コロナで街から消えた大学生の「新歓イベント」 かつてのお祭り騒ぎはもう見られなくなるのか?

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コロナで街から消えた大学生の「新歓イベント」 かつてのお祭り騒ぎはもう見られなくなるのか?

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中山まち子

教育ジャーナリスト

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大学の春の一大イベントだった「新歓」はコロナで開催不可能に。しかしオンラインで行おうと努力する大学も少なくありません。教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。

キャンパスライフのスタートを飾る新歓

 大学の春を彩る一大イベントと言えば新入生歓迎会(新歓)です。新入生と在学生が集まる新歓の時期は、キャンパスに初々しく、そしてにぎやかな雰囲気が漂います。新入生にとっては、まさに「キャンパスライフ」を体現するイベントです。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で大学生の生活は一変。オンライン授業が主体となったことは、メディアでも大きく取り上げられています。制限されているのは授業だけでなくサークル活動も同様ですが、授業は対面形式が再開しつつあるものの、サークル活動はそれ以上に再開のハードルが高くなっています。

 青山学院大学(渋谷区渋谷)は感染予防対策・感染症発生後の対応を記入した計画書を作成。サークルや部、その顧問に対して情報共有を行わせ、計画書の提出を義務付けています。また、明治大学(千代田区神田駿河台)は課外活動の実施内容を、大学が設定するレベルに合わせて定めています。

かつての新歓コンパのイメージ(画像:写真AC)



 このように、サークル活動などはコロナ禍以前のように気楽に行えない状況で、サークル活動にひもづく新歓も大きな影響を受けています。しかし活動を行わなければ新入生は入会してくれません。そのため、各大学は新歓のオンライン化を進め、さまざまなイベントを行っています。

 この新歓のオンライン化は一見すると対面勧誘に比べてデメリットが多いように見えますが、実は時代にマッチしているのです。

ノリでサークルを選ぶことも回避できる

 通常の新歓はお祭り騒ぎの色が濃く、良くも悪くも「テンション高め」です。しかしオンライン化で、

・思わずノリでサークルに入ってしまった
・自分に合った勧誘チラシをもらえなかった

といった問題が起きにくくなりました。その結果、冷静に入りたいサークルの情報をチェックすることができるようになったのです。

新宿区戸塚町にある早稲田大学(画像:写真AC)

 もちろん、サークルや部活の上級生と直接話した方がサークルの雰囲気をつかみやすいのは言うまでもありません。しかしお祭り騒ぎが苦手な新入生も一定数存在します。

 また、長年問題視されてきたアルコールを伴う新歓コンパも同様で、早稲田大学(新宿区戸塚町)のようにルールを破った団体にペナルティーを課すと宣言している大学もあります。今回のコロナ禍をきっかけに、新歓コンパも健全さが一層高まっていくでしょう。

動画編集の経験を積める機会にも

 各大学のオンライン新歓はZoomやYouTubeを駆使したものとなっており、特にYouTubeなどの動画は、編集技術を駆使して視聴者を意識して作られています。

 従来の新歓のように「その場の雰囲気で押し通す」が通用しないため、作り手も新入生を意識しながら伝わりやすい表現方法を考えなければいけませんが、学生たちにとって新たな挑戦になり、動画編集の経験を積むことができます。

 例えば、東京理科大学の野田キャンパス(千葉県野田市)は専用のポータルサイトを立ち上げて新歓に対応。新入生が気軽に質問できるように、匿名質問サービス「Peing(ペイング)」を活用しました。

東京理科大学の野田キャンパスの新歓特設サイト(画像:東京理科大学)



 また東京大学(文京区本郷)は、教養学部オリエンテーション委員会が特設サイトを立ち上げて、各団体の活動内容を詳細に紹介しています。現在の状況を鑑みると、各大学のオンライン新歓はあと1~2年続くでしょう。

 今の大学生は受験時も安全志向が強く、社会から「挑戦を避ける世代」とされていました。しかし各大学の動きを見ると、コロナ禍に諦めず、1からアクションを起こす力があることがわかります。

 以前のようなキャンパスライフを懐かしむのは簡単ですが、コロナ禍が収束しても、人と人との濃密な交流が復活するとは限りません。

 新歓を含め、リアルとオンラインの両立が主流になる新しいキャンパスライフの行方に、今後も目が離せません。

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