人気の「飴」柄は7年がかり 創業91年の伝統工芸「文庫革」が続く論理と技術と感性

2018年12月22日

知る!TOKYO
ULM編集部

昭和の初めより、墨田区向島の工房でつくられる「文庫革」。白革に型押しされる絵柄の多彩さ、鮮やかかつ味わい深い色味が魅力的な伝統工芸です。伝統工芸の後継者が減少しているともいわれる今、持続可能な組織をつくり、技術を守り続ける、文庫屋「大関」にその舞台裏を聞きました。


柄の数、約100種類。接客と兼務しながらアイデアを練る

 墨田区向島の地でつくられる「文庫革」をご存じでしょうか。

多彩な「文庫革」のラインナップ(2018年、高橋亜矢子撮影)

 文庫革とは、兵庫県姫路生まれの白い牛革に、型押しで模様をつけ、彩色し、「錆(さび)入れ」と呼ばれる工程を踏み、仕上げる、色鮮やかな伝統工芸です。

 時に柔らかく、時に鮮烈な彩色は一筆一筆、すべて手塗りによるもの。錆入れとは、漆(うるし)を塗り、真菰(まこも)と呼ばれる、イネ科の多年生植物の胞子の粉をすりこませ、模様に深みや風情を与える工程で、こちらも一枚一枚、丹念な手作業で行われます。

錆入れを行うことで、革に茶色が定着。模様に深みが出る(2018年、高橋亜矢子撮影)

 文庫革の元となっているのは、姫路の地場産業「姫革細工」。

 その昔、姫革細工の製造術は、次第に西から東へ伝播し、大正時代の関東地方には、革細工の工房が複数点在していたといいます。しかしその工房は、1923(大正12)年に発生した関東大震災によって消滅してしまいます。

 文庫屋「大関」の初代 大関卯三郎さんも当時、震災で職場の工房を失いましたが、自らの工房を建造し、独立。それから91年の歳月が流れ、現在、同店を営むのは3代目です。

文庫革は、姫革細工と比べた時、色がより鮮やかであるという(2018年、高橋亜矢子撮影)

 文庫革の柄の元となる、型の数は約100種類。表に出ていない型を含めると、なんと約300種類にのぼるといいます。長財布、2つ折り財布、小銭入れ、印鑑入れ、スマホケース、名刺入れなど、形状もさまざま。

 その多彩なラインナップは、ECサイトのほか、浅草と銀座にある実店舗で見ることができます。

2018年にオープンした、文庫屋「大関」銀座店の店内(2018年、高橋亜矢子撮影)

 商品は、奥行きのある引き出しに丁寧に整列しています。そのため、1つ1つ手にとって、じっくりと見比べながら選ぶことが可能。その多彩さゆえ、何十種類もの柄を集めるコレクターもいるといいます。

ECサイトの記録によると、20個以上購入しているユーザーが300人以上いるという(2018年、高橋亜矢子撮影)

 種類に富む文庫革の模様をつくるデザイナーは2人。そのうちの1人、田中萌子さんは、銀座店で、接客業務を行うかたわら、さまざまな柄を生み出しています。

「お客さまの探しているかたちや、今使っているもの、その使い方を見せてもらうなかで、ハッとなり、アイデアに結びついたりするんです」(萌子さん)

人気の「飴」柄、細部に宿るこだわりの数々


この記事の画像をもっと見る(24枚)

画像ギャラリー

/wp-content/uploads/2018/12/PA242285-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/PA242294-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/PA242297-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/PA242306-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/PA242310-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/PA242311-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/PA242316-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_01-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_02-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_03-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_04-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_05-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_06-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_07-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_08-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_09-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_10-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_11-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_12-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_13-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_14-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_15-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_16-150x150.jpg
/wp-content/uploads/2018/12/181217_bunkoya_17-150x150.jpg

New Article

新着記事