明治維新を陰で支えた「福井藩」が薩長土肥にも負けないくらい偉大なワケ【青天を衝け 序説】
2021年4月12日
ライフ“日本資本主義の父”で、新1万円札の顔としても注目される渋沢栄一が活躍するNHK大河ドラマ「青天を衝け」。そんな同作をより楽しめる豆知識を、フリーランスライターの小川裕夫さんが紹介します。
徳川体制の打倒を目指した雄藩
大河ドラマ「青天を衝け」は、俳優・吉沢亮さんが演じる渋沢栄一が主人公です。渋沢は“日本資本主義の父”と呼ばれ、2024年に改刷される新1万円札の顔に決定している歴史的な偉人です。
しかし、渋沢は生家が藍玉生産・養蚕を手がける農家だったことから、青少年期は血気盛んな無名な若者でした。
武士が政をつかさどる時代において、多くの農民は名前が後世に残ることはありません。「青天を衝け」では、草彅剛さんが演じる徳川(一橋)慶喜、岸谷五朗さんが演じる井伊直弼、大谷亮平さんが演じる阿部正弘などが表舞台で活躍しています。
一方、農民だった渋沢の青少年期は事件性・ドラマ性に欠けることから、主人公にもかかわらずドラマに割かれる時間は決して多くありません。
農民だった渋沢が武士のような行動を起こすのは、尊王攘夷(じょうい)思想に染まる頃からです。幕府を打倒するべく決起し、結果的に失敗しました。
幕末には薩摩藩・長州藩・土佐藩・肥前藩という、いわゆる薩長土肥(さっちょうどひ)と呼ばれる雄藩が原動力となって徳川体制の打倒を目指します。薩長土肥のように目立つことはありませんでしたが、明治維新を陰で支えた立役者に福井藩(越前)があります。
福井藩の藩主は松平家
福井藩は徳川家康の次男・秀康によって成立。当初は67万石という大きな領地を有した福井藩は、藩主・秀康の弟だった秀忠が2代目の将軍に就いたことから、幕府からも一目置かれる存在でした。

福井藩は江戸時代を通じて松平家が藩主を務めました。「青天を衝け」では、要潤さんが演じる松平慶永(よしなが)が重要人物として活躍しています。慶永は春嶽(しゅんがく)という号の方が一般的になっているため、現代では松平春嶽と呼ばれることもあります。
慶永は藩政改革を進めた名君として知られていますが、慶永が名君といわれるゆえんは自身の考えに固執することなく、柔軟に物事を捉えていたところにもあります。慶永は以前から科学技術への関心が高く、それらを取り入れるべく西洋の雑誌を取り寄せて学んでいました。
また、慶永自身が西洋知識を得るだけではなく、多くの人に学問的な素養を身につけさせようとして明道館(めいどうかん)という学校を開校。そこで福井藩士の子弟に学問を学ばせるなど、教育にも熱心でした。
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