「推薦入試 = 私立大学」は間違い! いまや東大・一橋大も積極的、でも求めるレベルが高すぎる

都内の国公立大学でも、一般入試以外の入試制度が増えています。そのなかでも今回は学校推薦型選抜について、教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。


国公立大学でも旧AO枠は増加

 2021年度入学者試験から、指定校推薦に代表される推薦入試が「学校推薦型選抜」と、小論文や面接によって「ふさわしい学生」を選ぶAO(アドミッションズ・オフィス)入試が「総合型選抜」と名称を改めました。

 こうした入試制度による募集人員が増えているのは私立大学というイメージが強いですが、国公立大学でも増加傾向にあります。

 文部科学省が発表した「令和3年度国公立大学入学者選抜の概要」によると、国立大学の学校推薦型選抜の募集人員は、

・2019年度入試:1万2154人(全体の12.8%)
・2020年度入試:1万2213人(同12.8%)
・2021年度入試:1万1849人(同12.5%)

となっています。

 一方、総合型選抜の募集人員は

・2019年度入試:4411人(全体の4.6%)
・2020年度入試:4619人(同4.9%)
・2021年度入試:6091人(同6.9%)

と学校推薦型の募集人員が微減しているなか、伸びが目立ちます。

東北大学は総合型選抜の人員を増加

 そんななか、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education」が3月25日に「THE世界大学ランキング日本版2021」を発表しました。2年連続で1位となった東北大学(仙台市)は、国公立大学のなかでも総合型選抜の募集人員を増やしていることで知られています。

文京区本郷にある東京大学(画像:写真AC)



 しかし募集要件は「評定平均4.3以上」で、学部ごとに専門性の高い筆記試験、小論文、面接を実施。日程によっては大学入学共通テスト(旧・大学入試センター試験)の成績を利用するなど、「前もって選抜対策を行えば受かりやすい」という世間のイメージとはかけ離れています。

 もちろん国公立大学は依然として一般選抜がメインであるものの、入学試験はこのように多様化しているのです。

 なお、国公立大学での学校推薦型選抜は公募推薦が前提となるため、校内推薦を通過したら即合格ではありません。1次選考、2次選考、そして大学によってはこちらも大学入学共通テストが必須であり、それをくぐり抜ければならないのです。

 ちなみに、私立大学では珍しくない指定校推薦は国公立大学では少数派で、東京都内を見ると、設けているのは公立の東京都立大学(八王子市南大沢)のみです。

ハードルが高い東大と一橋大の推薦入試

 さて国公立大学の学校推薦型選抜といえば、東京大学(文京区本郷)が後期日程廃止の代わりに導入して、大きな話題を呼びました。

 同大は合格者の出身高校が毎年のようにメディアで取り上げられますが、募集要項に記載されている受験資格要件のレベルも有名です。具体的には、

・科学オリンピックに出場
・論文が掲載された

などで、どう見てもごく限られた「スーパー高校生」しか当てはまりません。また、大学入学共通テストの受験も必須であることから、一般選抜組と遜色のない学力が求められます。

 さらに推薦入試は一般選抜のような科類への出願ではなく、より具体的な学部学科での出願を行うため、大学入学後の学部選択がすでに明確であることが求められます。学校推薦型選抜といえども、受験資格を満たすためにはハードルがかなり高い入試なのです。

誰もが気軽に受験できない条件

 東京大学と同じようにハードルの高い学校推薦型選抜を行っているのが一橋大学(国立市中)です。

国立市中にある一橋大学(画像:(C)Google)



 同大商学部のウェブサイト上に記載されている学校推薦型選抜の出願要件は、次の1~7のいずれかひとつ以上に該当する者となっています。

1. 実用英語技能検定(英検)1級、TOEFLスコア(〈iBT〉93点以上、〈CBT〉237点以上、〈PBT〉580点以上)又はIELTS(Academic Module)Overall Band Score 6.5以上を取得している。
2.ドイツ語技能検定試験(独検)準1級以上又はヨーロッパ言語共通参照枠(GER)が定めたB2以上のレベルの資格を取得している。
3.実用フランス語技能検定試験(仏検)準1級以上又はヨーロッパ言語共通参照枠(CECRL)が定めたB2以上のレベルの資格を取得している。
4.中国語検定試験(中検)準1級以上又はHSK6級200点以上のスコアを取得している。
5.数学オリンピックで予選通過(Aランク取得者)又は、Bランク上位者(参考:第26回〈平成28年1月〉は4点取得、第25回〈平成27年1月〉は6点取得)
6.応用情報技術者試験(旧ソフトウェア開発技術者試験)に合格している。
7.日本商工会議所簿記検定試験(日商簿記)1級を取得している。

 このように誰もが気軽に受験できる条件には程遠く、両校ともに求める学生像のレベルの高さがうかがい知れます。

独自路線を進む東京芸術大学

 国公私立大学を問わずこのような多様化を見せるなか、いまだにそれらと無縁なのが東京芸術大学(台東区上野公園)です。

台東区上野公園にある東京芸術大学(画像:写真AC)



 芸術系大学の最難関として知られる同大ですが、美術学部と音楽部ともに総合型選抜や学校推薦型選抜を行っていません。1次試験は大学入学共通テスト、2次試験は一部の学科を除いて実技検査で合格者を選抜しています。

 他の国公立大学では、例えば筑波大学(茨城県つくば市)の芸術専門学群では学校推薦型選抜、愛知芸術大学(愛知県長久手市)の美術学部では総合型選抜、音楽学部では学校推薦型選抜を実施しています。

 他にも多様な入試選抜方式を行っていることからも、いかに東京芸術大学が実技での選抜を重視しているのかがわかります。

 言うまでもなく、東京芸術大学を他の国公立大学と簡単に比較することはできません。しかし、今でも昔ながらの入試選抜体制を敷いている大学はまれな存在です。それだけ現在の入試制度は多様化しており、国公立大学でも一般入試以外の選抜方法で入学する学生数が増えています。

 これから大学入学を考えている高校生や中学生とその保護者は、大学合格を無事つかみ取れるよう、一般入試以外の入試制度を理解することがさらに求められています。


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