もはや上京は「憧れ」ではない? ドラマ『ボス恋』が描く新時代の東京物語とは

いくつものヒットドラマを生み出してきたTBSテレビ系の火曜22時枠で、2020年1月から『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』がスタートしました。主人公は大きな夢を描いて上京してきたヒロイン……ではなく、「普通が一番」と考える安定志向の平均女子。作中に描かれる新しい東京の姿について、ライターのふくだりょうこさんが解説します。


「普通が一番」安定志向のヒロイン奮闘記

 話題のTBSテレビ系火曜22時枠で、新ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』がスタートしました。

 ファッション雑誌の編集部を舞台に、熊本から上京してきたヒロイン・鈴木奈未(上白石萌音さん)がカリスマ編集長・宝来麗子(菜々緒さん)に振り回されながらも奮闘する物語です。

 東京にやってきて奈未がしたかったこととは何だったのでしょうか。そして、東京で手に入れたいものとは?

片想いの幼なじみを追いかけての上京

 奈未が上京した目的。それは幼なじみで片想いの相手、日置健也(犬飼貴丈さん)を追いかけてのこと。健也は上京したばかりで右も左も分からない奈未をサポートしてくれます。優しい健也は今も昔も変わらず、奈未の心の支えでした。

話題のドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』。「普通が一番」と言うヒロインは、東京で何を見つけ出すのか?(画像:(C)TBSスパークル/TBS)



 そんな奈未が欲しいものは「普通で安定した生活」。

 と言うのも、父は50歳を過ぎた今でも小説家になることを夢見ており、父に呆れた母が「普通が一番!」と言い続けてきたからです。

 だから、出版社に就職を希望していても、入りたい部署は定時で上がれる備品管理部。しかし、奈未が結果的に採用されたのは新設されたファッション雑誌編集部でした。もう「普通」は望めない……!?

上京はもはや普通のこと?

 東京への上京はこれまで一種のステータスのように思われていた部分があります。

 華やかで憧れの街。東京の人はオシャレ! とか、個性的! というイメージがあったのではないでしょうか。

 人口の多い東京ですが、実は約半数近くは地方出身者というデータも。進学や就職をきっかけに東京へ行くという選択肢があるというのはもはや特別ではなく、普通のことなのかもしれません。

話題のドラマ「ボス恋」で主演を務める女優の上白石萌音さん(画像:東宝芸能)



 奈未も東京に憧れているというよりは、「健ちゃん(幼なじみ)がいるから」というだけで上京を決めています。そして「普通」であることを好む奈未にとって、上京は特別なことではなく当たり前の選択肢だった……というわけです。

 実際、東京に来たことに対する気負いはあまり見られません。

東京に夢見る「普通」と「安定」の生活

 雑用係として、宝来にこき使われる奈未。へとへとで家に帰ってきたら倒れ込むようにしてベッドへ。「普通の生活がしたいだけなのに……」多忙な宝来の要求は次々と繰り出され、奈未はこなすことだけで精いっぱい。しかし、奈未はあることをきっかけに「キレて」しまいます。

「こんなのは仕事じゃない、ただの召し使いじゃないですか」
「人並みでいいから普通の仕事がしたいんです」

 そんな奈未に宝来が返した言葉は辛辣なものでした。

普通を手に入れるのは容易ではない

「人並みでいいっていうのは平均よりステータスの高い人が言う言葉」
「何の信念もない、人並みの根気すらないのね」

「普通」と「安定」を手に入れるにはある程度のステータスと、それに見合った努力が必要だと言い放つのです。

 確かに、奈未はファッション雑誌の編集部に雑用とはいえ配属されたにも関わらず、ファッションについては何も知りません。だからと言って勉強をするわけでもない。「私には無理だ~」と言い、やろうともしません。

 恋も、告白さえできない。フラれることもできずに失恋をしてしまいます。

 まだ何も努力ができていないのに、「普通」というステータスを手に入れるのは厳しいのかもしれません。「普通」は安易に手に入るものではないのです。

夢と野心に圧倒される

 また、編集部は夢と野心を持つ人ばかり。カリスマ編集長の宝来の元で働くことで実績と実力を手に入れたい。そのために努力を惜しみません。目的はさまざまですが、宝来にくらいついていこうと必死なのです。

 そんな中で何の夢も持たない奈未は息苦しさを感じます。何かを「頑張る」ときに必要なのは目標。ゴールがないと走り出すことができないのはある意味当然のことです。仕事でてんてこまいだし、失恋もして……奈未は途方に暮れます。

「みんな夢を持っていて私だけこの世界から取り残されたみたい」

 確かに、東京に憧れて上京する人は減ったかもしれません。でも、何か目標や夢を持って上京する人は今も変わらず多くいます。東京には、夢をかなえるための方法や手段が多いだけでなく、「夢のゴール」となる場所も多いから。

東京で夢を持っていなくてもいい

 自分の居場所がないことを嘆く奈未にひとつの解を示したのが、玉森裕太さん演じるカメラマンの潤之助です。

「別になくたっていいんじゃないの。夢に縛られたり、夢を持つことに囚われて笑えなくなったら意味がない」

 夢に囚われることで、身動きができなくなる人もいます。夢を持たなければならない、と思うことについても同じことが言えるでしょう。

何のために上京をするのか? 夢や目的は無くてはならないもの?(画像:写真AC)



 なんとなく、目的がないと東京にいてはいけないような気持ちになる人もいるでしょう。夢を持って出てきたとしても、それを失ってしまったとしたら? 「ここにいる意味、あるのかな?」と。

 でも、夢を持つ人のサポートをする役でもいい。何の目的がなくても、また新たな目的を見つければいいのです。

 極論、「ただここに住んでいる」だけでもいいのではないでしょうか。新たな居場所を東京に作る。それだけでも立派な「目的」になるのです。


【画像】ザ・東京? 主人公が働く「おしゃれ編集部」

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