「渋谷パルコ」に新宿二丁目のゲイバーがオープンした社会的意義
2019年11月25日
ライフかつてカルチャーをけん引したパルコ。そんなパルコの中心地・渋谷パルコが11月22日、復活しました。地下1階のフロアにはゲイバーが出店。LGBT当事者でライター、編集者の冨田格さんがその意義などについて解説します。
田舎の中学生には刺激的過ぎたパルコという存在
昭和後期の1977(昭和52)年。大分県別府市に住んでいた中学生の僕にとって大きなトピックがありました。それは隣の市である大分市に「大分パルコ」が誕生したことです。

大分は当時、地元資本の百貨店「トキハ」の天下で有名百貨店が進出することがありませんでしたが、その代わりにダイエーやサンバード長崎屋、西友といったスーパーマーケットが百貨店のように大分駅前の商業地へ軒を並べていました。ところが最後発の西友はまったく集客できず、いつ行ってもガラガラの状態。そこで、西友と同じセゾングループだったパルコが出店したのです。
パルコは当時、渋谷と池袋以外は札幌のみの出店でした。大分よりよっぽど大きい福岡や熊本に先駆けて「東京」を感じさせるお洒落ビルが登場したのですから、都会に憧れる田舎者の中学男子には大事件だったのです。
ファッション感度が鈍い田舎の中学生にとって、パルコに並ぶファッションは縁遠い存在でしたが、毎週日曜日には大分の映画館に行き、その帰りにパルコに寄るのが定番コースに。流れるBGMや貼り出された「グランバザール」などのポスターなど、店内に満ちる空気感に憧れの都会を感じ引きつけられてしまったのです。
各フロアに軒を並べるファッションブランドには目もくれずにパルコブックセンターを覗き、今は亡きサブカルチャー雑誌「ビックリハウス」(パルコ出版。1985年休刊)のバックナンバーを立ち読みして帰るだけでも、都会の文化に触れられた満足感でいっぱいでした。
田舎の中学生にとってのパルコはエッジの効いた文化の象徴でした。上京してからは渋谷パルコにある「パルコ劇場」の芝居やミュージカル、のちにシネクイント(渋谷区宇田川町)と名前を変える「スペース パート3」が上映する個性的な映画に触れることで、その思いは一層強まったのです。

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