東京、実は「おにぎりワンダーランド」だった? 大学院教授が解説、都内の名店もまとめてご紹介

日本人にとって、とても身近な食べ物のひとつがおにぎりです。その一方、ラーメンなどと異なり、地域独自のおにぎり――といった表現をあまり聞いたことがありません。東京独自のおにぎりは存在するのでしょうか。『おにぎりと日本人』(洋泉社)の著書がある法政大学大学院政策創造研究科教授の増淵敏之さんが解説します。


食文化も立派な「コンテンツ」

 コンビニ以外で、私がいつもおにぎりを購入するのは、自宅そばの「小島米店」です。このお店はもともと米屋でしたが、おにぎりを製造・販売するという事業拡張を行い、現在、練馬区に4店舗を構えています。

 お米は富山県産のコシヒカリを使っています。小島米店はテイクアウト専門店ですが、東京はこのような、「米屋がおにぎり店を兼業する」ケースが増えています。おにぎりの生命線は、やはり米にあるからではないでしょうか。

大きな口を開けてパクッと食らいつきたい(画像:写真AC)

 この背景には、一種の「おにぎりブーム」があるといっても過言ではありません。日本のソウルフードとしてのおにぎりは、いつの間にか家庭や行楽、運動会などの必需品から、サラリーマンの昼食としての需要も増加していると見ていいでしょう。

 もちろん、中食(惣菜や弁当などを買って家で食べること)の役目も果たしているのではないでしょうか。またフランスを始めとして、海外でも徐々におにぎりブームは起きつつあります。

 なぜ私がおにぎりについて書いているかというと、それは2017年に『おにぎりと日本人』(洋泉社)を上梓したからです。

 当時は「コンテンツツーリズム」の書籍を数冊、書いた後でした。コンテンツツーリズムとは、地域に「コンテンツを通じて醸成された地域固有のイメージ」としての「物語性」「テーマ性」を付加し、その物語性を観光資源として活用することです。

 私はふと、「食文化もコンテンツではないか」と考え、それが執筆の発端となりました。つまり料理を作る行為はクリエイティブなものであり、創作物の範疇に充分入るように思えたのです。

東京オリジナルのおにぎりは存在するの?

 さて、東京独自のおにぎりというものは存在するのでしょうか。よく、江戸っ子は「親子三代、江戸生まれでなければならない」という話を聞きますが、そうであれば、純粋な江戸っ子の比率は極めて低い数字となるでしょう。

 つまり、私が言いたいのは、現在の東京の文化は、流入してきた地方の人々の文化がミックスされたものであり、おにぎりも同様に考えてよいということです。

 東京には、あさりの佃煮を使った深川めしをアレンジした「深川おにぎり」のような下町情緒あふれるご当地おにぎりももちろんあります。しかし、総じて「東京のおにぎり」は家庭のおにぎりの場合、出身地の特徴を受け継いでいるものと考えてよいでしょう。

 ただ、食文化の古典的な文献である、江戸時代の『貞守謾考(もりさだまんこう)』によると、江戸のおにぎりは「円型」、もしくは「三角型」であり、使う海苔は「焼き海苔」だったとのことです。

 関西は「俵型」が当時主流だったらしく、使う海苔も「味付け海苔」を使うことが多いといわれています。また関東では「おむすび」、関西では「おにぎり」と呼ぶ説もあります。

 なお、2017年の総務省の家計調査によれば、一世帯当たりの「おにぎり・その他(赤飯、山菜飯)」の消費額の全国平均は4267円ですが、東京都区部は5202円で、第3位となっています。

 東京都区部は過去の統計で第1位になったこともあり、一般的に見て全国平均より高い消費額になっています。29歳から49歳までの年代が、それ以降の年代より消費額が大きいのは、やはり昼食、中食で食べる機会が多いからかもしれません。

都内の名店「おにぎり浅草宿六」「ぼんご」「蒲田屋」


【丸ごと写真館】シンプル&デリシャス! 思わず手を伸ばしたくなるおにぎりの数々(20枚)

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