「キツめパーマ」と「ウルフカット」 平成っぽい懐かしのヘアスタイルが東京の若者に再流行しているワケ

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「キツめパーマ」と「ウルフカット」 平成っぽい懐かしのヘアスタイルが東京の若者に再流行しているワケ

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「キツめパーマ」と「ウルフカット」。大人世代には何だか懐かしく聞こえるヘアスタイルが今、東京の若者の間で再流行しているそうです。いったいなぜ――?

髪型マニアの都内ライターがリポート

 皆さんは髪にこだわりはありますか? 東京では近年、ファッションの代わりに髪型や髪色などで個性を表現する若者が増えています。

 歌手の安室奈美恵さんが人気を独り占めにした90年代は茶髪が、浜崎あゆみさんが一世を風靡(ふうび)した2000年代は金髪が――と、派手めな髪色が流行した時代をいくつもへて、2010年代は東日本大震災(2011年3月)などを契機にナチュラルメイクや自然な黒髪の人が増えました。

 ナチュラルさを追求する時代の空気感がしばらく続いたのち、「多様性」が尊ばれる2021年現在は、髪型・髪色も個々人が自分自身に合ったスタイルを楽しんでいます。

 今回は、毎月1回、東京都内の美容室でカラーとカットを欠かさない筆者が仕入れた、最新の髪型・髪色のトレンドに関する情報を紹介します。

1.「ウルフカット」とは?

 髪型に関しては「ウルフカット」と「キツめパーマ」のふたつを取り上げます。

「キツめパーマ」に「ウルフカット」。大人世代にとってはちょっと懐かしいヘアスタイルが今、形を変えて東京の若者の間で再流行しているらしい(画像:写真AC)



 ご存じの通り、どちらもかつて大ブームになったことのあるヘアスタイル。なので大人世代の読者にとっては「懐かしい」という思いを抱かせるものかもしれません。あらためて、それぞれのスタイルの特徴や人気の背景などを紹介します。

 ウルフカットは、オオカミのたてがみや毛先をイメージした軽さのあることから、この名前が付いています。頭の上部分に丸みがあり、えり足は軽くなっているので、軽くてスッキリした印象のあるシルエットを演出することができます。

 顔まわりが少し長く、首元に“くびれ”ができることも特徴です。

インスタには50万件近い投稿が

 90年代にも流行したこのウルフは2~3年前から再びトレンドになっていて、若者に人気のSNSインスタグラムでハッシュタグ検索すると49,2万件もの投稿が見つかります。

 この髪型でイメージする最近の芸能人といえば、ミュージシャンのあいみょんさんを思い浮かべる人が多いかもしれません。歌もファッションもメイクもそして髪型も、常に新鮮な独自のスタイルを発信する彼女は、このトレンドの立役者のひとりだったと考えられます。

「2020 年間 USEN HIT ランキング」でJ-POP総合1位に輝いたミュージシャンのあいみょんさん(画像:USEN-NEXT HOLDINGS)



 ボーイッシュとフェミニンの良いとこどりなスタイルなので、「ずっと同じ髪型で飽きてきた」「そろそろ髪型で個性を出したい」という人はウルフカットに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 ちなみに、90年代のウルフカットとの大きな違いは、髪をスカスカに減らし過ぎず、ある程度の重さを残すことです。この髪型にしているだけで他の人とはちょっと違うおしゃれな印象を与えられるので、性別を選ばずに人気があります。

 渋谷や表参道、原宿あたりを歩いていても、ウルフカットでかっこよく決めている女性や男性たちを見かけます。

ウルフカットが似合う人は?

 個性は出したいけれど自分に似合うか不安……と感じる人へ。そんなときは自身の「骨格」とのバランスを見てみましょう。

 ウルフカットが一番似合うと言われているのは「丸顔」です。縦のラインを強調するヘアスタイルになっているため、丸顔とのバランスがちょうどよく、シャープに見えるのです。

 童顔に見られることの多い丸顔さん。えり足やレイヤーで縦のラインを強調すれば、ぐっと大人っぽく見えるはず。

ウルフカットは種類いろいろ

 ひと口にウルフカットにも、実はいろいろな種類があります。美容師さんと相談してショートやミディアムなど長さを選び、セットの仕方を工夫すれば丸顔でない人にももちろん似合います。

 ショートのウルフカットは、顔まわりと後ろの髪の長さにロングほどの差が出ないので、ヘアセットの仕方次第では一般的なボブのように見せることもできます。

 ロングのウルフカットは、縦に髪を伸ばしていくので、縦の印象がどんどん強調されていきます。ロングであっても軽さや毛先の動きが出せるのが人気の理由です。

 自分は丸顔ではなくて、どちらかと言えば面長、という人は、ショートやミディアムのウルフカットを試してみることをおすすめします。

2.「キツめパーマ」とは?

