経済都市・東京を作り上げた渋沢栄一 豪農だった実家を支えた「藍玉」をご存じか【青天を衝け 序説】
2021年2月20日
ライフ“日本資本主義の父”で、新1万円札の顔としても注目される渋沢栄一が活躍するNHK大河ドラマ「青天を衝け」。そんな同作をより楽しめる豆知識を、フリーランスライターの小川裕夫さんが紹介します。
活躍の背景にあった幼き日の金銭体験
2021年2月14日(日)から放送が始まった大河ドラマ「青天を衝(つ)け」は、日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一が主人公です。
大河ドラマは戦国時代・幕末が人気で、今回の「青天を衝け」は幕末期から始まりますが、メインは明治期以降です。そのため、放送前から先行きが不安視されていました。しかし、ふたを開けてみれば初回視聴率が20.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進。前評判を覆しました。
主人公・渋沢は、武蔵国血洗島(現・埼玉県深谷市)に出生。渋沢家は藍玉(あいだま、発酵させた藍の葉を乾燥させて固めた染料)をつくる農家です。血洗島の土壌は米作には不向きで、そのために藍玉を生産していたわけですが、この藍玉が多額な利益をもたらし、それが渋沢家を潤していくのです。

渋沢家は藍玉で財を築いていた富農だったこともあり、農民ながら帯刀を許されていました。そうした経緯から、徳川慶喜に仕えることがかないます。
慶喜に仕えた渋沢は、その後にトントン拍子で出世します。慶喜から信頼を得た渋沢は、幕末期にフランス・パリへと派遣されます。これは慶喜の弟・昭武が幕府名代としてパリ万博に参加するためのお供ですが、パリ滞在中に渋沢は会計係として活躍。その才能は明治新政府の官吏時代にも生かされ、民間企業人に転じてからも存分に発揮されました。
渋沢が人並みはずれた会計のスキルを身につけていたのは、渋沢家の家業である藍玉生産が大きく関係しています。
血洗島は岡部藩の領内にあります。当時の税金は米納が一般的でしたが、血洗島は米作に不向きだったために金納(税金を貨幣で納めること)とされていました。金納であったため、少しでも高く藍玉を販売すれば、それだけ自分たちの収入も増えます。
渋沢はそうした金銭のやり繰りを身近で見ていたため、会計スキルが自然と磨かれていきました。これが実業家として活躍するバックボーンになるのです。
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