今の子どもは「公衆電話」の使い方を知らない? そんなとき、元塾講師のママライターがとった行動とは
無料対話アプリなどの登場により、使用頻度が著しく減少している固定電話と公衆電話。近年ではその使い方すら知らない子どもたちが増えていると言います。その現状について、ライターで元塾講師の中山まち子さんが自らの体験を基に解説します。公衆電話を使ったことのない世代の登場「うちの子は、固定電話や公衆電話を使ったことがないかも?」 小さな子どもがいて、こう考える親は現在少なくないでしょう。なぜなら、2018年度発表の総務省の情報通信白書によると、2006(平成18)年度に5515万契約だった固定電話の契約数は、2017年度までに2135契約と6割減になっているからです。 街中に設置された公衆電話のイメージ(画像:写真AC) 家族同士の連絡や遠方に住む祖父母に電話をするときは、スマートフォンのアプリを経由すると通話料無料の場合がほとんど。固定電話を使うメリットはありません。その一方、地震や大雨などの自然災害がいったん発生すると、ネット回線はパンク状態になったり、スマートフォンは停電で充電できなかったりします。 公衆電話はそのような緊急時に重宝されます。東日本大震災のときは被災県の公衆電話が無料開放され、長蛇の列ができました。 今回は非常事態に備えて、子どもがスムーズに公衆電話を使えるコツをご紹介していきます。 学校で出された、公衆電話の場所を探す宿題 小学校の防災訓練が近づいてきたある日、学校から帰宅した筆者の子どもたちが「家から近い公衆電話はどこ?」と聞いてきました。訓練を控え、学校の宿題として課されたというのです。 災害発生時のイメージ(画像:写真AC) 災害発生時に備えて、自宅から近い公衆電話を親子で確認するよう先生から話があったといいます。筆者の頭に浮かんだのは、自宅近くの図書館内に置かれているものだけでした。インターネットでさっそく調べてみると、NTT東日本とNTT西日本の公衆電話の場所を検索できるサイトを見つけました。 そのサイトで調べたところ、筆者の街にはボックス型が2台、店先に2台あることがわかりました。真っ先に頭に浮かんだ図書館内の電話は、閉館時に利用不可。終日利用できる公衆電話を把握するのがいかに大切なことかと感じました。 「おばあちゃん、出ないよ」受話器を置いて電話をかけた子ども 学校の宿題を通して、現在の子どもが「数字ボタンを押しながら、電話をかける機会」がいかに少ないかということに気がついた筆者。物は試しと、子どもに固定電話を使って、遠方に住む祖母に電話をかけさせることに。 電話番号を書いたメモ帳を渡して、挑戦させましたが、なぜだか子どもは首をひねっています。 「全然反応がない」「いくら待っても、おばあちゃん出ないよ」 と言うばかりです。 番号を押し間違えたのではないかと心配になり、子どもに近寄ってみると、なんと受話器が置かれたまま。固定電話は受話器を持って使うものと私が指摘すると、ふたりは「えっ、このままだといけないの?」と返しました。 その言葉を聞き、筆者は子どもが正しい電話のかけ方を知らないまま成長していたことに気がついたのでした。その場で、電話のかけ方を教え、結果的に祖母へ電話をかけることができました。 覚えさせた自宅の電話番号覚えさせた自宅の電話番号 子どもが筆者のスマートフォンを使って祖母へ電話をかけるとき、登録者の中から祖母の名前を選び、タップすれば通話が出来るようになっています。昔のように番号をわざわざ押したり、電話番号を暗記する必要もありません。 筆者の世代であれば当たり前にできていたことを、子どもは経験せず、成長していることに危機感を覚えました。災害時にスマートフォンが使えなくなったら、いったいどうするのかと。 音声通信サービスの加入契約数の推移(画像:総務省) 防災訓練後に学校から、保護者や祖父母の電話番号を記入するカードが配布されたこともあり、筆者は、自宅の電話番号を子どもに暗記させることにしました。早速記入させ、ランドセルや自宅の決まった場所に置かせることに。 また子どもが遊びに出かけるときは、公衆電話用の10円玉数枚と電話番号を記入したカードを必ず内ポケットに入れるよう、親子間でルールを作りました。加えて、出先でトラブルが起きたときに備え、連絡が取れるよう対策を施しました。 子どもがよく遊ぶ公園の近くの公衆電話をチェックし、使い方を説明。実際に硬貨を入れさせたり、受話器を持たせたりしたのです。 地震などの自然災害は、ある日突然起きます。「そんなことはめったに起きない」と思わず、日頃から親子で電話のかけ方や公衆電話の設置場所を確認し、防災意識を持つことが求められているのではないでしょうか。
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