 続いてふたつ目に紹介する髪型は「キツめパーマ」です。なかでも「スパイラルパーマ」が最近のトレンドと言えるでしょう。

 スパイラルパーマとはロットに毛束を螺旋(らせん)状に巻き付けた状態でかけるパーマ。 男性にはもちろん、ボリューム感を出して華やかな印象を作りたい女性にも、性別を問わずとても人気。インスタグラムへの投稿数は46.5万件にも上ります。

 80年代には「ソバージュ」などの名前で呼ばれたこの髪型ですが、近年のトレンドの場合は、キツめといってもガチガチにカールを固めるのではなく、フワッとエアリーなニュアンスを欠かさないのがポイントです。

 このトレンドの潮流は、長らく根強い人気となっている「外国人風パーマ」から来ているものと考えられます。

外国人のようなエアリーなパーマは若い女性に根強い人気(画像:pixabay)



 メイクの分野でも「透明肌」「色素薄い系」「はかなげカワイイ」などのキーワードが人気を誇るなか、そうしたメイクにもばっちり似合うこのパーマがトレンドとなるのはうなずけるはず。

 パーマがかかっていることが一目見てすぐ分かるので、地毛のストレートからガラッと雰囲気を変えたい人におすすめです。

キツめパーマが似合う人は?

 この髪型は丸顔と面長の人におすすめです。

 パーマをかければ自然に丸顔をカバーすることができます。また、面長でも小顔に見せたい場合、長さをミディアムにしてみましょう。スパイラルパーマをかけると横にボリュームが出るので、前述の通り外国人のような雰囲気を出せます。

最新のトレンドの髪色とは?

 さて、髪型と併せて、髪色のトレンドについても紹介します。

 冒頭で触れた通り、ナチュラルな黒髪など控えめな髪色が主流の時代が続きましたが、最近ではブリーチを必要とするほどのハイトーンなど、個性的な色が流行しています。固定概念にとらわれない、今どきの若者らしい嗜好と言えそうです。

 このようないわゆる派手髪と呼ばれるカラーリングでも、髪型を工夫すれば自分に合ったテイストを見つけられるはずです。

 派手髪を併せて数年前から引き続き人気なのが、アッシュ系と呼ばれるカラーです。

 アッシュとは、グレーがかった透明感のあるカラーのこと。柔らかさのある印象を作ることができます。

 表参道の人気美容師さんによると、アッシュ系の中でも特に「アッシュベージュ」や「ミルクティーベージュ」は多くの人からオーダーが入るトレンドの髪色だそうです。

まずは「インナーカラー」に挑戦

 トレンドの髪色を楽しみたいけれど、仕事の都合であまり派手に髪の毛を染められないという人も多いでしょう。そんな人におすすめなのが「インナーカラー」です。

 インナーカラーとは、髪の一部だけにカラーを入れること。

髪の表面ではなく内側にだけカラーリングをほどこすインナーカラーはここ数年で定番のトレンドに(画像:写真AC)



 ベースの髪色との差をはっきり出すことでかわいらしさが増します。ブリーチをして明るい髪色に挑戦してみてください。

 ヘアアレンジの仕方によってインナーカラーを地毛の中に隠すこともできるので、SNSの投稿を参考にしたり、美容師さんと相談したりしながらスタイルを検討してみるのもいいかもしれません。

 筆者は東京都内の大学に在学していますが、身近な友人にもインナーカラーをしている人は数多くいます。なかには「明るい髪色はバイト先でNGだけれど、インナーカラーなら結んでしまえば分からないからバレない」といった声もあり、なるほどと納得させられました。

「アウターカラー」って何?

 髪色で自由に個性が出せるという人は、ぜひ「アウターカラー」にも挑戦してみてください。

 アウターカラーとは髪の内側に色を入れるインナーカラーとは反対に、髪表面に色を入れることです。

 この言葉は最近使われ始めたばかりなので、まだ知らない人も多いかもしれません。

 髪の毛の表面だけブリーチをすることで下の色を透けさせることができるので、髪をなるべく痛めずに、でも個性を出してカラーを楽しみたいという人におすすめです。

流行がリバイバルする面白さ

 最近の若者は「おしゃれにあまりお金を掛けない」とか、あるいは「量産型」などと言われることもありますが、実は皆、それぞれの方法で自分なりのおしゃれを存分に楽しんでいます。ヘアスタイルはその分かりやすい一例でもあります。

 かつて流行したヘアスタイルが、形を変えながらも再び注目されていることを、大人世代は懐かしくも興味深く感じるかもしれません。

 当時との違いを探しながら今どきの流行に関心を寄せてみるのも面白いのではないでしょうか。

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