の最後に発表された投票では、D子さんへの人気が集中します。自分を指名してくれた中のひとりとマッチングが成立しましたが、別の男性からも連絡先の交換を求められたのだと言います。

「正直、えっ楽勝じゃない!? って思いました。こんな簡単に男性とマッチングできるなんて、婚活サービスって何て便利なんだろうって感動しました」

意外にも自分に“需要”があることを知り、女性は気を良くしてしまった(画像:写真AC)



 もう25歳、ではなく、まだ25歳。婚活市場における自分の価値はかなり高い。年齢だけでなくきっと私自身に魅力があるのだろう――。D子さんはすっかり気を良くしていました。

 その夜マッチングした男性とはその後一度だけドライブデートへ出かけましたが、お互いの仕事が忙しくなったためそれ以上の交際には発展しませんでした。また婚活パーティーに参加して相手を見つければいい、D子さんはそう考えていました。

29歳、結婚はしたものの

 彼女はその後、29歳で結婚をします。

 相手は仕事の関係先で知り合った3歳年上の会社員。30代前半にして年収が1000万円目前で、何より自分のことをとても好きだと言ってくれていることにD子さんは決め手を感じていました。30歳目前というタイミングも、彼女の背中を後押ししました。

 しかし結婚2年目が過ぎる頃に、夫婦の不仲は決定的になります。

「簡単に言えば『性格の不一致』というやつです。今となればお互い悪かった、自分も悪かったと思えますが、当時は相手の顔などもう2度と見たくないし、結婚なんてこりごりだと考えていました」

 幸い、D子さんは正社員として勤続しており、収入は安定していました。子どももいませんでした。ひとりの生活も、再び始めてみると思っていた以上に快適でした。

 もう結婚は考えない。何としても自分ひとりで生きていく。そう決意し、仕事に没頭する日々が続きました。

35歳、再び婚活に挑戦した理由

 転機が訪れたのはそれからさらに3年後。友人宅で開かれたホームパーティーでのことです。

「ホームパーティーと言っても、立食みたいなおしゃれなタイプではなくて、みんなでお鍋を囲む『おでん会』です。冬でした。大学時代の女友達4人で久しぶりに集まって、近況報告とか思い出話に花を咲かせたんです」

 4人のうちふたりはすでに結婚し、小さな子どももいました。「夫といくらけんかをしても子どもだけは本当にかわいい」「夫とも、けんかの後に仲直りすればやっぱり結婚してよかった、と思える」。ふたりは結婚と出産、子育て、家族の幸せを嫌味なく丁寧に話して聞かせてくれました。

 残るもうひとりは海外旅行が趣味。お給料を貯めては長期休暇のたびに各国を訪れるアクティブな女性です。体験をつづった個人ブログは、旅行好きの間では割と知られたサイトに成長していました。「私は結婚はいいかなって」とその友人は言いました。

「そのとき、すごく月並みなんですけど『私ひとりだけ何にも無い』という感覚に襲われてしまったんです。もちろん仕事は一生懸命やってきましたし、もらっているお給料の額も自分の中では密かな自慢でした。でも、自分には本当にそれだけでした。何にも無いな、3人がうらやましいな、と思い、ついその言葉を口にしてしまっていました」

 友人宅からの帰り道、電車のシートに腰かけてD子さんは、生まれて初めて婚活アプリをスマートフォンにダウンロードしました。

ある日突然、途絶える連絡

 年齢・在住地・血液型・学歴・職業・年収・家族構成・体型・性格・結婚歴などを入力して登録すると、自分の条件に合う男性の顔写真が画面上にズラリと表示されました。

「そのうち男性ユーザーたちから『いいね』が送られてくるようになって、その中の何人かとメッセージを交換するようになって、実際に会った人もいました。アプリだと自宅で寝っ転がりながら婚活ができるので、しかも何百人何千人と“候補者”が表示されるので、婚活パーティーに通った頃と比べてずいぶん便利になったなーと感心しましたね」

今や定番の婚活アプリ。やはり一長一短があるという(画像:写真AC)



 結局30人ほどの男性とアプリ内でメッセージのやり取りをし、土日の昼間に計5~6人の男性と実際会ってみたと言います。

「全然話が盛り上がらない相手もいましたが、中にはとてもスマートでおしゃべりも面白くて、楽しいと思える男性もいました。そういう人に限って口がうまいんですかね。『D子さんみたいな魅力的な人が独身だなんて信じられない。離婚経験があっても僕は全く気にしないよ』とか言うんです。さすがに半信半疑でしたが、悪い気はしませんでした」

 しかし、まさに“そういう人に限って”、ある日パタッと連絡が途絶えるのだということを、D子さんは身をもって知ります。

「お互いが好き同士なら交際関係になりたかったですが、それでも最低2か月は深い関係にはならないと決めて、相手の男性たちに伝えていました。やっぱり、アプリでの出会いをどうしても信用しきれなかったというのがあります。気軽に遊びたい男性にとっては全然面白くない相手だったでしょうね」

 同じアプリを利用しているユーザーの口コミをSNSで検索してみると、20代前半や半ばの若い女性には200~300件もの「いいね」が集中していることが分かりました。自分は、その4分の1程度。

 顔が分かりにくい不鮮明なプロフィル写真を登録しているからだ、などと言い訳をひねり出しつつ、D子さんはアプリでの婚活熱がすーっと冷めていくのを感じていました。

コロナ明けの出会いに望み

「でも結婚相談所に登録するほどまた結婚したいわけでもないんです。かといって日々普通に過ごしていたら新しい出会いなんて全くありません」

「とりあえずアプリはもうスマホから削除していて、最近はツイッター上の『#Twitter婚活』というハッシュタグの付いた投稿を眺めています。婚活中の人たちがつぶやいているんですが、過去の投稿をさかのぼって読めるから相手の人柄を把握しやすいということで人気が出ているんです」

 ただ、「#Twitter婚活」かいわいでも、目立つアカウント・埋没するアカウントとさまざまで、実際に会う約束にまでは至っていないそう。

「コロナ禍で外出できない期間が続いて、それは誰にとっても同じなので、(婚活中の人は)皆きっと婚活が進展していないはずだと自分を慰めています。女性の価値は若さだけではないし、男性の価値も年収や地位だけではないと今なら思いますが、ネットを介するとどうしても即物的な相手探しになってしまいがちで、なかなか難しいですね」

※ ※ ※

 2021年9月30日(木)をもって緊急事態宣言が解除される東京都。婚活に励む人たちにとっても、待ちに待った日ということになるのかもしれません。

 長期にわたった在宅時間にすっかり慣れてしまって、「もうずっと独身でもいいかも」と思っていた人たちも、コロナ収束後に街がにぎわいを取り戻せば、再び婚活かいわいへ戻って来るのではないでしょうか。

※記事の内容は、関係者のプライバシーに配慮し一部編集、加工しています。


【グラフ】過去25年間の「若者の結婚願望」の変化

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