大根で踊ってるだけじゃない バイオ分野で世界初の偉業達成「東京農業大学」とはどのような大学なのか
2020年10月23日
ライフスポーツやバイオサイエンス分野で名が知られる東京農業大学。同大の歴史について、教育ジャーナリストの中山まち子さんが解説します。
旧幕臣子息への奨学金支援が設立のきっかけ
どんなに時代が変わっても、人が生きる上で欠かせないのが食事です。食事を支える農業があってこそ、私たちは日常生活を心配なく送れます。
そんな農業について研究している機関のひとつに、大学の農学部があります。農学部は国立大学に多く、東京の私立大学でも限られていますが、そのなかでも東京農業大学(世田谷区桜丘)は100年以上の歴史を持つ、2017年度まで農学に特化した唯一の大学です。

東京農業大学は、江戸末期から明治初期までの混乱で地位が変わった旧幕臣の子息への奨学金支援がきっかけとなり設立されました。
幕臣として新政府軍に最後まで抵抗した榎本武揚(たけあき)は、戊辰(ぼしん)戦争(1868~1869年)後に投獄されるも、新政府の黒田清隆の助命活動などによって特赦で放免。その後は明治政府の要職に就き、北海道開拓使などで活躍した人物として知られています。
その榎本武揚が1885(明治18)年に設立したのが徳川育英会です。時代が明治になり、思うように勉学に励むことができなくなった旧幕臣の子息を支援する目的で設立されました。
この育英会を母体として、現在の千代田区飯田橋付近に1891年、商業科、普通科、農業科を開校しました。東京農業大学のルーツはこの農業科にあたります。
その後は経営難で徳川育英会は大日本農会に移管されたものの、1925(大正14)年に財団法人化し、大学令を受けて東京農業大学に昇進。晴れて独立となりました。

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