将来的には70階ビルも――いま東京で「木造建築物」が急増しつつあるワケ
2021年1月28日
知る!TOKYO東京で今、木材をベースにした建築物が誕生したり、高層ビルの計画が進行したりしていることをご存じでしょうか? 木造は火事や地震に弱いという弱点がありますが、それらをどのように克服したのでしょう。フリーランスライターの小川裕夫さんが、林業を巡る歴史的背景とともに紹介します。
「火事や地震に弱い」弱点の克服
小田急電鉄の参宮橋駅(渋谷区代々木)が、2020年11月25日(水)にリニューアル工事を完了させました。コロナの影響から当初の予定より工期は遅れたものの、新装した同駅は木材をふんだんに使用した外観・内装になりました。
昨今、建築業界では木材が注目されています。
東京五輪・パラリンピックのメーン会場として整備された新しい国立競技場(新宿区霞ヶ丘町)にも、多くの木材が使用されています。設計者である隈研吾さんは、同じく設計を担当した高輪ゲートウェイ駅(港区港南)でも木材をふんだんに使用。
同じく、京王電鉄の高尾山口駅(八王子市高尾町)も隈さんの設計ですが、こちらも木が全面的に使われていることが特徴になっています。
隈さんに限らず、建築家・建設業者の多くが積極的に木を使うようになっているのは、民主党政権時代に菅直人首相(当時)が林業の再生を“一丁目一番地”の政策として掲げたからです。そうした政権の後押しもあり、2010(平成22)年には公共建築物等木材利用促進法が制定されました。
木は燃えやすく、地震にも弱いというイメージから、長らく木造の大規模建築物は忌避されてきました。いくら法律が制定されても、木材が防火・耐震といった基準をクリアしていなければ、建設業者は木材を使用しません。
しかし、製材・施工の技術向上は目覚ましく、きちんと木を用いれば耐火性・耐震性が劣ることはありません。新たな木造建築は、火事で燃えやすい・地震で崩れやすいという弱点を克服しています。

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