実直一筋の名脇役――渋沢喜作を語らずして「渋沢栄一」を語ってはいけない【青天を衝け 序説】
2021年3月11日
知る!TOKYO“日本資本主義の父”で、新1万円札の顔としても注目される渋沢栄一が活躍するNHK大河ドラマ「青天を衝け」。そんな同作をより楽しめる豆知識を、フリーランスライターの小川裕夫さんが紹介します。
渋沢栄一と渋沢喜作の深い関係
大河ドラマ「青天を衝(つ)け」は、俳優・吉沢亮さんが演じる渋沢栄一が主人公です。明治以降、渋沢は実業界で華々しく活躍し、約500社の企業の設立・経営に関わりました。
渋沢が歴史的な実業家であることは異論を挟む余地はありません。他方で、渋沢が成し遂げた偉業は渋沢ひとりの力で成し遂げたものでもありません。渋沢が達成した事業において、多くの協力者は欠かせません。
「青天を衝け」では高良健吾さんが演じる渋沢喜作(成一郎)も、栄一の事業を手助けしたひとりです。喜作は栄一のいとこにあたる間柄にあり、家も近くでした。作中でも仲良く遊び、学ぶシーンが描かれています。また、前回の放送では藍葉生産の番付表を一緒に作成しています。
それほど親密なふたりは、これからも一緒に学び、行動し、運命をともにしていきます。例えば、栄一と喜作は尊王攘夷(じょうい)思想に傾倒したことからクーデターを決行。これは失敗し、ふたりは追われる身になりました。その際、ふたりは一緒に京都へ逃亡。その後に身の安全を図るべく、徳川慶喜に仕官したのです。
徳川を打倒しようと決起したふたりが、その大本ともいえる徳川の家臣になってしまう。その節操のなさは、いかにも若さゆえ。とにかく慶喜の家臣になったことがふたりのその後を大きく変えました。
慶喜に才能を認められた栄一は、1867(慶応3)年にフランス・パリ万博に幕府の代表として派遣される徳川昭武に随行することになり、パリ滞在は栄一に大きな刺激を与えました。一方、喜作は日本に残り、彰義隊に加わって最後まで新政府軍に抗戦しました。そのため、明治維新を逆臣として迎えました。
しかし、新政府が栄一の才能に着目。栄一が大蔵省(現・財務省)で才能を発揮すると、栄一の推薦が大きく影響して喜作も大蔵省で働くことになります。

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