創業50年 千代田区の中華料理店が静かに廃業 店主の「あいさつ文」に1.4万人「泣けてきた」「本物の職人」
2021年8月25日
ライフあっと驚く衝撃の場面、感心させられる発見や豆知識、思わず涙を誘う感動の出来事……。SNS上では毎日、新鮮な話題がいくつも発信されています。そのなかから「東京」に関連するものを厳選してご紹介します。
神田、店のガラス戸に張られた「ごあいさつ文」
長引く新型コロナ禍で、廃業を決めた飲食店は決して少なくありません。昔から当たり前にあった町の名物店が、ある日ふいに看板を降ろしてしまうこともあります。
東京メトロ淡路町駅、JR神田駅からほど近い千代田区内の一角で2021年6月、老舗の中華料理店が静かに店を閉めました。
店のガラス戸に張られた「ごあいさつ文」を見つけ、8月23日(月)ツイッターに投稿したのは、自身も飲食店を営む 黒かどや(@kadoya1)さん。
その内容が「泣けてきた」「寂しい」「やるせない」とツイッターユーザーたちの反響を集めています。
「余り美味しいと言えませんでしたが」
<ごあいさつ

この程、コロナ禍中と加齢もあり六月をもって閉店する事に致しました。
私の知る処では、昔風の味は、神田にはもう無いかも知れません。「昔、父ちゃんと一緒に食べた味だ」と話されたお客様が印象に残ってます。
この道五十年、余り美味しいとは言えませんでしたが、日頃よりご愛顧頂きましたお客様に誠に心から御礼を申し上げます。
令和三年 六月吉日
中華料理 ひかり 店主>
店主の50年に触れ「身震いする思い」
黒かどやさんはこの画像に、こんなつぶやきを添えています。
「淡路町の廃業したラーメン屋の閉店のあいさつを見て、これは店の遺書だなと思った。店主の50年間がこの一枚の張り紙に表現されていて身震いする思いだ」
「店頭に置かれた『ご自由にどうぞ』の中華鍋が哀愁を誘う。俺は店が廃業する時にどんな遺書を残せるだろうかと、ふと立ち止まって考えてしまった」

さらに、半世紀続けてきた同店店主の胸中に思いを致し、
「50年も料理の仕事を続けてその間に百万回以上もラーメンを作ってきたかもしれない。それでも『余り美味しいとは言えませんでしたが…』と書ける謙虚さ」
にも、同業者として敬意を払っています。
この投稿を見たフォロワーたちは、
「あまり美味しくなかったら50年もお店がないと思う。いいお店だったのだろうなあ」
「こうしたお店が無くなってしまうのは、寂しいです」
「本物の職人さんやね……」
「50年も苦楽を共にした中華鍋。なんだか泣けてくる……」
と次々にリプライ(返信)を書き込み、2021年8月25日16時半現在およそ1.4万件の いいね が寄せられています。
大好きな店が無くなってしまう前に
帝国データバンクの調査によると、2020年に倒産した飲食店は過去最多。業態別では「酒場・ビヤホール」が最も多く、次いで「中華・東洋料理店」が続きました。
先述のツイートに対するリプライには、
「これを見て、食べにいきたくなる、、遅いのはわかっているのに」
「いつだって失ってから気づく」
といった声も。
古くからのお店がひとつまたひとつと閉じられること、少しずつ東京の風景が変わっていくことについて、黒かどやさんはどのように受け止めているのでしょうか。
「(そうした店は)残ってほしいですけど、現実問題として低収入の食事メインの飲食店は後継者は望めませんし、廃業は仕方ないことだと思います。貧しかった昭和の頃と、今の令和では仕事に対する価値観もずいぶんと変わりましたから」
「それでも残る店はありますので、皆さんチェーン店ばかりではなく、近所の個人経営の飲食店にもたまには足を運んでほしいですね」
外出自粛の要請が続くコロナ禍では、テイクアウトやデリバリー需要が拡大し「安くて便利」という消費者ニーズに応えるサービスも数多く登場しました。
一方で、こんなときだからこそ長年親しんできた飲食店を応援する気持ちを持ち併せていたいと、あらためて考えさえられたツイッターユーザーも多かったようです。
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