ぶっちゃけ地味な板橋区「志村坂上」 でも実は古道・古墳・地形を一度に楽しめる素敵なエリアだった
2021年3月18日
知る!TOKYO東京都の区部北部に位置する板橋区。そんな同区の志村エリアは、古道・古社・古墳・古城祉・地形を一度に楽しめるという、散歩好きにはたまらない素敵なスポットです。フリーライターで古道研究家の荻窪圭さんが解説します。
中山道の一里塚が両脇に残ってる志村
「古道」と「古社」と「古城祉」のトリオが好きな荻窪圭です。
「三古」そろい踏み。鎌倉街道と金王(こんのう)八幡宮と渋谷城祉とか、所澤道(ところざわみち)と石神井氷川神社と石神井城祉とか、岩槻街道と平塚神社と平塚城祉(平塚城がどこにあったかはまだ確定してませんが)とか。そんな楽しい場所のひとつが板橋区の志村。日本橋から出た中山(なかせん)道は北に向かい、荒川沿いの低地へと急な崖を下り、川を渡ったら埼玉県です。その崖のあたりが志村となります。崖がポイント。
最寄り駅は都営三田線の志村坂上。おすすめはA1かA2出口です。そこを出ると中山道の志村一里塚が!
江戸時代の一里塚がそのまんま残っているのです。自動車がびゅんびゅん走る片側2~3車線の幹線道路沿いに江戸時代からの塚が残っているというギャップがたまりません。
一里塚はたいてい道の両脇に作られましたが、ここがすごいのはそれがふたつとも当時のままの位置に残っていること。現在の国道17号は江戸時代の中山道より大幅に拡幅されてますが、もともと街道から少し離れた位置に一里塚があったおかげで、当時のままの位置にあるのですね。ひそかな「萌(も)えポイント」です。
急斜面の手前にある2基の道しるべ
そこから、少し北へ向かい、志村坂上の交差点に出ましょう。
真っすぐ進む下り坂は近代の道路。崖を削って斜度を緩くしてるのがわかります。この交差点、よく見ると五叉路(ごさろ)になっていて、左斜め前に入るちょっと細い道がついてます。
実はこれが旧中山道。新しく真っすぐな道を作ったおかげで、急斜面をくねくね曲がりながら下る旧道が残ったのですね。新道と旧道が並ぶことで旧道の風情が際立ちます。
もちろんその旧道に入ります。その先は清水坂で急斜面を下るのですが、その手前に四角い石の石造物が2基あります。これが大事。

これ、江戸時代の道しるべなんです。大きい方は正面に庚申(こうしん)塔とあり、左には「これより富士山大山道」、さらに練馬へ1里、柳沢へ4里、府中へ7里とあります。親切ですね。
柳沢は今の西東京市、西武新宿線の西武柳沢駅があります。この道を進むと、練馬、柳沢、府中を経由して富士山や大山へ向かえますってことですね。大山は大山不動や大山阿夫利神社がある山で、江戸時代は大山詣が流行していました。当時のニーズに合った行き先が描かれてます。

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