東京の「自由」はコスパ悪すぎ……と気づいて、年収90万円生活を選んだ私【連載】大原扁理のトーキョー知恵の和(3)
2019年12月25日
ライフ何とは言えないのだけど、何となく息苦しい。そんな気持ちでいる人へ、東京で週休5日・年収90万円という「隠居生活」を実践した大原扁理さんに生き方のヒントを尋ねる企画「トーキョー知恵の和」。今回のテーマは「東京と『自由』とは」です。
上京したら、不自由になってしまった私
自由って何でしょう。自由を求めて上京した東京で過ごす日々は今、自由ですか? それとも、そうでもないですか? 期待に胸を躍らせた想像とは違って、以前とさほど変わらない日常が続いていただけでしょうか。東京で週休5日・年収90万円の「隠居生活」を実践した大原扁理さんは、都会で感じる自由・不自由について「どこで何をしていても満足にありつける『心の有りよう』こそが自由なんだ」と語ります。その話、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?(構成:ULM編集部)
※ ※ ※ ※ ※
21歳のころ、私はひとりで海外をほっつき歩いてました。とくに目的もなかったので、てきとうに住みついて働いて、いやになったら明日ほかの国に行く。めっちゃ自由!
そんな生活を2年弱続けたあと帰国して、また目的もないのに「おもしろそうだし」というだけで上京してみたのです。
そうしたら家賃が高すぎて、その日をやっていくのに精いっぱい。余裕がなくてどこへも出かけられなくなってしまいました。
せっかく東京に住んでるのに、遊びに誘われても必死で断り、好きなミュージシャンのライブにも行けず。ひどいときは地元に帰省する交通費にも事欠く有り様で、住んでいたシェアハウスのメンバーにお米とかもらって何とか生きてました。めっちゃ不自由……。
若い私にとって、「自由」の基準は単純明快、「やりたいことができるかどうか」しかありませんでした。
「不自由なのに満ち足りている」という体験
しばらく都内でそんなギリギリライフを送ったのち、25歳のときに、家賃の安い(月々2万8000円!)都下・国分寺市で週休5日の倹約隠居生活を始めました。
すると、年収は100万円を下回り、さらにどこへも行けなくなり、「用事が3つ以上なければ中央線から出ない」をマイルールとして課していました。
国分寺市という郊外から都心へ出ると、往復で1000円以上かかります。当時は1日の食費が300円くらいでしたので、3日分強の食費が移動だけでなくなるなんて許せん!
だから吉祥寺ぐらいまでなら、五日市街道を小一時間かけて自転車で行ってました。まあ、自分で選んだ生活とはいえ、あまり働いてなかったので当然なんですけどね。

でも、都内での生活と比べると、経済的な贅沢がほぼできないことに変わりはないにも関わらず、不思議なことに毎日とても満足していたんです。あのころ私が考えていた「自由」と実際の「満足感」とは、必ずしもセットじゃないのかもしれない、と思い始めました。

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