「スガちゃんまんじゅう」も大きな話題に――国会議事堂のお土産の歴史とは

新内閣が誕生するたびに注目を浴びる関連商品。その歴史について、フリーライターの本間めい子さんが解説します。


次々と発売される関連商品

 新型コロナウイルス感染拡大で、その対応に注目が集まる菅義偉内閣。こうしたなか同様の注目を集めているのが、国会議事堂(千代田区永田町)のお土産などとして販売されている関連商品です。

「誕生!!スガちゃんまんじゅう」(画像:大藤)



 2020年9月の菅内閣成立にあたっては実に7年9か月ぶりの政権交代ということもあり、数々の商品が売り出されました。

 山志製陶所(岐阜県土岐市)では、初代首相伊藤博文からの歴代総理大臣を描いた湯飲み「歴代首相漫像湯呑」に加えて、元号発表の際に「令和」墨書を掲げた菅首相の絵柄の湯飲みを発売。首相就任前から1万個の注文が入る人気商品となりました。

 また、キョウゼン(墨田区横川)では、菅首相の顔入りミニハンカチを発売。国会以外でも、菅首相の地元・秋田県湯沢市の湯沢グランドホテルでは、菅首相をココアパウダーで表現したパンケーキの提供を始めました(『時事通信』2020年9月19日配信)。

 こうした関連商品のなかで、とりわけ話題になったのが大藤(荒川区西日暮里)のお菓子です。

 主にお土産用の菓子を製造してきた同社は2001(平成13)年、「ガンバレ純ちゃんの好景気まんじゅう」を発売。続いて2006年に発売した「誕生! 晋ちゃんまんじゅう」は発売前から注文が殺到し、55万個を売り上げる大ヒット商品になりました。

 その後も「太郎ちゃんの牛乳カステラ」「よみがえれ! 自民闘まんじゅう」などを発売するなど、ときの政治家にあやかった菓子は同社の定番商品となっています。

2度目の緊急事態宣言以降、売り上げは急落

 大藤では菅内閣誕生の際、「スガちゃん瓦割りせんべい」と「誕生!!スガちゃんまんじゅう」を発売。発売当初から完売ラッシュの人気商品となっていました。

 ところが2度目の緊急事態宣言以降、売り上げは急落。「誕生!!スガちゃんまんじゅう」は2020年10月に単月最高の約2万箱を売り上げていましたが、4月はついに165箱まで急落しました(『日刊スポーツ』2021年5月6日付)。

 関連商品は衆院事務局退職者による団体・衆栄会の運営する「ショップ永田町」でも通販できますが、やはり国会議事堂での売り上げがほとんどを占めているようです。

「ショップ永田町」のウェブサイト(画像:衆栄会)



 一番最初の関連商品は今となってはわかりませんが、山志製陶所の「歴代首相漫像湯呑」は1976(昭和51)年の福田赳夫首相在任時に販売を開始。また、キョウゼンでは公式サイトで「半世紀ほど前から国会議事堂及び議員会館の中の売店にお土産品も卸しています」と記載しています。

 そんな歴史ある関連商品の売れ筋は湯飲みやマグカップ、扇子で、「将来、子どもが政治家になれるように」と歴代首相の書入り額皿を買う人もいるようです。

 また1997年にフジテレビ系でテレビドラマ『総理と呼ばないで』が放送されたときには「議員バッジが欲しい」というお客もいたといいます。もちろん販売していないため、その代わりともいえる菊の紋が入ったネクタイピンなどが売れたそうです(『産経新聞』1997年5月18日付朝刊)。

野党をネタにした商品も

 前述の「誕生! 晋ちゃんまんじゅう」の大ヒット以降は、まんじゅうやせんべいの売り上げが政治家人気のバロメーターとしてたびたび報道されるようになりました。

 麻生太郎内閣の2009年初頭には、大藤が発売した「秘密の太郎ちゃん まんじゅう」に対して、喜多村(台東区上野桜木)の民主党・小沢一郎代表(当時)を元ネタにした「いっちゃんまんじゅう」の売り上げ対決が話題になっています。

 当時の報道によれば「八対二で首相の方が売れている」とし、「現役首相グッズだから買っていくお客さんが多いようだ」という販売店の分析を添えています(『信濃毎日新聞』2009年2月23日付夕刊)。

 民主党政権が誕生した2009年9月には、喜多村が「祝308政権交代紅白まんじゅう」を発売。この後、大藤は「よみがえれ! 自民闘まんじゅう」を発売するのですが、自民党が衆院選に勝利したら「政権防衛まんじゅう」を売る予定で準備をしていたといいますから、そのアイデアとフットワークには驚くばかりです(『秋田魁新報』2009年9月14日付朝刊)。

千代田区永田町にある国会議事堂(画像:写真AC)



 自民党を元ネタする大藤に対して、後発の喜多村は民主党を元ネタにした菓子を次々と発売。後発ゆえにより強いインパクトが必要だったのか、菅直人内閣のときには「イラ菅のクリーンな水よ~菅」「イラ菅の缶コーヒーチョコレートクランチ」なども発売しています。

 ともすると、内閣をおちょくってるように誤解されかねないお土産を陳列する国会議事堂の売店は実に懐が深く、その深さたるや、2018年には話題になった「忖度(そんたく)」の文字をあしらったお土産まで販売していたくらいです。

 政治の激動を商機として逃すことなく歴史を刻んできた関連商品ですが、新型コロナウイルスの流行だけは想定外だったのかも知れません。

 それでも「これは記念に買わなきゃ」と誰もが手を取りたくなる、時代を切り取った商品のアイデアを各業者が練っていると信じたいものです。


【画像】菅首相「関連グッズ」の数々

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