SNSで一躍話題に! 松屋「シュクメルリ鍋定食」が牛丼顔負けの大ブームになったワケ

外食チェーン・松屋で近年SNSを中心に人気になったメニューと言えば、ジョージア料理の「シュクメルリ」です。その要因について解説します。


「シュクメルリ」とは何か

 東京練馬区で創業され、お手頃価格の牛めしやカレー・定食を豊富にそろえる松屋。全国に約960店舗を置き、都内だけでも400超の店舗を構えます。その松屋が、2021年1月から2月にかけて期間限定で復刻販売したメニューが、「シュクメルリ鍋定食」。「シュクメルリ」という聞きなれない名前のこの料理は、ロシアやトルコに接する国・ジョージア(グルジア)の鶏肉を使った伝統的な煮込み料理です。

「シュクメルリ鍋定食」(画像:松屋フーズホールディングス)



 もともと2019年12月の店舗限定販売から始まったメニューですが、SNSを通じて反響を呼び、翌月の2020年1月から全国展開を開始。さらに、同年6月に開催された「第2回 松屋復刻メニュー総選挙」で1位を獲得し、2021年1月に復刻を果たした人気メニューです。

 松屋のヒットを契機に、コンビニでシュクメルリの商品が登場したり、レシピが本やインターネット上のメディアで紹介されたりするなど、その人気は広がりを見せました。

 ジョージア料理はもちろん、「シュクメルリ」という名前もほぼ日本では知られていなかったであろうにもかかわらず、ブームを巻き起こした松屋のシュクメルリ鍋定食。なぜ、このメニューが一躍人気となったのでしょうか。その理由を、SNSを中心とした広がりやコロナ禍の状況という観点から考察していきます。

「シュクメルリ」は日本になじみがあった?

 シュクメルリとは、にんにく入りのクリームソースで鶏肉を煮込んだ、ジョージアの郷土料理。鶏肉からあふれ出るうま味としっかりきいたにんにくが絶妙にマッチした魅力の一品です。

 シルクロードの中継地点で多彩な文化が交わってきたジョージア料理は、東西のさまざまな食材や料理法が交差し、発展してきました(dancyu (ダンチュウ) 2018年 5月号)。ジョージアで有名なグルメには、世界でも古くから生産されてきたワインや、ジョージア風のギョーザ「ヒンカリ」、チーズを包んで焼いたパン「ハチャプリ」などがあります。

 そんなジョージア料理のなかで、シュクメルリは外国でも知られるようなジョージアを代表する定番メニューではなく、一般家庭で日常的に食べる庶民的な料理にあたるそう。

 また、シュクメルリを含むジョージア料理は日本ではまだメジャーとは言えません。東京都内で食べられるお店をインターネットで探してみると、ロシア料理店の1メニューとして提供しているところがある程度で、専門店はほとんどないようです。

ジョージア料理を提供している新宿区歌舞伎町の「スンガリー 新宿東口本店」(画像:(C)Google)



 日本で食べられる機会が少ないジョージア料理のなかでも、さらに外国での知名度が高くない日常的な料理であるシュクメルリは、極めてマイナーな料理であると言えるでしょう。なぜこのメニューが日本で爆発的な人気となったのでしょうか。

ツイッターから見る「シュクメルリ」の人気拡大

 2019年12月、松屋の一部店舗だけの販売から始まったシュクメルリは、ツイッター上での人気の大きさから、2020年1月から2月にかけて全国の店舗で販売されるようになりました。2019年12月16日に松屋の公式ツイッターで投稿された「全店販売決定」のツイートは、1万リツイートもの反響がありました。

松屋の公式ツイッター(画像:松屋フーズホールディングス)

 松屋のシュクメルリは、「世界一にんにくをおいしく食べるための料理」と銘打ち、「シュクメルリ鍋定食」として約1か月半の期間限定で販売。販売が終了しても人気は衰えず、2020年2月27日に松屋公式レシピを紹介するツイートが投稿されると、2万件を超えるリツイートがなされるほどでした。

