「不幸が訪れますように……」 関東最強「縁切りスポット」の絵馬に書かれた凄まじい怨念

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「不幸が訪れますように……」 関東最強「縁切りスポット」の絵馬に書かれた凄まじい怨念

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ズズズ

イラストレーター、ライター

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東京で暮らし、働く男性たちは、日々何を見て何を思いながら過ごしているのでしょう。イラストレーターでライターのズズズ(zzz)さんが、自身の「何でもない今日」をイラストともに切り取ります。今回のテーマは「板橋の縁切榎」。

板橋区本町の「縁切榎」とは?

 初めて板橋本町駅(板橋区本町)に降り立ちました。都営地下鉄A1出口から地上に出るとそこは首都高速の真下。多くの自動車が行き交う環七通りと中山道の交差点で、閑静なイメージとは真逆の場所でした。

 今回、私(ズズズ。イラストレーター、ライター)がなぜこの場所に来たのかというと……、縁を切りたいのです。「誰と」というわけではなく、ここ数か月、いえ……、よく考えると数年ついてないのです。

 長期で体調を崩したり、収入が途切れたり、交友関係の崩壊や死別などが連続で起こっている気がします。

 そんなとき、『ゾクッ東京怪奇酒』(清野とおるKADOKAWA)という心霊スポットでどきどきワクワクゾクゾクムラムラしながら飲酒をするというエッセイ漫画を読んでいて、「縁切榎(えんきりえのき)」の存在を知りました。

 縁切榎は、板橋本町駅から徒歩数分の場所にあり、人間関係やお酒、ギャンブル、病気などさまざまな悪縁を断ち切ってくれるという関東最強の縁切りスポットとのことです。

 ここに行けば自分にまとわりつく何かしらの悪縁を断ち切って負の連鎖から抜け出せるかもしれない。そう思いました。

悪縁が強いとスポットにたどり着けない……

 切りたい縁が強力なほど縁切榎にたどり着くことが難しいということで、朝は久々に大雨だったので、これはもしはや……と思ったのですが、午前10時頃になると嘘のような晴天に変わり、午前11時半頃には余裕で板橋本町駅に降り立つことができました。

 雨上がりのじめついた重い空気をまといながら数分歩くと縁切榎にたどり着きました。

到着した「縁切榎」。凛とした雰囲気でたたずんでいる(画像:ズズズさん制作)



 縁切りのイメージから怨念や執念の渦巻く鬱屈(うっくつ)とした雰囲気かと思いきや交差点の一角にたたずみ妙に凛とした雰囲気をまとう場所というのが最初の印象です。

 まず絵馬を購入する必要がありますが、境内に社務所がないため、向いの蕎麦(そば)屋「長寿庵」で購入します。

 ちょうど昼時だったので、もりそばとかつ丼のセットと絵馬(1000円)を注文しました。先に絵馬が来て、白い紙袋から取り出すと絵馬のほかに根付とプライバシーの保護シールが入っていました。

 隣の席を見ると40代くらいの女性がひとりで蕎麦を食べていて、テーブルには絵馬の入った白い紙袋が置かれていました。この人も何かしらの縁を切りたい人なのでしょう。

 このとき、油性ペンを忘れたことに気付きました。お店で借りようとしたのですが、ぞくぞくと近くの工事現場の作業員やスーツを着た会社員が入店してきて忙しそうだったので後ほどコンビニで買うことにしました。

コンビニ店員が残した妙なメッセージ

 とりあえず「縁切榎」と書かれた根付をスマートフォンに取り付けます。運ばれてきた蕎麦とかつ丼はボリューム満点でとてもおいしかった。絵馬を購入する際はぜひ一緒に召し上がってもらいたいです。

 店を出て、コンビニに行くと油性ペンがいくつか置いてありました。適当にひとつ手に取ってレジに持っていくとおばちゃんがニヤリと笑って言います。

「お兄ちゃん、絵馬は買った?」

 買いましたよ、と答えるとおばちゃんは続ける。

「あなたラッキーだね。絵馬はね、この油性ペンじゃなきゃダメなの。他にも油性ペンあったでしょ。でもね、これじゃなきゃダメ。お兄ちゃん、ついてるね。」

 突然のことで何がなんだかわからず、不思議な町に来てしまったかのような感覚になりました。それでもついてないと思ってこの町にやって来たので、偶然でもついてるねと言われてうれしくなりました。

 コンビニを出て、購入した油性ペンを眺めますが、そこには何の変哲もないZEBRA社製の油性マーカーがあるだけでした。

 近くのベンチで絵馬に願いを書きます。ちなみに絵馬に書く内容は「~ますように」とするのではなく、「~します」「~しました」と言い切ったり、過去形にしたりした方が効果が高まるとのことです。

 再び縁切榎に到着。拝殿の前のおさい銭箱に思い切って1150円(いいごえん)を納めて、鈴を鳴らします。なぜかあれだけじめじめとしていた空気が嘘のように涼しくなったような気がして、びゅうと強い風が吹きました。

 二礼二拍手。声に出して住所と氏名を伝え、願いを言い切る。一礼。

いくつもの絵馬に書かれた衝撃の言葉とは

 絵馬を結ぼうとするとプライバシー保護シールの張られていない絵馬の内容が目に入りました。ポジティブな内容や良縁報告もあれば、「XXXに死んでほしい」「XXXに不幸が訪れますように」といった衝撃の文字も……!

 誰かを妬(ねた)んだり、恨んだりするようなネガティブな内容もあり、おどろおどろしさを感じるとともに少し複雑な気持ちになりました。

いくつもの絵馬が奉納されているが、なかには衝撃的な願いが書かれているものも……(画像:ズズズさん制作)



 何か嫌なことがあったとき、衝動的に相手の不幸を願うこともあるかと思いますが、わざわざ縁切榎までやって来て絵馬に書くというというのは相当な気持ちがなければできない気もします。

 相手は不倫のパートナーだったり嫌味な上司だったりするのでしょうか……。勝手な妄想が止まりません。絵馬を書いた人たちが一刻も早く悪縁から解放されることを願います。

 お辞儀をして縁切榎をあとにします。縁が切れた実感はありませんでしたが、何となくすがすがしい気持ちだけが残っていました。

縁切りスポットの後にぜひ行くべき場所

 そして、漫画ではお参りをした後は悪縁を断ち切った状態なので、その後縁結びのスポットへ行くと良いと書かれていたのを思い出しました。

 ニヤリと笑って板橋本町駅から飯田橋駅に向かいます。そう、縁結びの最強スポット東京大神宮(千代田区富士見)です。いやぁ、これから何かいいことあるといいな。

 さぁ、皆さんも何か断ち切りたい縁はありませんか? そんなときは縁切榎に願ってみてはいかがでしょうか。

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