今年の大学入試は「共通テストで合否判断」が進む? コロナ禍で迎える2度目の冬の試練とは

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今年の大学入試は「共通テストで合否判断」が進む? コロナ禍で迎える2度目の冬の試練とは

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中山まち子

教育ジャーナリスト

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2021年の受験シーズンがいよいよ近づいてきました。新型コロナ対応に追われた都内の各大学は、昨年の教訓を生かせるのでしょうか。教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。

多くの大学が追試験を決定

 秋の深まりとともに、2021年の受験シーズンが近づいてきました。総合型選抜(旧AO入試。従来の学力試験を課さず、小論文や面接によって学生の合否を決める選抜制度)の出願が始まり、これからいよいよ本格化です。

 オンライン授業を始めとして、2020年は大学にとって新型コロナウイルス対策に奔走する1年でした。2年目を迎えた本年度は、各大学ともに2020年の経験をベースにした運営を行っています。

 文部科学省は7月31日、「令和4年度 新型コロナウイルス感染症対策に伴う個別学力検査の追試等の対応状況」を発表しました。

 調査対象の国公私立大学・短期大学合わせて1020大学のうち、96.6%が「追試または追加の受験料を徴収せずに別日程への受験の振替」を実施予定であることがわかりました(7月末時点)。なお、文部科学省の追試等への対応は「大学入学共通テストの成績及び出願書類等による再選抜を行う場合も追試験に含む」としています。

 2021年1月の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は合計3回の試験日程を設定するなど、異例の措置が取られましたが、2021年1月の共通テストは従来通り、本試験と追試験の2体制に戻ることになります。

 センター試験時代は新型インフルエンザが流行した年を除くと、追試験会場は全国数か所に設置されるのが通例でした。しかし、文部科学省は9月14日(火)、各自治体の教育委員会や関連機関に配布した文書「令和4年度大学入学者選抜に係る共通テストの追試験の試験場の規模について」で、追試験会場は長距離の移動を極力抑えるため、全国自治体に設置する意向としています。

 2021年1月と同様、2021年1月の共通テストも、受験生の感染リスク予防の観点に基づいた対策がとられます。

早稲田大学は共通テストを代替に

 多くの国公私立大学が利用する共通テストですが、その利用価値は引き続き高まっています。

新宿区戸塚町にある早稲田大学(画像:写真AC)



 早稲田大学(新宿区戸塚町)は他大学に先駆けて6月中旬に、一般選抜を受ける受験生が新型コロナウイルス感染症等に罹患(りかん)した場合、共通テストの結果で合否を判断する特例措置を決定しました。2021年2月に行われた一般選抜でも同じ対応が取られたため、2年連続という形になります。

 一方、都内の私立大学では、地方会場を設けて入学試験を実施している大学もあります。

 その代表格のひとつでもある明治大学(千代田区神田駿河台)は、駿河台キャンパスや和泉キャンパス(杉並区永福)などで実施される学部別入学試験のほか、全国8会場で行う「全学部統一入学試験」においても、罹患で受験できなかった受験生の合否を共通テストで決めると7月21日に告知しました。

 このほかにも、青山学院大学(渋谷区渋谷)や上智大学(千代田区紀尾井町)で一般選抜の特別措置として、共通テストの使用を決めています。

国公立大学では追試験日が主流か

 ただ国立大学では9月17日時点で、昨夏の横浜国立大学(横浜市)のように、早い段階から「2次試験は行わず調査書や共通テストの成績で合否を判断(教育学部を除く)」と明言している大学はありません。

千代田区紀尾井町にある上智大学(画像:写真AC)



 調査書や共通テストの成績で合否を判断するということは、2次試験での挽回チャンスが無くなることを意味します。実際、2次試験中止とした横浜国立大学ではほとんどの学部で志願者が減少し、他大学へ受験生が流れました。

 今後の感染状況によって、各大学の対応は分かれると予想されますが、2021年2月に行われた国立大学の2次試験では、出願直前に「2次試験なし」の決定が発表され、波紋を呼びました。

 こうした事態を招かないためにも、2020年の9月中旬に追試験日を発表し、受験機会確保の対応を取った東京大学(文京区本郷)のように、迅速な追試験の日程発表を行うことが望まれます。

緊急事態への対策が蓄積

 大学は、コロナ禍で周辺環境が一変した最たる例のひとつです。特に2020年は、AO入試・推薦入試の改称と制度の変化、そしてセンター試験に代わる新しい共通テストがスタートするなど、受験制度の大改革の年でした。

千代田区神田駿河台にある明治大学(画像:写真AC)

 そうしたニュースのインパクトがコロナ禍で一掃されたのは否めませんが、困難に立ち向かうことで新しい仕組みを構築する機会にもなります。

 現場の教職員にとって難しい試練の年は続いていますが、緊急事態への対策が整備、蓄積されるといった面ではメリットがあります。平時に戻ったとき、これらの教訓をどう生かすのか、各大学に大きな期待が寄せられます。

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