羽田空港行きの飛行機、窓外に「ありがとう」の文字が 話題さらったJALの心遣い、搭乗男性に話を聞いた

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羽田空港行きの飛行機、窓外に「ありがとう」の文字が 話題さらったJALの心遣い、搭乗男性に話を聞いた

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あっと驚く衝撃の場面、感心させられる発見や豆知識、思わず涙を誘う感動の出来事……。SNS上では毎日、新鮮な話題がいくつも発信されています。そのなかから「東京」に関連するものを厳選してご紹介します。

外出自粛の東京、仕方ない移動も

 2021年9月12日(日)現在、東京では新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にあるものの、緊急事態宣言が30日(木)まで延長されるなど引き続き予断を許さない状況が続いています。

 都は、都民に対し「日中も含めた不要不急の外出・異動の自粛要請」を要請しています。8月における、都内の従業員数30人以上のテレワーク実施率は65.0%。2020年3月以降、過去最高を更新し、非・通勤型の働き方が一定程度浸透している様子がうかがえます。

 一方で、業務上の移動を余儀なくされる職種ももちろん存在します。

 新宿区内に住むAndy.Iさんも、2021年9月上旬、仕事で鹿児島県の喜界島へ5日間、滞在しました。なんとか日程を終え、奄美空港を経由して東京・羽田へ戻ろうと乗り込んだJAL便の窓の外に、Andy.Iさんが見つけたものは――。

飛行機の外、整備士が描いた言葉

「奄美空港から羽田に戻る飛行機の窓から。何をしているのか見ていたら素敵な絵が! こんな暗いニュースしかない時期にいい気分になりました。JALさん最高です! ありがとう」

 そんなひと言を添えて2021年9月8日(水)にAndy.Iさんがツイッターアカウント(@andy_ikeda)に投稿したのは、飛行場のアスファルトの上に水を使って何かを描いている男性整備士の後ろ姿。

奄美空港で登場した飛行機の窓から見えた、整備士の水アート(画像:Andy.Iさんのツイート)



 路面には「ありがっさまりょうた!! amami」という文字とヤドカリの絵が見えます。これは2020年4月から、新型コロナ禍で乗客に感謝の気持ちを伝えるパフォーマンスとして同空港の整備士たちが始めたパフォーマンスなのだそう。

「ありがたっさまりょうた」とは、奄美地方の言葉で「ありがとうございました」を意味しているのだといいます。

 その様子はたびたびニュースなどでも取り上げられてきましたが、実際に目撃したAndy.Iさんやそのフォロワーたちも感動ひとしおだったようで、リプライ(返信)欄には

「粋なことしてくれますね! ディズニーランドみたい」
「素敵ですね。ほっこりしました」

といった声が寄せられていました。

コロナ禍の移動「ストレスの連続」

 長引くコロナ禍で出合った思いがけないおもてなしについて、Andy.Iさんに話を聞きました。

――この写真は、いつ撮影されたものですか?

「2021年9月8日水曜日の15時頃 奄美大島 ― 羽田行きの飛行機の窓からでした」

――発見したときの様子を教えてください。

「(コロナ禍で)もう1年以上マスクを着けています。南の島では、蒸し暑さですぐに呼吸が苦しくなりました。マスクを少しずらして空気を直接吸う。そして素早くマスクを定位置に戻す。ずっとこんな繰り返しで、これだけでもかなりこたえました」

「東京はかなり涼しくなっているので、早くこの暑さから逃れたい、といった気持ちでいました」

「こんな時期ですから、仕事で移動するにも対策が必須です。ワクチン接種2回を終えて、出発3日前に航空会社推奨のPCR検査を受けました。完璧なはずですが、いつどこで感染するか分かりません。移動はストレスの連続でもありました」

「仕事で喜界島へ行き、5日間過ごして東京に戻る帰路でした。(経由地である)奄美空港で約2時間待って、羽田行きの飛行機に乗る。疲れもたまっていたので、早く家に戻ってゆっくりしたい、というのが一番の思いでした」

「コロナ禍での飛行機の搭乗は、間をあけてゆっくりと順番に席に着きます。当然、普段より時間が掛かります。やっと自分の席に着いて、後は羽田までの約2時間眠ろう、とそんなことを考えていたときでした」

――窓の外を見て、あの水で描かれたアートを発見したのですね。

「ふと窓の外を見ました。喜界島から2時間ほど前に(奄美空港に)着いたばかりだったのですが、空港の濡れたアスファルトが急速に乾き始めていたので、午前中までは雨が降っていたのだろうと思いました。強い日差しで、地面の水分はみるみる蒸発しているようでした」

「飛行機の周りには整備の人たちが忙しそうに、行きかっていました。そんなとき、ひとりの整備士さんが飛行機に背を向ける格好で、乾いたばかりのアスファルト部分に向かって何か作業を始めました。地面の何かを描いているのが分かって、文字が読み取れました」

おもてなし「疲れも吹き飛びました」

――メッセージを見たときは、どのような思いを抱きましたか?

「『ありがっさまりょうた』という方言は知らなかったのですが、最初の3文字から『ありがとう』という意味だと、すぐに分かりました。その後、ヤドカリのかわいい絵も描かれました。なんだかジーンと心に響いて、にこの感動を残さなければとiPhoneで撮影しました」

――気持ちもふさぎがちな新型コロナ禍で、思いがけない心遣いに出合った感想を聞かせてください。

「こんな時期の東京行きの飛行機です。仕事帰りなどで、疲れている乗客たちが乗っているのは間違いないはずです。(そんな中でのパフォーマンスは)とても心に響きました。そして、さっきまですぐに眠ってしまおうと思っていた疲れも吹き飛びました。なんだか元気になりました。最高のおもてなしでした」

※ ※ ※

 Andy.Iさんは、

「もし天候が悪いままで出発の時間まで雨が降っていたとしたら、このおもてなしメッセージは見られなかったかもしれません。天気が急速に回復してくれて、とても幸運でした」

とも話しています。

JALの公式アカウントも反応!

 なお、Andy.Iさんの投稿にはJALの公式アカウントも反応。

「弊社の翼をご利用くださり、ありがとうございます。スタッフの水アートにご注目くださり、とても嬉しいです。Andy.Iさまにとって思い出のひとつとなりましたら、幸いです」

とリプライを送っています。

 ほんのささやかなことでも、誰かの心遣いに触れるとうれしく、なんだか優しい気持ちになる――。コロナ禍でのJALと搭乗客との心温まる交流が、ツイッターユーザーたちにも癒やしを与えたようです。

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