「ドラマ主題歌」は切ない思い出を呼び起こす記憶装置? TBSドラマシリーズ「木曜座」から考える
2020年4月16日
ライフ毎週見ていたテレビドラマの主題歌は、のちに聴き返すと当時のさまざまな記憶をよみがえらせてくれます。ドラマと主題歌が密接な関係を築く黎明(れいめい)期、TBS「木曜座」の功績を法政大学大学院の増淵敏之教授が語ります。
ドラマと主題歌の密接な関係を生んだ「木曜座」
新型コロナの感染拡大で自宅にいることが多くなると、なぜか昔のことをしばしば思い出します。
さて皆さん、TBSの「木曜座」という連続ドラマシリーズをご存じでしょうか。
1978(昭和53)年から1983年、基本的には1クール(1シリーズ 9~15回程度)で放送されていたドラマ枠の名称です。一部の作品はMBS(毎日放送)制作ですが、「ドラマのTBS」の面目躍如ともいえるシリーズでした。
「木曜座」は1970(昭和45)年から1977年まで続いた人気ドラマシリーズの『木下惠介・人間の歌シリーズ』の後枠でした。
ただこのシリーズは木下プロダクションの制作で、TBSの社員が出向してドラマの制作に当たっていました。「木曜座」はこのシリーズの延長戦にあるものとして捉えてもいいでしょう。ただ路線は、大人の愛を描くラブストーリー的な作品が多くなりました。
1979(昭和54)年の『水中花』では松坂慶子が大人の色気を漂わせる女優としてブレークする契機を作り、また彼女が歌った主題歌、原作者の五木寛之が作詞を手掛けた「愛の水中花」がヒットしました。
「木曜座」も、のちの「月9」に見られるように、テレビドラマと主題歌の密接な関係が生まれていく端緒に当たるのかもしれません。
1980(昭和55)年、立原正秋原作の『恋人たち』が放送されましたが、主演の根津甚八はその後、役者としての地位を確立し、相手役の大竹しのぶは本格的な女優としての一歩を踏み出します。

筆者の記憶に残る主題歌は3曲あります。
まずは1978(昭和53)年の『愛がわたしを』の主題歌「終わりのない歌」。惣領智子(そうりょう ともこ)が歌っていました。ドラマの方は男性週刊誌の編集部を舞台に繰り広げられる男女の恋の物語でした。出演は大原麗子、近藤正臣、名取裕子などです。

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