1日「スマホ7時間」な30代男性、さすがにマズイと脱SNSを決意した結果……

東京で暮らし、働く男性たちは、日々何を見て何を思いながら過ごしているのでしょう。イラストレーターでライターのズズズ(zzz)さんが、自身の「何でもない今日」をイラストともに切り取ります。今回のテーマは「脱スマホ・脱SNS」。


気づけばスマホに手が伸びる

 仕事用のリュックを膝に抱えて電車の席に座っていると、新宿駅の到着を告げる車内アナウンスが響きました。

 ドアが開いて乗客が乗り降りし、私(ズズズ。イラストレーター、ライター)の前に立つ人が入れ替わります。再び電車が走り出す頃には、さっき乗ってきたばかりの人たちが皆、片手を顔の前に上げてスマホの画面に夢中になっていました。

 狭い電車の中でニュースやSNS、映画やドラマなど世界中の情報にアクセスする。そんな光景を眺めながら、無意識に私の手もスマホへ伸びていました。そして、画面を見て思うのです。

「……あれ? 何がしたくてスマホ開いたんだっけ?」

電車の中。見渡せばそこにいる全員がスマホを眺めている、なんてことも(画像:ズズズさん制作)



 とりあえずSNSをチェックしてみましたが、思い返すと電車の中だけでなく、ランチタイム、入浴中、就寝前のベッドなど、最近は1日の大半をスマホ操作に費やしているような気がしてきました。

 自分がスマホをどのくらい使っているか分かるiPhoneの機能(スクリーンタイム)で、試しに先週分の使用状況を確認すると、1日平均で6時間44分、1週間の合計時間は47時間8分。

 音楽を聴いたり、電子書籍を読んだりすることもあると自分に言い聞かせつつ詳細を確認すると、47時間中22時間がSNS利用。1週間のうちのほぼ1日分の時間をSNSに費やしている。これには恐怖に似た妙な胸騒ぎを覚えました。

22時間のSNS利用で得た情報って

 健康に害が出ているわけではないので、むきになって制限する必要もありませんが、先週TwitterやInstagramで閲覧した情報が頭の中に残っているかというとほぼ残っていません。

 それならばSNSに費やしている22時間は何なのか?

 その日から意識的にスマホ利用を控えましたが、家での映画鑑賞中、通勤中、そしてトイレに行ったときまで気づけばスマホに手が伸びる。

 LINEで連絡が来ていないか? SNSの投稿に「いいね」はついているか? 今日のニュースは? ……と何をしていても集中力が続かない。

 結局大した情報は入ってきていないのに。

 2020年、新型コロナによる外出自粛を利用して久々に資格取得に励んでいた時期がありました。前回の記事(2021年1月23日配信)でも書きましたが、家時間を充実させようと朝昼晩とタイミングに応じて飲み物をかえてみたり、家で新たなことを学習する時間はとても有意義に感じていました。

 学ぶという行為はSNSで流れていく情報と違って、当たり前ではありますが自分の中に残る確かなものです。もっと自分の時間を大切に使いたい。

 スマホやSNSから離れよう。

 本来コミュニケーションを目的としたツールであるにも関わらず、私はただ情報の渦に飲み込まれているだけだったのです。

向かった先は、新宿の書店

 ある日、新宿ルミネ(新宿区西新宿)で洋服の買い物をしたあとに同じビル内にある書店ブックファーストへ立ち寄りました。

 SNSから離れるにはまずスマホから離れる必要がある。電子書籍をやめて、紙の本に触れよう。目覚ましはスマホのアラームではなく、目覚まし時計にしよう。スマホでなくてもできることはそちらに移行しよう。強くそう思いました。

 書店員が書いたポップを見ながら、店内をくまなく巡る。

 ビジネスコーナーでマーケティングに関する本を物色する20代くらいの女性、趣味のコーナーで釣りの本を手にとる年配男性、漫画コーナーで推しキャラについて語るふたり組の10代女性、ファッション雑誌を立ち読みするおしゃれなカップルなど幅広い層のお客さんがいました。

 仕事でスキルアップしたい、あの魚を釣りたいといった彼らの思いを想像しつつ、「自分は今どんな本を読みたいのか?」という問いが浮かびました。

 ウェブのレビューで選ぶのではなく、直感の出会いがあれば嬉しい。本と人を交互に見ながら書店を楽しんでいると1冊の本が目にとまりました。

 それは角田光代さんの小説『対岸の彼女』でした。

 人と関わることの生きづらさ、女同士の友情や嫉妬、140~143ページは震えが止まらない、男性が読んでもその繊細な心理描写に夢中になるはず――といった文言の並ぶポップが気になり、購入。

 人との交流という点でSNSと重なったのかわかりません。本屋にはこういった直感の出会いがあり、そうして出会った本は心に残りやすい。

長く記憶に残るものを求めて

 昔、学校の帰り道にブックオフで小説や漫画を買いあさった経験はないでしょうか?

 私はというと『スラムダンク』(井上雄彦氏・著)を読んでバスケットを始めたり、『一号線を北上せよ』(沢木耕太郎氏・著)を読んで実際にベトナム北上の旅をしたり、本との良い出会いは、現実の行動につながりました。

 これまでの人生で長期的な記憶として残っているものは実際に足を動かし、その場の空気を感じて、何かと出会い、経験したことです。

 SNSから離れたいと言いつつもSNSの情報が一歩を踏み出すきっかけになることもあります。そう、依存して時間を浪費することがもったいないのです。

脱スマホ・脱SNSチャレンジ。その第一歩として手に取ったのは、角田光代さんの小説だった(画像:ズズズさん制作)



 帰り道の電車の中、タイムラインで流れていってしまう情報ではなく、そこら中にリンクの貼られた記事でもなく、角田光代さんの書いた文字、ひとつひとつをしっかりと噛みしめる時間。

 この時間はその後の何かにつながっていくのだろうか? とりあえず今は作中に登場する「葵」の学生時代のシーンを読んでいますが、無垢であるがために何も恐れず行動してしまうその姿にハラハラしながら読み進めているところです。

 私の22時間は何に使うべきかと、あらためて自分の時間と向き合う良いきっかけになりそうです。皆さんは1日にどのくらいスマホに触っていますか? その時間を別の何かに使うとしたら、どんなことをしたいと思いますか?


【国の調査】ずば抜けて多い 若者たちの「SNS利用」時間

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