【子持ち主婦が考えるSNS論】なぜツイッター上での議論はいつも「平行線」をたどるのか

ツイッターをはじめとするSNS上ではしばしば、異なるふたつの意見が正面からぶつかり合い、議論が平行線をたどる場面が見られます。いつから、なぜ、このような状況になったのか、ライターの宮野茉莉子さんが考察します。


誹謗中傷や、平行線の議論ばかり

「みんなちがって、みんないい」(金子みすゞ)という、誰もがよく知る詩の一節はしかし、ウェブの世界、とりわけSNSにおいてはなかなか共有されにくい価値観のようです。

ツイッター上での議論は、いつから「誹謗中傷」と「平行線の議論」ばかりになったのか(画像:写真AC)



 2020年5月、東京を舞台にしたフジテレビのリアリティー番組『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラー木村花さんが亡くなり、花さんがツイッターなどのSNSでの誹謗(ひぼう)中傷に傷付いていたことが判明。ネット上では、花さんの死の一因になったと推測される誹謗中傷を書き込んだアカウント探し(犯人捜し)が展開されました。

 匿名だからこそ簡単に、かつより過激な発言がされるSNS上には、時に暴言や人格否定、あおり立てるような表現が見受けられ、そこには明らかな攻撃性が感じられます。

 一方で「犯人捜し」をするその行為自体もまた、オンライン上における他者への攻撃行為だという皮肉さを持ち合わせています。真偽不明のまま犯人だと名指しし、特定のアカウントや投稿を拡散して暴言を浴びせることは、花さんに向けられた誹謗中傷とさほど変わりがありません。

コロナ禍の「マスク警察」と「コロナ脳」

 新型コロナウイルス禍においても、人々の反応はさまざまでした。「未知のウイルスを乗り越える」という点では皆ゴールは同じはずですが、その解釈や行動は人によって異なります。

 未知のウイルスであるからこそ科学的な根拠は少なく、何をどこまで恐れればいいのかという正解はまだ見えません。そのせいか、東京などの繁華街ではマスクをしていない人を見つけてわざわざ注意する「マスク警察」や、自粛期間中に営業を続けていた飲食店に「休業しろ」というチラシを貼る「自粛警察」が現れました。

 やや出過ぎともいえるそれらの行為に対し、「そういうことをするのはちょっとおかしい変な人」「さすがに常識から外れている」「だからたたいてもいい」という主張もネットでは数々見られ、さらに一部では「『自粛警察』狩り」まで発生したと聞きます。

建設的な議論が欠けた

 コロナを巡っては、十分過ぎるほどの対策をしたり自主休校したりする人がいる一方で、「コロナはただの風邪」と説いたり、過度の対策を採る人を「コロナ脳」(コロナウイルスを恐れる人を指す蔑称)と指摘する人もいて、意見が正面から食い違う様が見受けられました。

 特筆すべきは、匿名SNSの普及により、対立意見がかつてないほど可視化されるようになったことです。異なる意見が発信されることで正解に向けた建設的な話し合いがなされるのならいいのですが、多くの場合はそうもいきません。

 自分と異なる意見を目にすることは、あたかも自分の考えを否定された気分になるのかもしれません。

自分と異なる意見を見過ごせないのはなぜか(画像:写真AC)



 ツイッターでは反論に告ぐ反論に告ぐ反論が展開され、「公開口げんか」の様相を呈することもしばしばです。

 第三者の目で一歩離れてみると、議論の初期はそれぞれが意見を主張しているものの、だんだんと「どちらが正しいか」という正義の奪い合いのようになり、建設的な議論がされているとは思えないものも少なくありません。

 このようにオンライン上では、特に匿名SNSで目に見えて二項対立が生じるようになっています。

あなたはどちらが正しいと思いますか?

 匿名SNS上での議論は、こうした社会的事象だけに限りません。

 例えば2018年、3児を子育て中という女性の「はーい、もうママ閉店でーす」という発言を彼女の夫がツイートしたところ、24万件近い「いいね」に加えて7万件もの賛否両論が集まりました。

「母親という仕事にも休憩が必要だ」や「私も『あと30分で本日のお母さんは終了になります』って表明する」と共感する人もいれば、「子どもに『母親』じゃない自分を見せるのはどうなのか」「ネグレクトではないか」と懐疑的な見方をする人もいました。

 この場合、どちらの意見が正しいとあなたは考えますか?

母親と子どもの関わり方についても、ツイッターで議論が起こった(画像:写真AC)



 女性と同じく3児のワンオペ育児中であり、家にいるときはトイレでさえもひとりになれない生活を10年近くする筆者としては、現代のワンオペ育児という環境下において、息抜きのために時間を決めて「ママ閉店」をするのはいいアイデアだと捉えます。

 自分の時間がほぼゼロになるママ業では、適宜休憩を取り、母親自身が心身の余裕を保つ方が母子双方の精神衛生上良いと考えるからです。また、母親が自分の好きなこと(筆者の場合は読書やヨガ)をしていると、生き生きして見えるせいか子どもが喜んだり、子どもも興味を持って一緒にやってみたりする経験もありました。

 しかし独身時代の自分が同じように考えたかといえば、おそらく難しかったでしょう。

 先述のツイートに寄せられた懐疑的意見と同じように、「ママなのに子育てを放棄するの?」「ママだったら24時間育児をするべき」「子どもがかわいそう」「自分の時間がないなんて言っていないで頑張るべき」と思ったかもしれません。

「ネグレクトではないのか」という指摘は、子どもを心配するあまり出てきた純粋な正義感なのだと、独身当時なら考えたかもしれません。

賛成と反対、どちらの立場にもなり得る

 二項対立の注目すべき点は、どちらの言い分にもそれなりの正しさがあることです。そして、ひとりの人であっても立場が変われば賛成と反対のどちらにも共感し得る場面が出てきます。

 冒頭の金子みすゞの詩は、「みんな」が違っていることこそが「いい」のだと指摘しています。とはいえ、自分と異なる意見を「いい」と思うのは簡単ではないかもしれません。

 しかし、たとえ「いい」と思えなかったとしても、他者へ攻撃を向けることが何も生み出さないということは、この間私たちが何度も目にしてきた通りです。

 いろんな意見の人がいる、とゆるく受け入れるのでいいのではないでしょうか。いうなれば「みんなちがっても、それでいい」の精神です。


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