東京で最も低い駅はどこ?
日本の地下鉄駅で「最も低い駅」としてよく話題になるのは、都営大江戸線「六本木駅」です(42.3m)。ただ、これはあくまでも地表からの深さ。
アーバンライフメトロにも寄稿している地形散歩ライター・内田宗治さんの著書『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社、2016年)によると、六本木駅は台地に建設されているため、地表からの深さでは最も低いが、海抜では麻布十番駅(地表から32.5m)の方が低いとしています。
逆に、東京の地下鉄駅で「最も高い駅」は地上から14.4mの高架上にある日比谷線「北千住駅」です。
現在の「最も低い駅」は東京駅
地下鉄だけでなく、東京にはかつて国鉄(現・JR)で「最も低い駅」も存在していました。総武本線「馬喰町駅」です。
馬喰町駅の開業は1972(昭和47)年で、海抜マイナス30.58mでした。そんなこともあり、駅のスタンプでもその低さをアピールしており、同駅にはJRで「最も高い駅」の小海線「野辺山駅」(長野県南牧村)との関係から、シラカバでつくられたオブジェも設置されています。
しかしその後、マイナス27.14mに修正。さらに低い駅も開業したことで、現在は「最も低い駅」ではなくなっています。
なお、現在の「最も低い駅」はマイナス29.19mの京葉線「東京駅」です。しかしこちらも、2014年まで存在していた吉岡海底駅(海抜マイナス149.5m。青函トンネル内にあり、通常の乗降は不可)に比べると、まだまだかわいいものです。
いずれも地下の駅ばかりですが、東京で地上にある「最も低い駅」は東武亀戸線「亀戸水神駅」(江東区亀戸)です。同駅については、前述の内田さんがアーバンライフメトロの記事「なんと標高は『マイナス2m』 東京で最も低い亀戸水神駅周辺には何がある?」で解説しているので、そちらを参考にしてください。
東京の「最も高い駅」とは
残されたのは、東京の「最も高い駅」です。常識的に考えれば、山深い東京都西部の駅になります。早速調べてみると、JR青梅線「奥多摩駅」が標高388mで「最も高い駅」でした。
というわけで、東京で「最も高い駅」は奥多摩駅で決定……とはなりません。いわゆる鉄道駅では奥多摩駅が「最も高い駅」ですが、東京にはケーブルカーが存在します。
ケーブルカーは通常の鉄道と区別されますが、「鋼索(こうさく)鉄道」と呼ばれる鉄道のひとつの形態と見ることもできます。ちなみに鋼索とはケーブルを指す言葉です。
東京に住む人にとって、メジャーな観光スポットである高尾山(八王子市高尾町)。この山のケーブルカーは京王グループの「高尾登山電鉄」が運営しています。この路線の山上側に位置する高尾山駅は標高472mで、奥多摩駅よりもはるかに高い位置にあります。
奥多摩駅のさらに上をいくのが、同じく京王グループの「御岳登山鉄道」の御岳山駅です。その標高は831mと、高尾山駅より359mも高い場所です。
御岳山駅からさらに先に進むと、リフトの御岳平駅があります。
リフトはロープウエー同様、法律上は鉄道事業法に基づいて運営されていますが、「鉄道事業」ではなく「索道(さくどう)事業」に分類されるため、通常は鉄道とは見なされません。ただ、確かに名称は「駅」。この御岳平駅から出発した終点が大展望台駅で、その標高はなんと881mに達します。
「最も○○が高い駅」というネタも
そんなこんなで、誰かに東京の「最も高い駅」を尋ねられたときは、一般的に奥多摩駅と答えた方がよいですが、会話のネタであれば、御岳山駅や大展望台駅と答えても面白いかもしれません(大展望台駅もPASMO・Suicaが使えます)。
そのほかにも東京駅(上り列車が到着するから)、六本木一丁目駅(2020年の住宅地の地価の高さから)というネタもあります。
さてインターネット上の路線情報を検索したところ、麻布十番駅から御岳山駅までは約2時間半、亀戸水神からは約3時間で到着できます。
緊急事態宣言は本日までです。これからは暖かくなるので、「密」を避けつつ、「最も高い駅」「最も低い駅」を横断する日帰り旅行を計画しても楽しいかもしれません。