 この松屋のシュクメルリをきっかけに、マイナーだったジョージア料理・シュクメルリは、松屋店舗やSNS以外にも広がりを見せるようになります。コンビニ大手ファミリーマートで「ごはんにちょいかけ!シュクメルリ」という家庭で手軽に味わえる商品が登場したり、テレビでレシピが紹介されるなど、一躍身近な料理となったのです。

 さらに、2020年6月から7月にかけて行われた「第2回松屋復刻メニュー総選挙」では1位を獲得。「シュクメルリ鍋定食」は総投票数約19万票のうち約4万8000票で1位となり、2020年度秋冬に復刻が決定しました。そして、2021年1月から2月にかけて復刻販売に至ったのです。

SNSで料理とレシピの認知度向上

 松屋シュクメルリの売れた理由を考察してみると、まずSNSを中心としたメディアで料理とレシピの認知度が飛躍的に向上したことが上げられます。

 またSNSでの広がりは、

1.駐日ジョージア臨時代理大使のツイート
2.人気料理研究家によるレシピの発信
3.松屋公式アカウントのレシピ公開

が大きなきっかけだと考えられます。

 松屋が一部店舗で限定販売していた当時、駐日ジョージア臨時代理大使がツイッターでそのメニューを食べる様子を投稿しました。本場であるジョージア大使が味わったという話題性から、SNSでその投稿が拡散。そこから興味を持ち、松屋に足を運ぶ人が増えたと考えられます。

 さらに、ツイッターやユーチューブなどで多彩なレシピを発信する人気料理研究家・リュウジさんが、同時期にシュクメルリのレシピをツイート。2.8万件の「いいね」がつく人気ぶりを見せ、ここでもさらに知る人が広がったのです。

松屋の公式レシピ(画像:クックパッド)



 そして、2020年2月に店舗販売の半数以上が終了した段階で、松屋は公式レシピをクックパッドに公開。その周知ツイートのリツイート件数は2.3万件にのぼり、その人気ぶりを伺うことができます。

コロナ禍での「おうちごはん」需要とマッチ

 さらに、家庭で食べる機会が増えたコロナ禍の状況にマッチしたことも要因のひとつだと考えられます。

 2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、外出自粛による家庭での食事のニーズが急速に高まり始めた時期です。

 そんななか、料理研究家・リュウジさんによるツイッターやユーチューブでのレシピの発信や、松屋による公式レシピの公開が、シュクメルリを家庭で作るきっかけとなったと考えられます。

 さらに、2020年には日本テレビ「ヒルナンデス!」やテレビ朝日「家事ヤロウ」など、テレビでシュクメルリのレシピを紹介する機会が増え、ますます多くに人に知られるようになります
)。

気軽に異国情緒を感じられるメニュー

 2020年秋になると、家庭で作れるレシピだけでなく身近にシュクメルリを楽しめる商品が生まれます。

 コンビニ大手ファミリーマートの「お母さん食堂」シリーズがそのひとつで、「ごはんにちょいかけ!シュクメルリ」はレンジでチンするだけで味えるという手軽さ。シュクメルリをますます身近なものにしたのです。

「お母さん食堂」シリーズの「ごはんにちょいかけ!シュクメルリ」(画像:ファミリーマート)



 SNSを発端に料理とそのレシピが知られるようになったシュクメルリは、コロナ禍のおうちごはんニーズの後押しで、一気に家でも食べられる身近なメニューとなったのです。容易に外出や旅行ができない状況のなか、気軽に異国情緒を感じられるメニューであることもひとつの要因かもしれません。

 松屋の「シュクメルリ鍋定食」の人気ぶりは、SNSによる料理とレシピの周知、そしてコロナ禍という状況が一因なのでしょう。


【地図】「ジョージア」の位置

画像ギャラリー

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